育成医療対象疾患の実態把握に関する研究

文献情報

文献番号
202417020A
報告書区分
総括
研究課題名
育成医療対象疾患の実態把握に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1011
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
笠原 群生(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡 明(埼玉県立小児医療センター)
  • 田倉 智之(日本大学 医学部 社会医学系 医療管理学分野)
  • 丹原 惇(新潟大学 大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野)
  • 廣瀬 尚人(広島大学 歯学部歯科矯正学)
  • 渡邉 佳一郎(徳島大学 大学院医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野)
  • 仁科 幸子(蓮江 幸子)(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 眼科)
  • 守本 倫子(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 耳鼻咽喉科)
  • 平田 康隆(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 心臓血管外科)
  • 今井 啓道(東北大学 医学系研究科)
  • 上田 晃一(大阪医科薬科大学 医学部)
  • 杠 俊介(信州大学 医学部 形成再建外科学教室)
  • 依田 哲也(東京科学大学 医歯学総合研究科)
  • 彦坂 信(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 形成外科)
  • 関 敦仁(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 整形外科)
  • 江口 佳孝(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 整形外科)
  • 高木 岳彦(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 整形外科)
  • 石丸 哲也(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 外科)
  • 下島 直樹(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 外科)
  • 鎌田 将史(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 形成外科)
  • 梅田 千鶴(大阪医科薬科大学 医学部)
  • 森田 圭一(東京科学大学 顎顔面外科学分野)
  • 原園 陽介(東京科学大学 顎顔面外科学分野)
  • 浦田 晋(国立成育医療研究センター 小児内科系専門診療部 循環器科)
  • 吉田 朋世(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 眼科)
  • 鈴木 法臣(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 耳鼻咽喉科)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部公衆衛生学講座)
  • 竹原 健二(国立成育医療研究センター 研究所 政策科学研究部)
  • 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所 小児慢性特定疾病情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者交代 金子幸裕(令和6年4月1日~令和6年9月30日)→平田康隆(令和6年10月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
育成医療は障害児の身体障害を除去・軽減する医療に対し公費負担を行う制度であり、対象疾患としては口唇口蓋裂をはじめとする先天性の疾患など外科的介入が多いと推測されているが、育成医療の支援を受けている具体的な疾患は明らかではない。また18歳からは育成医療の対象外となり、制度上の移行先である更生医療の適用要件を満たさない症例では、支援が途絶える可能性があり、この制度的不連続により、治療継続中の患者にとって医療費助成に格差が生じているという課題がある。
本研究は、自立支援医療(育成医療)制度における実際の支援対象疾患や年齢分布、また17歳以降の治療の継続性や更生医療への移行の実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
育成医療の利用実態と疾患構成を明らかにするため、大きく二つの調査を並行して実施することを計画した。第一は診療報酬明細書(レセプト)を用いた公費医療レコードの解析であり、国レベルのNDB(National Database)、TheBD(東京大学医療経済データベース)、および民間保険由来のJMDC Claims Databaseを対象とした。第二は医療機関からの医事会計データ抽出と領域専門家への全国調査を行うこととした。
結果と考察
先行して分析されたJMDCデータでは2020年から2023年にかけて延べ1,891人分の育成医療利用記録が抽出され、年齢別では0~2歳での利用が全体の46%を占めていた。3歳以降は全年齢層でほぼ均等な利用が見られたが、17歳時点で育成医療を利用していた193人のうち、18歳以降に更生医療に移行した症例は確認されなかった。これは、制度上の不連続性を示唆しているかもしれなかった。さらに全国調査の方法論の検証のため、国立成育医療研究センターの医事会計システムを用いた試験的調査を実施した。データ期間中に育成医療を利用していた128人、更生医療を利用していた26人の症例が抽出されたが、両制度間を移行した症例は見られなかった。また身体障害者手帳の申請状況についても調査が行われたが、申請書の存在は確認できたものの、認定の有無や結果の追跡は困難であり、レセプトや診療録情報だけでは、正確な障害認定状況や障害者手帳の所有率の把握は難しいことが分った。
結論
17歳以降に必要とされる医療介入においては、更生医療へのへの円滑な移行は難しい可能性があり、また育成医療を利用している疾患の概況を捕捉できる可能性が示唆された。今後は詳細なレセプト分析を進めるとともに、医療機関情報と専門家の意見を調査することで、育成医療の実態把握につなげてゆきたい。

公開日・更新日

公開日
2025-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202417020Z