我が国におけるチャイルド・デス・レビューに関する研究

文献情報

文献番号
201001041A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国におけるチャイルド・デス・レビューに関する研究
課題番号
H22-政策・一般-023
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
小林 美智子(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 眞紀子(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 西澤 哲(山梨県立大学人間福祉学部)
  • 佐藤 喜宣(杏林大学医学部)
  • 山中 龍宏(緑園こどもクリニック)
  • 米本 直裕(国立精神・神経医療研究センター)
  • 森 臨太郎(東京大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の子どもの死亡を減らすには事故死・他殺等の「予防できる死亡」対策が必要である。それには、その実態・経緯・背景等を分析するチャイルド・デス・レビュー(以下CDRと略す)制度創設が必要である。我国のCDR制度のあり方について検討する。
研究方法
本研究班を、関係多職種で組織して、海外のCDRの実態を調査し、わが国の死亡検証の実態を調査し、わが国で実現可能なCDRのあり方を試行し、検討する。2010年初年度は、海外のCDRについて訪問調査・文献調査し、わが国の死亡検証の実態を調査し、試行の準備を行った。
結果と考察
CDRを行っている国では、個々の死亡について、その実態のみならず死に至る経緯や家族や社会の背景も情報収集し、統計分析するとともに、多機関多職種チームで検討を行っている。その方法は、個々の死亡について詳細な統一報告用紙を作り、中心機関に集約し、一部の死亡(虐待・自殺・事故等)は多機関多職種関与者カンファレンスで検証し、多様な対策を次々に提案している。実施には、法整備・中心機関と専従スタッフ・地域システム構築が不可欠である。
 我が国の死亡分析は、個々のテーマの研究報告はあるが、国全体の継続的な死亡分析は人口動態統計以外ない。海外CDR類似の検証としては児童虐待死亡検証が始まっている。死亡分析ができていない一因には、分析に不可欠な情報を収集するのが難しく、個人情報保護法が壁になっていることが分かった。ただ、我が国でも、予防できる子どもの死亡について対策を講じるべきであると考える専門家は多く、CDR制度の発足と体制整備を望んでいる。
結論
我が国の子どもの死亡をさらに減らすには、医学医療の進歩だけでなく心理社会的側面の対策が不可欠だが、その分析を行うことはどの機関でも不可能であり、海外で広がりつつあるCDRが必要であることが分った。そのためには、わが国のCDRのあり方や、制度構築・体制整備等についての検討が必要である。来年度は、海外CDRの実施方法を調べるとともに、わが国の各領域でのCDR実施の課題について調査する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001041Z