国連ミレニアム開発目標達成のための保健人材強化に関する研究

文献情報

文献番号
201003005A
報告書区分
総括
研究課題名
国連ミレニアム開発目標達成のための保健人材強化に関する研究
課題番号
H21-地球規模・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
神馬 征峰(東京大学大学院 医学系研究科 国際地域保健学)
研究分担者(所属機関)
  • 狩野 繁之(国立国際医療研究センター研究所)
  • 溝上 哲也(国立国際医療研究センター研究所 国際保健医療研究部)
  • 柳澤 理子(愛知県立大学 看護学部)
  • 小林 潤(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,130,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2004年以来世界規模の保健人材危機が指摘されてきた。2008年のG8北海道洞爺湖サミットでも保健システム強化が強調され、とりわけ保健人材分野で、もっとも多くのコミットメントがなされた。本研究では3つの保健関連MDG(4,5,6)に注目し、その改善に保健人材強化がいかに寄与しうるかを知ることを第1の目的とした。次いで近年注目をあびてきている途上国の生活習慣病対策をとりあげ、保健関連MDG対策から得られた教訓をもとに、途上国の実情にあった生活習慣病対策モデルを保健人材不足の途上国において構築することを第2の目的とした。
研究方法
第1の目的に関してはまず、途上国の遠隔地で保健システムが十分機能し得ていない地域における保健人材強化策として、コミュニティヘルスワーカーに注目した。そして、カンボジア、フィリピン、ラオス、ミヤンマーにおけるフィールド調査を行った。第2の目的に関してはスリランカにてフィールド調査を行った。そして最後に、保健人材に関する世界の潮流を知り、かつその流れに影響力を及ぼすべく、国際フォーラムやシンポジウムを介し、文献レビューによる保健政策研究を行った。
結果と考察
フィールド調査からはいくつかの知見を得た。まず、カンボジアでの調査結果からは、村落マラリアワーカー数及び提供する保健サービスの内容(下痢対策等)が拡大後も、村落マラリアワーカーによるサービスの質等が向上したことが明らかになった。フィリピンの調査からは、コミュニティヘルスワーカーとしての顕微鏡技師がマラリア罹患率や死亡率の低減に貢献しているものの、そのパフォーマンスにおいて地域格差がみられることが示された。またラオス、ミヤンマーでは携帯電話によるコミュニケ―ションの改善やSupportive supervision制度導入が有効であることが示された。またスリランカでは、公衆衛生助産師が家族の生活習慣改善を介して慢性疾患対策をなしうるとの示唆を得た。最後に世界の保健人材政策に関しては、第1回世界保健システム研究シンポジウムや第2回世界保健人材フォーラムに参加し、アジア・アフリカ・中南米の状況に関する文献レビューによる保健人材戦略ペーパーの提出やシンポジウムの企画を行うことによって、目に見える形で、世界保健人材分野における日本の役割を示した。
結論
世界保健人材政策において日本のプレゼンスを示すとともに、MDG6の一つであるマラリア対策のためのコミュニティヘルスワーカーが、MDG4対策にも貢献できるということを示すことができた。このようなフィールド活動の成果を国際保健人材戦略に組み込んでいくことは重要な課題である。

公開日・更新日

公開日
2011-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201003005Z