文献情報
文献番号
202418003A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性(AMR)対策に有用な既存の抗微生物薬を温存するための添付文書見直しと新規開発薬などの導入体制の整備及び行動変容に効果的な普及啓発・教育活動確立のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22HA1004
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
松永 展明(国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター)
研究分担者(所属機関)
- 浜田 幸宏(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
- 木原 朋未(多田村 朋未)(筑波大学 医学医療系社会健康医学)
- 大曲 貴夫(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
14,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、抗菌薬の有効性を長期的に維持し、適正使用を促進することを目的とする。(1) AMR対策の観点を考慮し、感染症治療に必須な薬剤を特定するために、薬剤師を中心としたワーキンググループを組織し、修正デルファイ法を活用して検討を行う。また、海外で使用されているが本邦未承認の抗菌薬について、公知申請を実施することで、新たな治療選択肢の可能性を評価する。(2) 耐性菌抑制に資する代替療法やワクチン、診断法の国内外の知見を収集し、整理する。さらに、多剤耐性菌の臨床情報と菌株情報を収集する基盤を構築し、本邦における疾病負荷を評価するとともに、新規抗菌薬の開発や適応拡大の支援に活用する。(3) 診療所での抗菌薬適正使用システムの実施状況を分析し、普及啓発や教育活動の方法を検討する。また、薬物動態学・薬力学(PK/PD)理論に基づいた抗微生物薬の適正使用介入方法を明らかにし、より科学的根拠に基づいた使用指針の確立を目指す。さらに、医療ビッグデータを活用して抗微生物薬の有効性・副作用を評価し、抗菌薬適正使用の推進に貢献する。本研究は倫理委員会の承認を得て実施している。
研究方法
本研究は、既存の抗菌薬の有効性維持を目的とし、(1) AMR対策の観点を踏まえ、感染症治療に必要な薬剤を特定し、適正使用を推進する。特に、国内で未承認の抗菌薬については、公知申請を行い、その導入可能性を評価することで、新たな治療選択肢を提供する。(2) 多剤耐性菌の抑制に向け、ワクチン開発や代替療法の知見を収集するとともに、臨床情報・菌株情報を整理し、耐性菌の疾病負荷や新規抗菌薬の効果を包括的に分析する。さらに、これらの知見を基に、抗菌薬開発の支援を行うための基盤を構築する。(3) 診療所での抗菌薬適正使用システムの実施状況を分析し、適正使用の普及啓発や医療従事者への教育活動の手法を検討する。また、薬物動態学・薬力学(PK/PD)解析を活用し、抗微生物薬の最適な投与設計を評価し、より科学的根拠に基づく適正使用指針を確立する。さらに、医療ビッグデータを活用して抗微生物薬の有効性・副作用を評価し、客観的データを可視化することで、適正使用の推進に貢献する。本研究は倫理委員会の承認を得て実施している。
結果と考察
本研究では、抗菌薬の適正使用を促進し、科学的根拠に基づく投与設計の確立を目指す。(1) 施設や経験の異なる薬剤師によるワーキンググループを設置し、PK/PDの観点から優先課題を抽出し、適正使用の指針を検討する。また、未承認抗菌薬について公知申請を行い、その導入可能性を評価する。(2) WHOの抗微生物薬開発状況に関する報告書を調査・翻訳し、国内の研究者へ周知。さらに、多剤耐性菌の臨床情報・菌株情報を収集する基盤を構築し、耐性菌の抑制に有効なワクチンや代替療法の知見を整理する。(3) 診療所での抗菌薬適正使用データを分析し、供給不足による処方の変化を評価。特に、アモキシシリン不足が広域抗菌薬使用の増加に及ぼす影響を検討する。加えて、PK/PD解析を用いた適正投与量の検証を行い、ボリコナゾールTDMのアルゴリズムを作成し、バンコマイシンのAUC予測ツールを開発する。最後に、電子カルテ・レセプトデータを組み合わせた医療ビッグデータを活用し、抗微生物薬の有効性・副作用を評価し、科学的根拠に基づく適正使用の推進に貢献する。本研究は倫理委員会の承認を得て実施している。
結論
本研究では、抗菌薬の適正使用を促進し、科学的根拠に基づく投与設計の確立を目指す。(1) 本邦と欧米で抗菌薬の使用量や投与回数に乖離があり、これに対応するためPK/PD解析を活用し、適正な投与戦略を検討することが求められる。特に耐性菌の増加を抑制しながら、効果的な治療を維持する方法を検討する。(2) 重要病原体に対する治療選択肢が限られ、外来・小児用抗菌薬の不足が課題となっているため、産官学連携の強化による抗菌薬開発体制の構築が必要である。特に、新規抗菌薬の研究開発や既存薬の適正活用についての議論を進める必要がある。(3) 抗菌薬供給不足が適正使用に及ぼす影響を評価し、安定した供給体制を整備するために生産拠点の確立を含めた対応が求められる。さらに、PK/PD解析による適正投与量の評価、ボリコナゾールTDMのアルゴリズム作成、バンコマイシンのAUC予測ツール開発を進めるとともに、電子カルテやレセプトデータを組み合わせた医療ビッグデータを活用し、抗微生物薬の有効性・副作用の評価を行い、適正使用の推進に貢献する。本研究は倫理委員会の承認を得て実施している。
公開日・更新日
公開日
2026-07-07
更新日
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