様々な状況での肝炎ウイルス感染予防・重症化・再活性化予防の方策に資する研究

文献情報

文献番号
202420009A
報告書区分
総括
研究課題名
様々な状況での肝炎ウイルス感染予防・重症化・再活性化予防の方策に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HC2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
四柳 宏(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野)
研究分担者(所属機関)
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 磯田 広史(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 河野 豊(徳島大学大学院 医歯薬学研究部 実践地域診療・医科学)
  • 森岡 一朗(日本大学 医学部 小児科学系小児科学分野)
  • 酒井 愛子(茨城県立こども病院 小児医療・がん研究センター/国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト)
  • 惠谷 ゆり(大阪母子医療センター 消化器・内分泌科)
  • 井上 貴子(名古屋市立大学大学院医学研究科)
  • 田中 聡司(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 田中 靖人(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 田倉 智之(日本大学 医学部 社会医学系 医療管理学分野)
  • 奥新 和也(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
20,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は
1. 肝炎に関する啓発活動
2. 小児・新規感染者に関する疫学調査
3. HBV再活性化対策
4. 急性肝炎の疫学
に関して研究し、ウイルス肝炎の感染防止に貢献する。
研究方法
1. 肝炎に関する啓発活動
・歯科医療従事者に対するe-learning教材を作成する。
・肝炎ウイルスに感染した患者さんに対する資材の作成を開始する。
2. 小児・新規感染者に関する疫学調査
・これまでの小児救急外来調査を継続し、HBワクチンの定期接種の効果の検証を継続する。
・小児のエコチル調査の際に調査したHBマーカーの解析を進める。
・初回HBs抗原陽性者におけるVEMの調査を行う。
3. HBV再活性化対策
・iTACTを用いた臨床試験を開始し、情報を収集する。
・データベースを用いたHBV再活性化の検討を進める。
4. 急性肝炎の疫学
・急性肝炎のアンケート調査の結果をまとめる。
・感染研に届け出られたデータ・健保データベースを用いてE型肝炎の疫学の調査を行う。
結果と考察
1. :肝炎に関する啓発活動
・歯科医療従事者に対するe-learning教材を作成した。
・ “一般生活者のための肝炎ガイドライン”の改訂を行った。

(考察)前年度までの調査で、ウイルス肝炎に関する知識は多くの歯科医に定着していることがわかった。このため細部を意識したe-learning教材を作成した。今後日本歯科医師会とも相談の上でアンケートを実施する予定である。

2. 小児・新規感染者に関する疫学調査
・多施設でのHBワクチン定期接種後の疫学調査(HBワクチン定期接種開始後のHBs抗体・HBc抗体陽性率の検討:対象は2016年4月1日以降に出生した児)を進め、現時点での測定結果をまとめた。7歳児までのデータが収集された。ワクチン接種を受けた小児の抗体反応は次第に減弱するものの水平感染は認められなかった
・2011年7月から2014年11月の間に出生した小児のB型肝炎感染疫学をエコチル調査に参加した8歳および12歳詳細調査の参加者を対象として継続した。ワクチン接種を受けた小児の抗体反応は次第に減弱するものの水平感染は認められなかった。ブースター接種の効果は良好であった。
・献血者を対象にワクチンエスケープ変異株の実態調査を行った。

(考察)
・救急外来受診者の残余血清を用いたHBs抗体、HBc抗体の解析結果からは①HBs抗体陽性率は就学時には60%程度まで低下していること、②HBc抗体陽性例の多くは母体からの移行抗体を検出しているものであり、感染している児はほとんどいないこと、③従って定期接種の効果は非常に高いこと、が判明した。
・2016年から開始された定期接種から8年余が経過し、8歳児を対象とするエコチル調査との間を埋めることができるようになった。今後はエコチル調査の詳細な解析、救急外来受診者とエコチル受検者との比較により定期接種の効果をさらに深く解析可能になる。

3. HBV再活性化対策
・Medical data vison社の保険請求データを用いて薬剤毎の再活性化に関するReal World Dataを集めた.低用量のステロイドで中リスク相当、通常の免疫抑制剤でも低リスク相当の再活性化が起こっていた。欧米のガイドラインと比較し本邦のガイドラインが実態をよく反映していることがわかった。
・HBV再活性化の診断に高感度コア関連抗原、s抗原が有用であるかどうかをHBV DNAとの比較で検証する前向き臨床試験を開始した。組み入れは予定通り進んでいる。再活性化の早期検知例も経験した。

(考察)
・HBV再活性化にも関わらず治療が行われていない〜治療が遅れる症例が非常に目立った。検査結果が判明するまでに時間がかかっており、適切な治療がなされていない可能性がある。
・再活性化は現時点で7%の症例に観察され、予想に近い結果が得られている。

4. 急性肝炎の疫学
・国内の急性肝炎の発生動向に関するアンケート調査を行い、結果を解析した。B型・C型ともに都市部では男性が多く、非都市部では女性比率が有意に高くなっていた(奥新・田倉)。
・E型肝炎の感染経路の解析を開始した。豚肉などウイルスに汚染されている食品の喫食が多く、調理などの調査が必要であることが示唆された。
(考察)
・アンケート調査の解析からは、①B型・C型ともに都市部では男性が多い、②非都市部では女性比率が有意に高い、ことがわかった。行政に届け出のあったデータの解析も考えていく。
結論
・歯科医療従事者、一般生活者(患者および家族も含む)に対して肝炎の感染経路の周知、適切な予防に関して情報提供およびその準備を行った。
・2011年以降に誕生した小児のB型肝炎感染状況、ワクチン接種効果の検証を継続した。
・HBV再活性化のリアルワールドデータの解析を行った。また、再活性化のPOC診断に関する研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202420009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,000,000円
(2)補助金確定額
27,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,791,548円
人件費・謝金 6,255,088円
旅費 813,346円
その他 6,960,049円
間接経費 6,230,000円
合計 27,050,031円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-11-26
更新日
-