障害福祉サービス等事業者における高次脳機能障害者への支援の実態把握及び推進のための研究

文献情報

文献番号
202417014A
報告書区分
総括
研究課題名
障害福祉サービス等事業者における高次脳機能障害者への支援の実態把握及び推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浦上 裕子(国立障害者リハビリテーションセンター病院 第一診療部 精神科(研究所併任))
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 立石 博章(国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター)
  • 内山 量史(一般社団法人日本言語聴覚士協会)
  • 鈴木 智敦(名古屋市総合リハビリテーションセンター)
  • 鈴木 匡子(東北大学 大学院医学系研究科高次機能障害学)
  • 渡邉 修(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
  • 上田 敬太(京都大学医学部附属病院精神科神経科)
  • 青木 美和子(札幌国際大学人文学部心理学科)
  • 廣瀬 綾奈(帝京平成大学 健康メディカル学部言語聴覚学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害福祉サービス等事業者における高次脳機能障害者への支援については、令和4年6 月に取りまとめられた社会保障審議会障害者部会報告書において、その特性に対応できる専門性を持つ人材配置を推進するための方策について検討する必要があるとの指摘があった。本研究では、障害福祉サービス等事業所における高次脳機能障害者の利用および支援拠点や医療機関等との連携について、その実態把握を行い、課題を明らかにし、これらの課題解決のための提言を行うことを目的とした。また先年「高次脳機能障害の障害特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキストの開発のための研究(令和2〜4年度)」で申請者らが開発した支援者養成研修カリキュラム及びテキストについて、全国での実施状況を調査し、運用上の課題を収集し、認められた問題点の解決に向けた改訂、提言を行うことを目的とした。
研究方法
1)障害福祉サービス事業所における高次脳機能障害者の利用実態および支援拠点機関との連携に関する調査として、①東京都(1,004か所)、滋賀県(100か所)で相談支援事業所対象質問紙調査を実施、中部ブロック(385か所)で自立訓練系事業所対象質問紙調査を実施、いずれも高次脳機能障害者の利用状況、人員配置、これら事業所への紹介元あるいは計画相談作成等について調査、②北海道において支援拠点機関である保健所26か所を対象に障害福祉事業所との機関連携の調査を実施。
2)「高次脳機能障害の障害特性に応じた支援者養成研修カリキュラム及びテキストの開発のための研究」で開発されたテキストを用いた研修会について、その実施状況の全国調査を実施。
3)研究班で研修会運営についてディスカッションを繰り返し、テキストの一部改正を実施。
なお調査に関しては国立障害者リハビリテーションセンター、各分担研究者所属機関において倫理審査委員会の承認を受け実施した。
結果と考察
(1)①令和7年2月から3月にかけて実施した相談支援事業所調査では、約3割の回収率で、現在結果分析中である。自立支援事業所調査については、105事業所より回答。その結果、高次脳機能障害者の利用実績に偏りが見られ、実績がない事業所が41%を占め、利用者が少ない事業所と多い事業所の間に相違点が認められた。高次脳機能障害者の利用実績が多い事業所は、専門職の評価や職員配置が充実しており、連携体制も整備されている。これにより、支援の質が向上し、利用者に対する支援がより効果的に行われていた。②支援拠点機関調査では25か所から回答を得た。相談支援、訪問指導の件数はばらつきがあるとともに支援において困難を感じている箇所が多かった。
(2)研修会について、1月に調査を実施し、45都道府県から回答を得た。令和6年度中の研修実施は17県、7年度実施予定が22県、未定が6県。委託により研修を実施する県が多く、修了書の発行、修了者名簿の管理は県庁等が直接行う例が多い。研修の対象者は、「県内の障害福祉サービス等事業所に従事する職員」等、加算対象事業所向けに特化する県が多く、定員以上の応募を想定して選考基準を定める例もあった。研修の実施方法については、講義科目はオンラインで研修動画を用いる県が多く、演習科目はテキストを用いて集合型で実施する県が多い。課題として、「委託先の候補が少ない/ない」、「定員超過の申込みがあった場合の選考基準」、「オンデマンド実施した場合の受講者の理解度確認・効果測定」、「研修講師、ファシリテーターの確保、養成」、「講義のコマ数、研修内容量(時間)が多大」、「地域の実態に応じた講義内容の検討、作成」、「研修実施に係る予算確保」等が挙げられた。今後「研修運営・受講の負担を考慮した実施方法の提案」、「テキスト改訂」、「講師、ファシリテーターの養成」を検討したい。
(3)研修会テキストの改定について、基礎編04「失語症とコミュニケーション支援」07「生活訓練」08「復職・就労移行支援」、実践編02「小児期における支援」実践編03C「コミュニケーション支援」について一部修正。
結論
高次脳機能障害者の地域での共生生活を推進するため、障害福祉サービス等事業所における実態調査、また支援者の資質向上のために今年度より加算対象となった研修会について実施状況把握を行い、課題を明らかにし、加えて現在の研修会標準テキストの改訂に向けて準備を行った。

公開日・更新日

公開日
2025-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
202417014Z