文献情報
文献番号
201003006A
報告書区分
総括
研究課題名
熱帯地域における紫外線による眼疾患の実態調査と小児期眼部被曝の影響の解明に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 洋(金沢医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 小島正美(金沢医科大学 看護学部)
- 坂本保夫(東北文化学園大学 医療福祉学部)
- 初坂奈津子(金沢医科大学 医学部)
- 佐々木一之(東北文化学園大学 医療福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は2つあり、1) 紫外線レベルの高い台湾における白内障、翼状片、瞼裂斑の有所見率と眼鏡や帽子などの紫外線防御アイテム使用との関連を明らかにすること、2) 小児における瞼裂斑の結膜自発蛍光から小児期の紫外線被曝の影響を検討することである。本年度は台湾人小中高学生および日本人中高学生について瞼裂斑の自発蛍光について調査を行った。また、平成21年度に引き続き40歳以上の台湾人を対象に眼疫学調査を行った。
研究方法
平成22年7月に台湾淡水市在住の一般住民約500名を対象に眼疫学調査を行った。今年度は漁師人口の多い淡水での調査を行い、紫外線高被曝者の眼疾患についての検討を目的とした。データ解析がまだ途中であり来年度も含め解析を行い、都市部住民との比較を行う。
小児については7月に内灘中学校の学生312名、10月に台湾淡水市の小学生549名、11月に台湾淡水市の中学生および高校生817名、12月に内灘高等学校の学生235名についての調査を行った。調査では視力・屈折・眼軸長測定、細隙灯顕微鏡による前眼部検査および撮影、紫外線蛍光撮影による瞼裂斑自発蛍光の検出を行った。また、小学校入学以降の紫外線被曝歴(登下校や部活動などの戸外活動状況)、眼部の紫外線防御アイテムの使用状況についてアンケート調査を行った。
小児については7月に内灘中学校の学生312名、10月に台湾淡水市の小学生549名、11月に台湾淡水市の中学生および高校生817名、12月に内灘高等学校の学生235名についての調査を行った。調査では視力・屈折・眼軸長測定、細隙灯顕微鏡による前眼部検査および撮影、紫外線蛍光撮影による瞼裂斑自発蛍光の検出を行った。また、小学校入学以降の紫外線被曝歴(登下校や部活動などの戸外活動状況)、眼部の紫外線防御アイテムの使用状況についてアンケート調査を行った。
結果と考察
内灘中学の生徒における瞼裂斑自発蛍光陽性者(瞼裂斑および肉眼では判定が困難な瞼裂斑初期変化症例)は36.2%で、中学1年生が25.9%、2年生が41.4%、3年生が41.9%であり、高学年ほど有所見率が高い傾向が有意にみられた。小学校入学以降の戸外活動時間と眼部紫外線防御アイテムの使用歴から算出した眼部紫外線総被曝量は自発蛍光陽性群が陰性群より有意に大きかった(p=0.0004)。瞼裂斑自発蛍光の陽性率は眼鏡使用者が25.6%、非使用者が39.7%で、使用者での有所見率が有意に低かった(p=0.035)。眼鏡の使用状況を常時と時々(授業中のみなど)に分けると瞼裂斑自発蛍光陽性率は常時使用者が12.1%、時々の使用者が35.6%であり、眼鏡常時使用者が有意(p=0.0042)に低く、眼鏡の常用(戸外での使用)の重要性が確認できた。部活動別の瞼裂斑自発蛍光有所見率は野球部が61.5%と最も高く、次いでソフトボール部が54.5%であった。
結論
瞼裂斑は日本人中学生でも高率に初期変化がみられ、眼部紫外線被曝がその危険因子である。眼鏡の常用が瞼裂斑の予防に有効である。
公開日・更新日
公開日
2011-06-09
更新日
-