DV対策など、女性支援施策の効果的展開に関する調査研究

文献情報

文献番号
201001018A
報告書区分
総括
研究課題名
DV対策など、女性支援施策の効果的展開に関する調査研究
課題番号
H21-政策・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
戒能 民江(お茶の水女子大学 大学院人間文化創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 湯澤 直美(立教大学 コミュニティ福祉学部)
  • 堀 千鶴子(城西国際大学 福祉総合学部)
  • 吉田 容子(立命館大学法科大学院)
  • 齋藤 百合子(明治学院大学 国際学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国の基本方針では、諸機関連携による地域での「切れ目のない」支援が謳われたが、2009年総務省の政策評価結果では被害者支援の遅れが指摘されている。22年度は、行政/民間中心の諸機関連携モデル、生活再建システムおよび外国籍被害者支援モデルの抽出ならびに類型別支援モデル構築のための全国的な被害実態の把握を行い、長期的な女性支援システムの構築をめざした。
研究方法
DV被害者支援の現状を把握し、支援モデル及び課題を析出するために、1)DV被害者支援にあたる公的機関の事例調査、2)民間支援団体への聞き取り調査、3)郵送による民間シェルター利用者調査、4)郵送による全国の婦人相談所事業概要調査、5)外国人女性支援についての研究者・民間団体への聞き取り調査、6)資料・文献調査、7)研究会の開催を行った。
結果と考察
都道府県については、民間/行政連携型の総合的支援の展開モデルを抽出した。民間団体と担当部局との強力な連携、民間団体への大胆な事業委託、独自事業の財源確保が特徴である。市町における諸機関連携は、民間団体が連携の「つなぎ目」になることが重要である。また、民間団体との連携による、DV被害者の自立の困難要因を考慮した自立支援事業の試行が自治体で進められている。民間シェルター利用者調査からは、暴力被害及び利用者が抱える課題の複合性が浮き彫りにされた。「切れ目のない支援」の具体化には被害実態や被害者の状況を踏まえた施策が不可欠である。ところが、女性支援の中核となる婦人相談所の組織体制および支援内容についての地域間格差が著しい。また、事業概要の記載項目は統一されておらず、被害者支援に必要な基本的情報が発信されていない。さらに、外国人女性は特有の脆弱性を持たざるを得ないため、脆弱性克服のための支援が別個に必要となる。外国人女性支援の好事例の普及および職員の研修と研修プログラムの策定が課題である。

結論
「被害者の立場に立った切れ目のない支援」の具体化のためには、被害及び被害者が抱える課題の複合性に着目した支援プログラムが必要であり、外国人女性についてはその脆弱性克服のための独自の支援モデルが不可欠である。また、官民連携モデル形成には、民間団体の正当な位置づけ、キーパーソンのリーダーシップ、民間を連携のつなぎ目にすることがポイントである。国の予算の確保や支援のナショナルスタンダード確立が地域のDV政策の活発化を支える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201001018Z