日本におけるHIV感染症の動向把握に関する研究

文献情報

文献番号
202419008A
報告書区分
総括
研究課題名
日本におけるHIV感染症の動向把握に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HB1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 佐織(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長島 真美(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • Stuart Gilmour(スチュアート ギルモー)(聖路加国際大学公衆衛生大学院)
  • 塩野 徳史(大阪青山大学 看護学部 看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
16,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 HIV感染拡大抑制に向け、精度の高いHIV発生動向の把握が求められている。我々は先行研究(厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業)において新規HIV診断者にしめる早期診断者割合の把握に向けた地域別血清学的調査を実施する連携体制を構築し、この早期診断率を指標とした感染者推計において我が国におけるHIV診断率が95%に達していないことを示した。この報告はバイオマーカーを指標とした国内初のHIV感染者数の推定値である。その一方で、血清学的地域が実施不可能な地域の推定値に課題が残っている。本研究ではこの高い独創性を維持・活用し、血清学的調査を基盤とした早期診断率の把握、日本国内HIV感染者数の推計、およびHIV診断体制におけるCOVID-19流行の影響の評価等、詳細な日本国内の発生動向を把握する。
研究方法
次の4つの研究を柱とする。
1. 地域別早期診断率の推定:大都市圏における早期診断率の推計に向け、東京都、大阪府、福岡県を対象として保健所等の無料匿名検査にてHIV陽性が判明した残余検体を用いて血清学的手法にて早期診断者を同定し、暦年の新規診断者に占める早期診断者割合を評価した。
2. 大都市圏以外の地域における早期診断率の把握に向けた新規指標の開発:2000年以降に日本国内で実施されたHIV疫学調査、質問調査に関して、すでに学術誌、学術集会、研究報告書等に報告され公開されている情報を対象として、先行Reviewを実施した。不足する指標について精査をした。
3. 国内疫学指標を活用可能にするHIV感染者数推計に向けた新規モデルの開発:柱1,2で評価を進めた疫学データを活用した指標の開発、およびその指標を活用可能にするモデルの開発に着手した。
4. 地域別HIV検査数と陽性数に関する解析:自治体が公開するHIV検査に関与する情報を整理した。
結果と考察
 2020年以降、日本全国いずれの地域においてもHIV診断数は減少している。そこで診断体制の変化が報告数に及ぼす影響を地域別に比較した。いずれの地域においても検査数の減少と検査陽性率の上昇が認められ、検査数と陽性率は逆相関を示した。一方、変化率は地域によって異なった。特に東京都は他の地域と比較し、検査数の減少が報告数の減少に大きく影響していないことが示唆された。なお2020年、2021年ともに医療機関からの報告群と保健所等の自治体行政検査の陽性群の報告比率、診断時CD4の分布を比較したところ両郡において有意差は認められない。
 東京都、福岡県における新規HIV診断者血液を用いた血清学的解析において、新規陽性者に占める感染後半年以内と推定される早期診断者の割合は2005年以前は東京都約40%、大阪府約25%、福岡県20%と新規HIV陽性数に関係なく概ね一定であったのに対し、2018年以降は特に東京都では低下傾向が続き、その後上昇していることが示された。
結論
 世界的にCOVID流行以降、HIVの診断体制が大きく変化していることが報告されている。日本国内においても検査機会の減少、診断数の減少等、短期的な動向の変動が報告されている。一方で、HIV感染者・未診断者推計において理論上直近数年の報告数の増減の寄与度が大きいため、直近の報告数の減少は過去10年のHIV発生数(未診断者を含む)の過小評価になるかことが課題として指摘されている。本研究において早期診断率、検査実施数等を指標とした解析から、2020年以降の推定HIV発生数はCOVID流行前と比較して減少していないことが示唆された。現在、このような短期的な変動を長期的な動向の推計に反映させることが可能な推定モデルの開発を進めている。

公開日・更新日

公開日
2026-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202419008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,000,000円
(2)補助金確定額
16,956,000円
差引額 [(1)-(2)]
44,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,523,078円
人件費・謝金 5,899,296円
旅費 221,763円
その他 763,615円
間接経費 550,000円
合計 16,957,752円

備考

備考
千円未満の端数切り捨てにより。
114円、780円、858円の計1,752円の差異

公開日・更新日

公開日
2026-10-21
更新日
-