困窮する非行少年とその支援に関する研究

文献情報

文献番号
201001025A
報告書区分
総括
研究課題名
困窮する非行少年とその支援に関する研究
課題番号
H22-政策・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鮎川 潤(関西学院大学 法学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 社会的に恵まれておらず、困窮に陥らざるをえないと考えられる少年に、厚生労働の分野と連携したどのような支援が可能かということが本調査研究のテーマである。
 より具体的には、更生保護施設で生活する少年が、貧困状態を離脱して、再非行したり再犯したりするのを防止し、社会適応を達成するのに有益な機制や達成を支援する制度について調査研究するのを目的としている。
研究方法
 2010年9月から2011年3月にかけて、関東地方、中部地方、九州地方の更生保護施設の協力を得て、更生保護施設に在住する男子と女子の非行少年とその保護者に対する聞き取り調査を行なった。あわせてイギリスの矯正施設を退所して困窮している非行少年のため施設と施策についても調査を行なった。
結果と考察
 初年度の研究成果として、更生保護施設の少年たちに、将来におけるより広い職業選択に役立つ機会が提供される工夫がなされること、労働行政や社会福祉との連携が少年の個別的なニーズや意向を尊重して行われること、さらに、困窮する非行少年への対応を充実させるためにも、経済条件と労働条件において不遇な状態に置かれている更生保護施設の職員の待遇を改善する必要があると思われること等が導かれた。
結論
 第一に、更生保護施設の少年たちに将来におけるより広い職業選択に役立つ機会が提供される工夫がなされることが望ましいと考えられる。第二に、更生保護施設以降における、労働行政や社会福祉と連携が、非行少年の個別的なニーズや意向を尊重して行われることが重要だと考えられる。第三に、困窮する非行少年への対応を充実させるためには、非常に不遇な状態に置かれている更生保護施設の職員の待遇を大幅に改善する必要があると思われる。第四に、少年院以前に非行少年と関係した社会福祉機関における少年への対応を再検討し、必要に応じた改善がなされる必要があると思われる。第五として、更生保護施設の少年たちには、親子関係が完全に途絶してしまったり、関係の修復に大きな困難を伴うと思われる崩壊状態の家族が見うけられ、とりわけ女子の非行少年の家族のほうが崩壊の程度が高いのではないかと推定される。そのため、より正確な調査が進められる必要があるとともに、わが国の民法(家族法)の単独親権の規定についても見直しの検討をするする必要があると思われる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001025Z