文献情報
文献番号
202419022A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HB2003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 大(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
研究分担者(所属機関)
- 四本 美保子(根岸 美保子)(東京医科大学 臨床検査医学分野)
- 武山 雅博(大阪医療センター 血友病科)
- 野上 恵嗣(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部小児科学講座)
- 松本 剛史(三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
- 木村 宏之(名古屋大学医学部附属病院精神科)
- 安尾 利彦(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 精神科・神経科)
- 矢倉 裕輝(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 薬剤部)
- 東 政美(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 看護部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
抗HIV療法の進歩によりHIV感染症は慢性疾患とみなされるようになったが、高齢化や精神的・社会的支援の必要性などの課題は解決されていない。一方、血友病も治療の進歩で予後が改善したが、新規製剤による凝固能評価の困難や、保因者の出血傾向とQOLに関する問題が浮上している。特に血友病性関節症はQOLへの影響が大きく、出血予防や適切な治療介入が求められる。本研究は、HIV感染症と血友病双方の課題に取り組み、チーム医療の構築と医療水準の向上を目指す。
研究方法
HIV感染症については5つの分担研究で、血友病については3つの分担研究で研究の実施を計画した。
結果と考察
2024年度は主に研究体制の整備と倫理審査が中心となったが、一部の領域では具体的な成果が得られた。以下に、5つの研究項目に関する進捗と成果を要約する。
(1)抗HIV療法のガイドラインに関する研究
2025年3月時点での初回治療推奨薬について、ガイドライン改訂委員による議論が行われた。推奨レジメンを「大部分のHIV感染者に推奨される」ものと「状況によって推奨される」ものに分類し、DTG/ABC/3TCは後者に位置づけられた。ABCによる心血管イベントリスクや、HLA B*5701検査の必要性などの安全性の問題が考慮された。HIV曝露後予防についても薬剤の選定が見直され、ビクテグラビルなどを含むレジメンが選択された。
(2)抗HIV薬の適正使用とHIV感染者に対する適切な薬物療法の推進および外来チーム医療に関する研究
抗HIV薬11剤について簡易懸濁の条件が検討された。TAF/FTCおよびBIC/TAF/FTCは5分で崩壊・懸濁し、8Fr.の経管チューブを通過可能であった一方、DTG/3TCは十分に崩壊せず、事前の粉砕が必要だった。薬剤の適正使用支援のための「服アド手帖」の編集メンバーとして、各ブロックから2名の担当薬剤師を選出した。
(3)HIV領域のコンサルテーション・リエゾン精神医学診療体制の調査開発
HIV医療体制が整備された全国60施設の医療従事者を対象に、コンサルテーション・リエゾン体制の現状を把握するための質問項目を選定し、比較対象群を含め400例の情報収集を目標とした。現在は倫理審査委員会の審査待ちの段階にある。
(4)AIDS発症に至る心理的要因に関する研究
リサーチ企業に登録されているゲイ・バイセクシャル非HIV感染男性515例を対象に、HIVに対する認識や心理的背景を調査した。平均年齢は51歳で、性的指向はゲイ53%、バイセクシャル47%だった。「HIVは死に至る病」と認識する者は53%、「治療を続ければ完治可能」と考える者は35.7%、「通常の生活が可能」とする者は86.2%であった。
(5)血友病患者および血友病保因者の遺伝子解析と凝固機能解析に関する研究・血友病患者の関節機能の維持・向上のための多角的アプローチに関する研究
遺伝子解析および凝固機能解析については研究体制を整備し、解析を開始した。関節機能に関する研究では、初診患者20例を対象に関節障害の評価を行った。Arnorld-Hilgartner分類のStage2以上を認めた割合は足関節(50%)と肘関節(45%)で高く、Pettersson scoreの平均も足関節(5.0点)で高かった。HEAD-USの平均は肘関節1.3点、膝関節0.8点、足関節3.1点であり、Pettersson scoreとHEAD-USは強い相関を認めた(Spearman's rho = 0.899、p<0.001)。HEAD-USでみられる滑膜肥厚はHJHSの関節腫脹と関節轢音のみ相関がみられた。HEAD-USでみられる軟骨損傷はHJHSの筋萎縮、関節轢音、屈曲制限、伸展制限、関節痛、筋力、包括的歩行能力、合計点と相関がみられた。
(1)抗HIV療法のガイドラインに関する研究
2025年3月時点での初回治療推奨薬について、ガイドライン改訂委員による議論が行われた。推奨レジメンを「大部分のHIV感染者に推奨される」ものと「状況によって推奨される」ものに分類し、DTG/ABC/3TCは後者に位置づけられた。ABCによる心血管イベントリスクや、HLA B*5701検査の必要性などの安全性の問題が考慮された。HIV曝露後予防についても薬剤の選定が見直され、ビクテグラビルなどを含むレジメンが選択された。
(2)抗HIV薬の適正使用とHIV感染者に対する適切な薬物療法の推進および外来チーム医療に関する研究
抗HIV薬11剤について簡易懸濁の条件が検討された。TAF/FTCおよびBIC/TAF/FTCは5分で崩壊・懸濁し、8Fr.の経管チューブを通過可能であった一方、DTG/3TCは十分に崩壊せず、事前の粉砕が必要だった。薬剤の適正使用支援のための「服アド手帖」の編集メンバーとして、各ブロックから2名の担当薬剤師を選出した。
(3)HIV領域のコンサルテーション・リエゾン精神医学診療体制の調査開発
HIV医療体制が整備された全国60施設の医療従事者を対象に、コンサルテーション・リエゾン体制の現状を把握するための質問項目を選定し、比較対象群を含め400例の情報収集を目標とした。現在は倫理審査委員会の審査待ちの段階にある。
(4)AIDS発症に至る心理的要因に関する研究
リサーチ企業に登録されているゲイ・バイセクシャル非HIV感染男性515例を対象に、HIVに対する認識や心理的背景を調査した。平均年齢は51歳で、性的指向はゲイ53%、バイセクシャル47%だった。「HIVは死に至る病」と認識する者は53%、「治療を続ければ完治可能」と考える者は35.7%、「通常の生活が可能」とする者は86.2%であった。
(5)血友病患者および血友病保因者の遺伝子解析と凝固機能解析に関する研究・血友病患者の関節機能の維持・向上のための多角的アプローチに関する研究
遺伝子解析および凝固機能解析については研究体制を整備し、解析を開始した。関節機能に関する研究では、初診患者20例を対象に関節障害の評価を行った。Arnorld-Hilgartner分類のStage2以上を認めた割合は足関節(50%)と肘関節(45%)で高く、Pettersson scoreの平均も足関節(5.0点)で高かった。HEAD-USの平均は肘関節1.3点、膝関節0.8点、足関節3.1点であり、Pettersson scoreとHEAD-USは強い相関を認めた(Spearman's rho = 0.899、p<0.001)。HEAD-USでみられる滑膜肥厚はHJHSの関節腫脹と関節轢音のみ相関がみられた。HEAD-USでみられる軟骨損傷はHJHSの筋萎縮、関節轢音、屈曲制限、伸展制限、関節痛、筋力、包括的歩行能力、合計点と相関がみられた。
結論
抗HIV治療ガイドラインに関する研究については当初の予定通り2025年3月に最新版を完成させた。その他の分野は、研究体制の整備、プロトコルの作成、倫理審査を中心に行った。抗HIV薬、凝固機能、関節診療などそれぞれの診療の基本となる領域においても研究の継続は必要であり、精神・心理の分野も同様である。来年度以降に順次データ収集および解析を行い、それぞれの研究開発を継続する。
公開日・更新日
公開日
2025-12-09
更新日
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