日中韓大臣声明に基づく医薬品の民族差に関する国際共同臨床研究

文献情報

文献番号
201003009A
報告書区分
総括
研究課題名
日中韓大臣声明に基づく医薬品の民族差に関する国際共同臨床研究
課題番号
H21-地球規模・指定-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川合 眞一(東邦大学医学部医学科 内科学講座(大森)膠原病科)
研究分担者(所属機関)
  • 頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 蓮沼 智子(北里大学臨床薬理研究所 医学管理部)
  • 竹内 正弘(北里大学薬学部 臨床医学)
  • 山添 康(東北大学 大学院薬学研究科)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学臨床 薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
218,297,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における新規医薬品の開発期間が長期化する要因の一つしてあげられている国内治験の遅れを解消する有効な手段として海外の成績を有効に利用することが考えられるが、医薬品の応答性に関する民族差について科学的な検証を行う必要がある。そこで、2007および08年度に頭金氏らによる厚生労働省研究班により文献的検討がなされた。今回、09年度と本年度とで日中韓米において同一試験計画で薬物動態試験を実施することにより、特に東アジア民族間の薬物動態特性を厳密に比較すると同時に、差が認められた場合はその要因を検討することを目的とした。
研究方法
今回の臨床試験の実施施設は、わが国は分担研究者の所属施設である北里研究所(責任医師:蓮沼智子氏)で実施した。また、中国についてはPeking University First Hospital(研究協力者;Dr. Cui Yimin)、韓国についてはSeoul National University Hospital(研究協力者;Dr. In-Jin Jang)、米国はSNBL Clinical Pharmacology Center(研究協力者;Dr. Masaru Kaneko)に以来した。薬物動態試験の試験薬については、本年度はシンバスタチンの一部の臨床試験とメロキシカムの日中韓米における薬物動態試験を実施した。
結果と考察
シンバスタチンの臨床試験(UMIN試験ID:UMIN000003644)は09年度に日韓で終了していたが、本年度は残る中米で実施した。薬物血中濃度測定および薬物代謝酵素遺伝子多型解析も終了しており、現在、薬物動態およびそれに関係することが予想されるさまざまな要因について解析中である。メロキシカムの薬物動態試験については、日中韓米全ての臨床試験(UMIN試験ID:UMIN000004173)を本年度中に実施した。薬物血中濃度測定および薬物代謝酵素遺伝子多型解析も終了しており、現在、薬物動態およびそれに関係することが予想されるさまざまな要因について解析中である。
結論
本年度に実施したシンバスタチンの中国・米国での薬物動態試験と、メロキシカムの日本・中国・韓国・米国での薬物動態試験により、いずれも報告された文献的な成績に比べて民族間の差は減少または消失することが示唆された。現在、詳細な検討を行っている。

公開日・更新日

公開日
2011-06-10
更新日
-

文献情報

文献番号
201003009B
報告書区分
総合
研究課題名
日中韓大臣声明に基づく医薬品の民族差に関する国際共同臨床研究
課題番号
H21-地球規模・指定-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川合 眞一(東邦大学医学部医学科 内科学講座(大森)膠原病科)
研究分担者(所属機関)
  • 頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 蓮沼 智子(北里大学臨床薬理研究所 医学管理部)
  • 竹内 正弘(北里大学薬学部 臨床医学)
  • 山添 康(東北大学大学院 薬学研究科)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における新規医薬品の開発期間が長期化する要因の一つしてあげられている国内治験の遅れを解消する有効な手段として、日本を含む東アジア地域を一つの地域として効率的に日本人を含む東アジア諸民族を国際共同治験に組み込むシステムが考えられる。2007および08年度に国立医薬品食品衛生研究所の頭金正博氏(現所属:名古屋市立大学)を中心とした厚生労働省研究班が組織され、公表された臨床研究データなどについて薬物動態学的観点から民族差に関する包括的な検討を行った。その結果、一部の医薬品では東アジア民族間でも薬物動態に差がみられた。そこで、本研究班では、いくつかの薬物につてい日中韓米において同一試験計画で薬物動態試験を実施し、民族間の違いの有無を明らかにすることを目的とした。
研究方法
頭金班の文献調査にて民族差が示唆された中から異なったパターンのものを選択し、モキシフロキサシン、シンバスタチン、メロキシカムを研究対象とした。薬物動態試験の実施施設については、北里研究所(分担研究者;蓮沼智子氏)、Peking University First Hospital(研究協力者;Dr. Cui Yimin)、Seoul National University Hospital(研究協力者;Dr. In-Jin Jang)および対照施設として米国在住の白人を被験者とした試験をSNBL Clinical Pharmacology Center(研究協力者;Dr. Masaru Kaneko)において実施した。
結果と考察
頭金班の成績では、モキシフロキサシンの日本のAUCは中国および白人よりも大きく、中国と白人との間には差が無かった。シンバスタチンの日本のAUCは白人に比べ大きく、さらに日中韓米の承認初期用量に差がみられる。また、メロキシカムについては、中国のAUCが日本と白人に比べて大きかった。これに対し、今回の同一試験計画の薬物動態試験による日中韓米の臨床試験の結果、シンバスタチンの薬物動態には若干の民族差が認められたものの、いずれも頭金班の文献的な成績に比べて民族間の差は明らかに減少または消失することが示された。
結論
同一試験計画で薬物動態試験行うと、文献調査の結果に比し、民族差が減少または消失した。これらの成績は本邦の医薬品行政に大きく貢献するとともに、東アジアのみならず、世界の医薬品開発の効率化に役立つことが期待されるものである。

公開日・更新日

公開日
2011-06-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201003009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
3薬物における検討だが、文献的にみられた薬物動態の民族差が同じプロトコールによって日中韓米で臨床試験を行うと、実はあまり変わらないという結果が得られた。(詳細は報告書参照)
臨床的観点からの成果
薬物動態の民族差は、従来の検討に比べるとないか非常に少ないことが明らかとなった。
ガイドライン等の開発
現在までのところ特になし
その他行政的観点からの成果
現在までのところ特になし
その他のインパクト
現在までのところ特にないが、今後、さまざまに学会発表・論文などでの公開を予定している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201003009Z