都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するための研究

文献情報

文献番号
202421002A
報告書区分
総括
研究課題名
都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA1008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科 )
研究分担者(所属機関)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 石田 円(国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2025年の地域医療構想の実現と次期医療計画の策定に向けて、地域を主体とした医療提供体制についての検討が進められている。近年では各種のオープンデータの整備を通じて検討のための基礎データは充実してきているものの、現場での議論で利用するにはデータの加工が不可欠であり、現場ですぐに活用可能な実務的資料の整備が求められている。
本研究では①地域分析用統合データベースの構築と分析を行い、②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価を可能とするとともに、③交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査を行い、持続可能な医療提供体制を構築するための情報とノウハウを整備することを目的として検討を行った。
研究方法
本研究は次の3項目を組み合わせて実施した。
①地域課題を明らかにするためのデータベース整備と分析:地域の人口と医療需要推計、保険医療機関データ・病床機能報告・DPCオープンデータに基づく医療供給体制のデータを構築し、全国での状況を可視化した。このデータを用いて2次医療圏を人口規模と人口密度に基づいて類型化した上で、大都市型、地方都市型、過疎地域型それぞれ類型の特徴と課題について検討を行った。また医療機関については医師数規模による類型化と入院で取扱う傷病と症例数の観点から分析し医療機関機能についての検討を行った。また、これまでに構築した地域分析用統合データベースに基づく資料をシナリオに沿って確認するためのガイドについて検討を行った。
②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価:2点間の自動車による運転時間を計算するプログラムを利用して、1辺約1Kmの基準地域メッシュから2022年度病床機能報告を行った病院までの移動時間を計算し、患者の所在地から医療機関までの自動車による運転時間に基づくアクセシビリティについてのデータべースを整備した。このデータに基づいて病院の理論的な診療圏を可視化するとともに、医師数規模などを用いて病院を区分し、地域における人口カバー率や推定移動時間を可視化した。
③交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査:東京都および台東区を事例として、関連する会計資料等の文献調査を行い、特にバリアフリー法に関連する事業についての分析を行った。
結果と考察
今年度は研究の最終年度としてこれまでに構築した地域分析用統合データベースの拡充と可視化資料の追加・更新を行い、地域・病院の類型化に重点を置いて研究を行った。その結果として我が国の人口をほぼ2分する大都市型圏域・地方都市型圏域における差異を示すとともに、全人口の1割が居住する過疎地域型圏域における課題を明らかにした。今後はこうした地域の類型化と共に、各圏域における病院の医療機関機能についての検討を行い、有効な地域医療構想の策定につなげることが重要と考えられた。また今年度開発した地域分析用統合データベース:病院向け資料ガイドにより、利用者が迅速に必要なデータを確認することができるようになった。今後はDPC調査結果などの資料をガイドに追加し、より総合的な観点から地域医療提供体制について検討できるように機能強化を図ることが望まれる。交通網・都市整備事例と補助金についての地域事例調査においては、バリアフリー法に関連した実態資料の調査を行い、医療アクセシビリティの維持および改善には、都市全体機能との協調をはかりながら、医療機関との結節点における整備が鍵となることが示された。
結論
本研究では①地域分析用統合データベースの構築と分析を行い、②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価を可能とするとともに、③交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査を行い、持続可能な医療提供体制を構築するための情報とノウハウを整備することを目的として検討を行った。その結果として地域分析用統合データベースを拡充し、情報分析機能の強化を図ることができた。こうした機能を利用して地域と医療機関の類型化について、新たな地域医療構想等に関する検討会のとりまとめに沿った資料を整備することができたほか、バリアフリー法に関連する自治体事業についての知見を得ることができた。都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するためには、今後も継続してデータの更新を進めるとともに、新たな地域医療構想策定ガイドラインに対応した情報を提供することができるように研究を進めることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2025-06-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
2025-06-06

文献情報

文献番号
202421002B
報告書区分
総合
研究課題名
都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA1008
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科 )
研究分担者(所属機関)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 石田 円(国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2025年の地域医療構想の実現と次期医療計画の策定に向けて、地域を主体とする医療提供体制についての検討が進められている。近年では各種のオープンデータの整備を通じて検討のための基礎データは充実してきているものの、現場での議論で利用するにはデータの加工が不可欠であり、現場ですぐに活用可能な実務的資料の整備が求められている。また2024年度には新たな地域医療構想等に関する検討会も始まり、地域提供体制に関する検討は団塊ジュニアの高齢化と生産年齢人口の縮退が大きな課題となる2040年へとその視野を広げつつある。
 本研究では、①地域分析用統合データベースを構築・拡充し、②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価を可能とするとともに、③再編統合事例で利用されてきた都市整備事業や、④活用可能な補助金等の調査を行い、持続可能な医療提供体制を構築するための情報とノウハウを整備することを目的として検討を行った。
研究方法
①地域課題を明らかにするためのデータベース整備と分析:地域の人口と医療需要推計、保険医療機関データ・病床機能報告・DPCオープンデータに基づく医療供給体制のデータを構築し、全国の状況を可視化した。初年度は保険医療機関の総覧と2020年までのDPC調査・病床機能報告のデータべース整備を行い、2年目はDPCデータ、病床機能報告に関する可視化機能の拡充を行った。最終年度は将来推計人口データの統合、地域および医療機関の類型化および地域分析用統合データベースの利用ガイドについて検討した。
②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価:1辺約1Kmの基準地域メッシュから2022年度病床機能報告を行った病院までの移動時間を計算し、アクセシビリティについての基礎データべースを整備した。このデータに基づいて病院の理論的な診療圏を可視化するとともに、医師数規模などを用いて病院を区分し、地域における人口カバー率や推定移動時間を可視化した。
③医療機関の再編等と連動した交通網・都市整備事例についての調査、④交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査:初年度はコミュニティバスの運用事例を対象として調査を行った。2年目は国土交通省の地域公共交通確保維持改善事業費補助金を対象に、最終年度はバリアフリー法に関連した実態資料の調査を行った。
結果と考察
3年間の研究を通じて①地域分析用統合データベースを構築し、人口、病床機能、DPC調査データに基づく診療実績などの可視化資料をインターネット経由で提供することができた。また我が国の人口をほぼ2分する大都市型圏域・地方都市型圏域における差異を示すとともに、全人口の1割が居住する過疎地域型圏域における課題を明らかにすることができた。②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価については、運転時間を用いてDPC調査データに基づく医療機能の集約化を行った場合のシミュレーションや、病院の医師数規模に基づく地域人口カバー率などの実用的な分析結果を示すことができた。③医療機関の再編等と連動した交通網・都市整備事例についての調査、④交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査においては、都道府県、市区町村および医療機関の協調を通じて地域課題に応じた医療アクセシビリティの維持・改善に取り組むべきことが示された。こうした研究の成果は地域における持続的な医療提供体制の確保にむけた具体的な検討に資することができるものと期待される。
結論
本研究では①地域分析用統合データベースの構築と分析を行い、②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価を可能とするとともに、③交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査、④交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査を行い、持続可能な医療提供体制を構築するための情報とノウハウを整備することを目的として検討を行った。その結果として地域分析用統合データベースを構築・拡充し、情報分析機能の強化を図るとともに、都市機能の整備に向けた自治体事業についての知見を得ることができた。今後も都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するには、継続してデータの更新を進めるとともに、新たな地域医療構想策定ガイドラインに対応した情報提供が可能となるように研究を進めることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2025-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202421002C

収支報告書

文献番号
202421002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,760,000円
(2)補助金確定額
6,760,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,180,739円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 4,022,040円
間接経費 1,560,000円
合計 6,762,779円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-