途上国における健康教育教材としての小学校教科書の役割強化に関する研究

文献情報

文献番号
201003012A
報告書区分
総括
研究課題名
途上国における健康教育教材としての小学校教科書の役割強化に関する研究
課題番号
H21-地球規模・若手-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
野中 大輔(国立大学法人琉球大学医学研究科寄生虫学・国際保健学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 溝上 哲也(独立行政法人国立国際医療研究センター国際臨床研究センター国際保健医療研究部)
  • 小林 潤(独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力部)
  • 神馬 征峰(東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、教科書に記載されている保健情報が疾病の予防のために重要な知識や基本的衛生技術に触れているかどうか、さらに国内外のヘルス・ポリシーや戦略に相反していないかどうかを調べ、健康教育教材としての教科書の役割強化に寄与する知見を導くことである。今年度(二年目)は、教科書の収集、保健衛生関する記述の抽出・翻訳等を行った。
研究方法
対象国は、アフリカ4カ国とアジア5カ国である。研究代表者(野中)と各国の研究協力者が、対象国の教育・保健医療行政機関の支援のもと、教科書やナショナル・ポリシー文書(マラリアとHIV/AIDS対策)の収集を行った。さらに、教科書に記載されている保健衛生に関する記述の抽出・翻訳を行った。保健衛生に関する記述は、次の6分野に焦点を置いて抽出した。基本的衛生、母子保健、性感染症、マラリア、薬物乱用、事故予防。分野の定義は、UNICEFを中心に作成されたハンドブック(Facts for Life)に基づいた。来年度(三年目)は、分野毎にデータを解析する。
結果と考察
全対象国からの教科書収集は完了した。ただし、3カ国の教科書については、保健衛生に関する記述の抽出・翻訳を現在行っているところである。記述の抽出等が終了していない前述の3カ国を除いて、収集した教科書の総数は、397冊である。抽出された保健衛生に関する記述は、合計212カ所である。昨年度報告したとおり、以前にベナンの教科書から確認された保健衛生に関する記述の解析試行を行った。ベナン国ではマラリアは主な死因の一つである。しかしながら、全教科書において、マラリアに関する記述は一頁しか割かれておらず、かつ国家マラリア・ポリシーやロール・バック・マラリアなどの世界戦略で強調されている事項(殺虫剤処理蚊帳の使用によるマラリア感染予防)が教科書では触れられていないということが判っている。従って、本年度確認した記述の解析を今後進めていくことが重要であると考えられる。
結論
本年度は、全対象国(アジア・アフリカの途上国9カ国)から、小・中学生用の学習教科書を収集した。その内、6カ国の教科書(397冊)について、保健衛生 (特に、基本的衛生、母子保健、性感染症、マラリア、薬物乱用、及び事故予防などの分野) に関する記述の抽出・翻訳が完了した。収集した教科書には、国や分野によって記述量は異なるが、保健衛生に関する記述が存在することを確認した(合計212カ所)。来年度は、確認した記述を分野ごとに分けて解析を実施する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201003012Z