HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究

文献情報

文献番号
202419012A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症の曝露前及び曝露後の予防投薬の提供体制の整備に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HB1006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
水島 大輔(国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
  • 生島 嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京)
  • 照屋 勝治(国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
15,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究(20HB1007)で、我々は、HIV感染症の曝露前予防(PrEP:pre-exposure prophylaxis)の実証研究を完了し、その予防効果と安全性の高さを報告するとともに、性感染症(STI:sexually transmitted infection)の検査・予防体制の拡充がPrEP導入に必須であることを提言した。一方、地方のPrEP提供体制の課題が浮き彫りとなっており、これを受けPrEPの提供体制の整備に向け、以下の研究を実施する。
研究方法
①PrEPとSTIの実態調査(研究者:水島大輔)
当院の男性間性交渉者(MSM:men who have sex with men)コホートであるSexual Health(SH)外来で実施しているMSMのPrEP利用およびSTI罹患の実態調査を継続する。東京近郊ではSTIクリニックでのPrEP処方体制が充実しておりこれらの施設と共同して実態把握に努める。一方、自己判断でのジェネリック薬の自己輸入者は依然多く、これらのPrEP userの実態把握も引き続き継続する。
②PrEPとSTI介入の海外調査(研究者:谷口俊文)
東京近郊以外の地方でのPrEP提供体制整備を念頭に、海外でのPrEPおよびSTI予防の事例を調査し、国内での知見をとりまとめ、地方でのPrEP提供体制の整備について提言を行う。
③PrEPの情報提供(研究者:生島嗣)
日本国内でのPrEP承認に先立ち、医療機関や行政機関、PrEPユーザーと連携しながら全国のPrEP利用希望者へ情報を発信しつつ、PrEP提供施設の開設希望者やその支援機関など、潜在的なPrEP提供者の掘り起こしや育成活動も行う。
④nPEPの実態調査(研究者:照屋勝治)
日本における非職業従事者の曝露後予防内服(nPEP:non occupational post-exposure prophylaxis)の提供体制に関して東京近郊および地方都市の現状把握を行う。
結果と考察
①全PrEP userの内STIを繰り返す3割が全STI件数の8割を占め、一部の高リスク者がSTI発生に寄与していることが示された。これらの高リスクPrEP user220名を対象に、ドキシサイクリンPrEP/PEPの特定臨床研究を開始し、80名超をリクルートした。非PrEP userのSTI罹患者138名に対して、PrEPを開始しない理由を調査した所、リスクがない46.4%、費用の問題25%だった。11月時点のPrEP提供クリニックの現状に関し、東京のプライベートヘルスクリニック(PHC)におけるPrEPジェネリック薬の処方者数は約4650名、大阪のいだてんクリニックではPrEP処方者数は1100名に達していた。PHCにおけるPrEP userに対するアンケート調査(N=680)では、最終学歴大学卒以上76%、年収500万以上が69%と、クリニック処方によるPrEP userは高学歴、高収入者が大半を占めていた。
②中南米のほとんどの国では国家政策としてPrEPが承認され、後発薬が承認されている国が多い。しかし統計上のPrEPの使用者は、その国におけるHIV罹患率を考慮しても少ないことが指摘されている。対策として、後発薬の承認やPrEPのコスト削減、国の事情に合わせたガイドラインの策定、透明性の向上、柔軟な個別リスク評価を導入し、対象集団へのアクセスを広げることが求められている。公的医療システムへの統合、スティグマ解消のための啓発活動、コスト効果や導入状況に関する研究推進が普及を後押しする鍵となることが指摘されている。
③医療機関・医療従事者向けの研修の企画やコンテンツ作成を継続して行っている。また、2024年8月のツルバダのPrEP適応の承認を受け、「PrEPポケットガイド」を改訂・増補し、各地の保健所・検査所等での啓発やカウンセリング機会における情報提供のニーズに対応した。PrEP userのPrEPの入手状況に変化が生じていることも踏まえた情報提供と、検査を含めたクリニックベースの見守り体制の構築が急務である。
④nPEPの実態把握では、ジェネリック薬のnPEPを処方するSTIクリニックが複数存在し、PHCにおいては2024年には累計1602名(新規368名)にnPEPの処方をしており、nPEP処方を受けたMSMのほぼ全例がPrEPへと移行していた。関西のいだてんクリニックでも、nPEPの需要は前年同様に高かった。
①~④より、PrEPの有効性、当事者のニーズの高い一方、PrEP userは経済的にアクセスできない可能性が懸念され、PrEP提供体制における海外とのギャップは極めて大きい。
結論
当事者のニーズ・状況と世界の先進事例を参照し、速やかなPrEP提供体制の確立が必要である。

公開日・更新日

公開日
2026-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202419012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,955,000円
(2)補助金確定額
19,955,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 862,424円
人件費・謝金 1,034,600円
旅費 3,218,549円
その他 10,234,427円
間接経費 4,605,000円
合計 19,955,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-10-21
更新日
-