文献情報
文献番号
202419004A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染者を含む血友病患者の高齢化に伴う新たな合併症に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HB1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
木内 英(東京医科大学 臨床検査医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 輝久(広島大学 病院輸血部)
- 大野 久美子(東京大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
9,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、薬害血友病における多くの課題が解決された結果、患者の高齢化が進行し、新たな合併症が増えている。血友病患者は長年運動を控えてきた人が多く、高血圧・高脂血症・糖尿病などのハイリスク集団である一方、止血治療の進歩の結果、心筋梗塞・脳梗塞などの血栓性障害が散見されている。また、フレイルの進行・筋力低下に伴い、関節症が進行する患者が増え、骨密度低下・骨折リスクも懸念される。本研究では高齢化に伴う新たな合併症に関する疫学データの構築とリスク因子の解明を目的とする。
研究方法
本研究では血友病患者の①心血管障害、②関節症悪化、③骨密度低下に関する分担研究を行う。分担1では、冠動脈・脳血管系の有病率・血栓リスクにつき、30歳以上の血友病150人を対象に、頭部MRI、冠動脈CT、脈波検査、血管炎症マーカー検査を実施する。分担2では多施設前向き観察研究にて、40歳以上の血友病成人患者を対象に①患者背景、②血友病治療状況。③併存症、④関節状態、⑤身体機能、⑥筋肉量等の体組成、⑦過去のスポーツ参加状況、⑧現在のスポーツ状況、⑨日常生活状況を調査する。分担3では前向き多施設研究にて①骨塩定量:腰椎側面と大腿骨頸部、②骨代謝マーカー、を測定し、アンケートにて関連情報を収集する。
(倫理面への配慮)
研究実施にあたっては、倫理委員会審査を経たのち、文書によるインフォームドコンセントを取得する。
(倫理面への配慮)
研究実施にあたっては、倫理委員会審査を経たのち、文書によるインフォームドコンセントを取得する。
結果と考察
分担1では研究代表者施設にて77例(血友病A 64例、血友病B 13例)の調査を行った。年齢の中央値は55歳、HIV感染 21例 (27%)であった。冠動脈カルシウムスコアCACS 100点以上は17例(22%)。うち精査施行12例のうち6例(8%)で中等度以上の狭窄を認めた。CACS高値群では年齢が高く糖尿病が多かった(P=0.001)。分担2では69例の筋力テストを行い、若年でも下肢に顕著な筋力低下を認め、足関節症と歩行能力が関連していた。分担3では188例の検査を行い、42例で大腿骨頸部の骨粗鬆症を認めたが、腰椎では1例であった。骨密度低下はHIV感染症で有意に多かった。
血友病における冠動脈カルシウムスコア高値は一般人口と同等であり、年齢と糖尿病が強く関連していた。中等度以上の冠動脈狭窄は8%に認めたが、全員無症状であり、介入的検査の必要性が示唆された。血友病では下肢の筋力低下が著しく、膝や足首の関節症が関与していた。高齢化に伴いADLが低下する事例が多発すると予想される。今後足関節の関節症発症予防や適切な歩行訓練などが必要であり、活動量別の最適な止血治療を抽出する必要がある。骨粗鬆症も、腰椎より大腿骨頸部に多発しており、血友病における下肢を用いた運動を促進する施策の必要性が示唆された。
血友病における冠動脈カルシウムスコア高値は一般人口と同等であり、年齢と糖尿病が強く関連していた。中等度以上の冠動脈狭窄は8%に認めたが、全員無症状であり、介入的検査の必要性が示唆された。血友病では下肢の筋力低下が著しく、膝や足首の関節症が関与していた。高齢化に伴いADLが低下する事例が多発すると予想される。今後足関節の関節症発症予防や適切な歩行訓練などが必要であり、活動量別の最適な止血治療を抽出する必要がある。骨粗鬆症も、腰椎より大腿骨頸部に多発しており、血友病における下肢を用いた運動を促進する施策の必要性が示唆された。
結論
血友病患者に心血管障害は無症状のことが多く、介入的検査による心血管疾患の有病率とリスク因子の解明が必要である。関節症悪化について加齢による運動機能低下と止血治療との関連について調査する。血友病では大腿骨頸部の骨粗鬆症が多い可能性があり、荷重・運動に加え、更なるリスク因子の抽出を行う。
公開日・更新日
公開日
2026-06-25
更新日
-