文献情報
文献番号
202417018A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築における情報通信機器を用いた精神療法の活用に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1009
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
岸本 泰士郎(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 熊崎 博一(長崎大学 医歯薬学総合研究科医療科学専攻精神神経科学)
- 富田 博秋(東北大学 大学院 医学系研究科)
- 木下 翔太郎(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,233,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
概要版(繰越課題)
研究の目的:我が国では、高齢化、離島・僻地医療、復興支援など、多くの医療上の課題があり、地域で暮らす全ての人が、必要な時に適切な医療を受けられるための手段としてオンライン診療の活用が期待されている。
研究代表者らは、今までに日本医療研究開発機構(AMED)委託研究として、「遠隔精神科医療の臨床研究エビデンスの蓄積を通じたガイドライン策定とデータ利活用に向けたデータベース構築(通称J-INTEREST)(2016-7)」、「対面診療に比したオンライン診療の非劣勢試験:COVID-19によって最も影響を受け得る精神疾患に対するマスタープロトコル試験による検証(通称J-PROTECT)(2020-2)」等を通じた精神科領域におけるオンライン診療のエビデンス構築を行ってきた。具体的には、前者では認知機能検査の対面検査との同等性の証明を、後者では本邦の19施設が参加した無作為化比較試験で半年にわたるオンライン診療が対面診療に比して劣らないことを証明した。
今後求められるのは、オンライン診療が地域における医療提供のあり方の一つとして適切に普及し、地域の医療体制への貢献を果たしていくことである。R6年度の診療報酬改定を経て活用の拡大が予想されるが、多くの精神科医師はオンライン診療の経験がなく、ノウハウが共有されていない。患者によっては自治体の支援が必要になるケースもあるが、自治体間の事例共有も不十分である。令和5年3月発出された「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」に沿った、質の高い診療が実践されるよう適切にガイドしていくことが必要である。本研究ではそのようなニーズに応えるべく、臨床家が好事例を参考にしつつ、適切なオンライン診療を実践できるような手引書を策定する。
研究の実施経過・概要:初年度は課題1「地域医療の中でオンライン診療を有効に活用した好事例の収集」・課題2「離島・僻地医療、災害支援の観点を含めた地域ニーズ・支援実態の把握」を中心に取り組んだ。
課題1については、全国の医療機関、関係する学会等団体を通してヒアリングを実施し、2024年度中に27例の同意取得済みの好事例について収集することができた(木下翔太郎、岸本泰士郎)。ヒアリングでは、好事例におけるオンライン診療導入までの経緯、対面ではなくオンライン診療を選択した背景、導入によって得られた効果など、症例ごとに27の項目について情報収集を行なった。今後、これらの好事例をまとめたものを症例報告として論文化することを予定している。
課題2については、担当する東北大(僻地)(富田博秋)、長崎大(離島)(熊﨑博一)を中心に、自治体等と連係し実際にオンライン診療を導入する事例の支援や情報収集を行なった。その中で得られた好事例については課題1のヒアリングも追加して実施した。また、来年度実施する課題3に向けて、導入時に現場担当者が感じる困難感や導入の障壁などについても担当者からヒアリングし情報収集を行なった。
研究により得られた成果の今後の活用・提供:次年度は、課題1、2で収集された情報をもとに、オンライン診療を初めて実践する医師を想定した手引書を策定する。遵守事項の説明のみならず、オンライン診療の導入方法や、患者への説明、診療で注意すべきこと、質を保つための工夫等にも触れる。高齢の地域住民、災害医療、離島・僻地におけるオンライン診療の提供を想定し、専門医と自治体との連携についても、その役割分担を示し、手順について詳述する。
研究代表者らは、今までに日本医療研究開発機構(AMED)委託研究として、「遠隔精神科医療の臨床研究エビデンスの蓄積を通じたガイドライン策定とデータ利活用に向けたデータベース構築(通称J-INTEREST)(2016-7)」、「対面診療に比したオンライン診療の非劣勢試験:COVID-19によって最も影響を受け得る精神疾患に対するマスタープロトコル試験による検証(通称J-PROTECT)(2020-2)」等を通じた精神科領域におけるオンライン診療のエビデンス構築を行ってきた。具体的には、前者では認知機能検査の対面検査との同等性の証明を、後者では本邦の19施設が参加した無作為化比較試験で半年にわたるオンライン診療が対面診療に比して劣らないことを証明した。
今後求められるのは、オンライン診療が地域における医療提供のあり方の一つとして適切に普及し、地域の医療体制への貢献を果たしていくことである。R6年度の診療報酬改定を経て活用の拡大が予想されるが、多くの精神科医師はオンライン診療の経験がなく、ノウハウが共有されていない。患者によっては自治体の支援が必要になるケースもあるが、自治体間の事例共有も不十分である。令和5年3月発出された「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」に沿った、質の高い診療が実践されるよう適切にガイドしていくことが必要である。本研究ではそのようなニーズに応えるべく、臨床家が好事例を参考にしつつ、適切なオンライン診療を実践できるような手引書を策定する。
研究の実施経過・概要:初年度は課題1「地域医療の中でオンライン診療を有効に活用した好事例の収集」・課題2「離島・僻地医療、災害支援の観点を含めた地域ニーズ・支援実態の把握」を中心に取り組んだ。
課題1については、全国の医療機関、関係する学会等団体を通してヒアリングを実施し、2024年度中に27例の同意取得済みの好事例について収集することができた(木下翔太郎、岸本泰士郎)。ヒアリングでは、好事例におけるオンライン診療導入までの経緯、対面ではなくオンライン診療を選択した背景、導入によって得られた効果など、症例ごとに27の項目について情報収集を行なった。今後、これらの好事例をまとめたものを症例報告として論文化することを予定している。
課題2については、担当する東北大(僻地)(富田博秋)、長崎大(離島)(熊﨑博一)を中心に、自治体等と連係し実際にオンライン診療を導入する事例の支援や情報収集を行なった。その中で得られた好事例については課題1のヒアリングも追加して実施した。また、来年度実施する課題3に向けて、導入時に現場担当者が感じる困難感や導入の障壁などについても担当者からヒアリングし情報収集を行なった。
研究により得られた成果の今後の活用・提供:次年度は、課題1、2で収集された情報をもとに、オンライン診療を初めて実践する医師を想定した手引書を策定する。遵守事項の説明のみならず、オンライン診療の導入方法や、患者への説明、診療で注意すべきこと、質を保つための工夫等にも触れる。高齢の地域住民、災害医療、離島・僻地におけるオンライン診療の提供を想定し、専門医と自治体との連携についても、その役割分担を示し、手順について詳述する。
公開日・更新日
公開日
2025-06-27
更新日
-