文献情報
文献番号
202418008A
報告書区分
総括
研究課題名
小児領域を含む薬剤耐性感染症対策に関わる地域間連携の標準モデルの策定・推進に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23HA1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
宮入 烈(国立大学法人浜松医科大学 医学部 小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 笠井 正志(地方独立行政法人 長野県立こども病院 総合小児科)
- 大久保 祐輔(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
- 岩元 典子(木下 典子)(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
- 宇田 和宏(東京都立小児総合医療センター 感染症科)
- 伊藤 真人(国立大学法人金沢大学医薬保健研究域医学系)
- 堀越 裕歩(東京都立小児総合医療センター 感染症科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,155,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤耐性(AMR)菌による感染症は国際的な公衆衛生上の脅威であり、2016年に策定された日本のAMR対策アクションプランでも地域における取組の推進が求められている。本研究では、AMR対策の「標準モデル」の構築とその実装に必要な要素を抽出し、特に小児医療領域を含む複数診療科間の連携を重視した実証的検討を行うことで、地域間連携による持続可能な対策モデルの提言を目的とした。
研究方法
(1) 地域感染対策ネットワークや感染対策加算など、既存の国内のAMR対策に関する取り組みを文献や報告書から整理し、構造的要素を抽出した。
(2) 医療ビッグデータ(JMDC、MDV)および公開データ(JANIS等)を活用し、抗菌薬処方実態と耐性菌の分布の関連性を検討した。
(3) 東京・静岡においてOASCISを活用した一次診療所の連携体制構築を進め、診療所の参加促進と処方変化の観察を行った。
(4) 急病センターを核とした兵庫モデルを静岡へ展開し、多診療科連携の構築を試みた。
(5) 小児耳鼻咽喉科学会との連携により、小児科と耳鼻咽喉科の合同セミナーを開催し、抗菌薬処方に関する共通理解を促進した。
(2) 医療ビッグデータ(JMDC、MDV)および公開データ(JANIS等)を活用し、抗菌薬処方実態と耐性菌の分布の関連性を検討した。
(3) 東京・静岡においてOASCISを活用した一次診療所の連携体制構築を進め、診療所の参加促進と処方変化の観察を行った。
(4) 急病センターを核とした兵庫モデルを静岡へ展開し、多診療科連携の構築を試みた。
(5) 小児耳鼻咽喉科学会との連携により、小児科と耳鼻咽喉科の合同セミナーを開催し、抗菌薬処方に関する共通理解を促進した。
結果と考察
AMR対策の地域モデルに必要な要件として、都道府県等の公的機関を中心とした組織体制の整備、医療機関・薬局・介護施設間の多職種連携、抗菌薬使用・耐性菌分布のサーベイランスの実施、地域運営会議の設置などが再確認された。
一次診療を中心とした連携では、OASCIS導入施設の拡大により、抗菌薬の処方傾向の変化が認められ、特にペニシリン系薬の使用増加がみられた。
データベース解析では、小児抗菌薬適正使用加算の導入群において、抗菌薬使用量の有意な減少(4年間で19.5%減)と安全性(外来・入院・医療費の増加なし)が示され、政策効果が裏付けられた。
急病センターでのモニタリングでは、感染症流行が処方傾向に大きく影響する実態や、抗菌薬使用における「不適切処方」と「不適切不処方」の両面の課題が確認された。耳鼻咽喉科領域においても、診療ガイドラインとの乖離が観察され、診療科間の継続的な対話の必要性が示された。
これらの成果は、地域の特性や診療環境に応じた柔軟な標準モデル策定の基盤となる。
一次診療を中心とした連携では、OASCIS導入施設の拡大により、抗菌薬の処方傾向の変化が認められ、特にペニシリン系薬の使用増加がみられた。
データベース解析では、小児抗菌薬適正使用加算の導入群において、抗菌薬使用量の有意な減少(4年間で19.5%減)と安全性(外来・入院・医療費の増加なし)が示され、政策効果が裏付けられた。
急病センターでのモニタリングでは、感染症流行が処方傾向に大きく影響する実態や、抗菌薬使用における「不適切処方」と「不適切不処方」の両面の課題が確認された。耳鼻咽喉科領域においても、診療ガイドラインとの乖離が観察され、診療科間の継続的な対話の必要性が示された。
これらの成果は、地域の特性や診療環境に応じた柔軟な標準モデル策定の基盤となる。
結論
薬剤耐性感染症対策における地域間連携の標準モデル構築には、都道府県を中心とした実施体制のもとで、急病センターや一次診療所を核とし、OASCIS等のツールを活用したネットワーク形成が不可欠である。加えて、診療科横断的な連携とエビデンスに基づく継続的評価が、持続可能なAMR対策の推進に資することが示された。
公開日・更新日
公開日
2025-08-07
更新日
-