文献情報
文献番号
202419014A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の外来診療の提供体制の改善のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24HB1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
内藤 俊夫(順天堂大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大塚 文男(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 遠藤 知之(北海道大学病院 感染制御部)
- 塚田 訓久(国立国際医療センター戸山病院 エイズ治療・研究開発センター)
- 上原 由紀(藤田医科大学 医学部)
- 森 博威(順天堂大学 医学部総合診療科学講座)
- 鈴木 麻衣(順天堂大学 医学部)
- 坂本 真樹(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
世界の他の多くの地域と同様に、日本ではSTI、特に梅毒の症例が増加している。我々の研究では、本邦の梅毒患者の17%しかHIV検査を受けていなかった(Naito T, J Infect Chemother. 2022)。また、HIV感染者の3.8%-4.3%が毎年梅毒に感染していることも報告している。梅毒を始めとしたSTIの受診状況を解析することは、HIV感染症の適切な診療体制整備のために重要である。
オンラインSNSや出会い系アプリを通じて性的パートナーと出会う人の増加により、STI感染のリスクが高まっていることが懸念されている。さらにCOVID-19パンデミックの際の強制的な就労制限や職場閉鎖による経済的苦境から、性産業に従事する女性が増加している。特に懸念されるのは、COVID-19に対応して制定された社会的規制が解除された現在、HIV検査陽性者が増加したり、梅毒の発生率が急速に増加していることである。この要因を完全に理解した上で、予防に積極的なアプローチを採用することが重要である。
日本では、HIV感染症を始めとしたSTIは、専門医が診断・管理するものとの意識もあり、早期診断が遅れているのが現状である。実際には”性病科”のみで診断されるわけではなく、その診断の現状を把握することはSTIの適切な診断、さらにはHIV感染症の早期診断に有用かと考えた。
オンラインSNSや出会い系アプリを通じて性的パートナーと出会う人の増加により、STI感染のリスクが高まっていることが懸念されている。さらにCOVID-19パンデミックの際の強制的な就労制限や職場閉鎖による経済的苦境から、性産業に従事する女性が増加している。特に懸念されるのは、COVID-19に対応して制定された社会的規制が解除された現在、HIV検査陽性者が増加したり、梅毒の発生率が急速に増加していることである。この要因を完全に理解した上で、予防に積極的なアプローチを採用することが重要である。
日本では、HIV感染症を始めとしたSTIは、専門医が診断・管理するものとの意識もあり、早期診断が遅れているのが現状である。実際には”性病科”のみで診断されるわけではなく、その診断の現状を把握することはSTIの適切な診断、さらにはHIV感染症の早期診断に有用かと考えた。
研究方法
Medical Data Vision Co., Ltd. (MDV; Tokyo, Japan)から提供された病院請求データを使用した。 診断手順コー(DPC)システムに参加している病院および診療所から収集したデータを用いて感染症症例数を算出した。 この計算方法は厚生労働省が採用しているサーベイランスシステムとは異なる。 DPCは入院医療に対する任意の包括的支払いシステムであり、疾患の重症度と入院期間の両方に対して償還される。病院には診断・治療に対する定額が支払われ、入院医療には日当制(PDPS)が適用される。2024年4月現在、日本の約8,000病院のうち1,786病院がこの支払制度を採用している。DPCの対象は入院医療のみであるが、DPCを導入している病院の多くは、外来医療や外来診療も行っている。MDVデータベースには460のDPC/PDPS病院のデータが含まれており、患者の年齢、性別、受診した診療科、診療日、診断コード、入院、医療処置、投薬歴などの情報が含まれている。
結果と考察
2008年4月~2022年1月にSTIと診断された患者は34,462人で、内訳は梅毒4,304人、クラミジア17,928人、コンジローマ8,191人、淋病4,039人であった。複数診療科受診歴は一部症例で認められた。年齢別では20~44歳が67%を占め、梅毒は若年・中年層で高く、特に10代で急増した。先天梅毒は159例で、0~4歳が最も高かった。女性のSTI患者の85%は産婦人科を受診したが、梅毒では産婦人科34.4%に対し皮膚科25.2%、内科21.0%と分散していた。一方、クラミジア(92.0%)、コンジローマ(80.3%)、淋病(82.9%)は主に産婦人科に集中していた。男性では、梅毒は内科36.8%、皮膚科31.8%など多診療科に分散し、クラミジアや淋病は主に泌尿器科、コンジローマは皮膚科が中心であった。全体として、大規模病院の受診が多く、梅毒は500床以上、他のSTIは200~249床の病院受診が最多であった。
結論
本研究は、日本において診療科別のSTI罹患率を調査した初の疫学的研究である。女性は主に産婦人科を、男性は主に内科、皮膚科、泌尿器科を受診していた。梅毒と診断された患者は多岐にわたる診療科を受診しており、その臨床像の多様性が示唆された。本研究の結果は、STIに対する各診療科の臨床医の意識を高め、HIV感染症を念頭に置いた検査の促進に寄与するものと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2026-10-20
更新日
-