文献情報
文献番号
201001015A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護・検診情報を接合した総合的パネルデータ構築と地域医療における「根拠に基づく健康政策(EBHP)」の立案と評価に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 康志(東京大学大学院経済学研究科 現代経済専攻)
研究分担者(所属機関)
- 甲斐 一郎(東京大学大学院医学系研究科)
- 小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科)
- 石崎 達郎(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 鈴木 亘(学習院大学経済学部)
- 両角 良子(富山大学経済学部)
- 湯田 道生(中京大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療制度改革で地域化が重視される一方、地域単位でのデータ整備は遅れており、地方自治体で「根拠に基づく健康政策(EBHP)」を推進するのは難しいのが現状である。本研究は、福井県の協力の下、医療費・介護費と健診に関する総合的データベースの構築とそれに基づく政策立案・政策評価を定量的に示す事を目的とする。
研究方法
前年度に構築した、医療保険・介護保険・特定健診データを個人単位で接合した「総合的パネルデータ」を用いた分析を中心に研究を進めた。前年度に引き続き、医療費・保険財政の研究として「福井県国民健康保険の医療費と保険税の将来予測」の研究をおこなった。また、医療と介護の費用構造の連関を考察するため「レセプトデータを用いた医療費・介護費の分布特性に関する分析」、「死亡前1年間における高齢者の医療費と介護費」の研究に取り組んだ。さらに介護について「介護予防給付の導入が要支援者の要介護状態の変化に与えた影響」の研究をおこなった。
結果と考察
「レセプトデータを用いた医療費・介護費の分布特性に関する分析」では、医療費と介護費の結合分布についての基礎的な知見を得た。医療費と介護費は全体としては弱いながらも負の相関関係があるが、それは介護施設入所者や入院患者が大きく影響している。施設入所者や入院患者を除いた在宅高齢者についてみると、医療費と介護費の関係は無相関か、若干ながら正の相関となっている。医療費、介護費の集中度の持続性を分析したところ、 9・10分位の医療費のその後の変化をみると、急激に減少してゆく傾向があるが、介護費については持続性が高く、平均への回帰が遅い状況がある。
「死亡前1年間における高齢者の医療費と介護費」では、終末期における医療と介護の連携の現状を検証する。加齢とともに、医療費は低下するが、介護費は増加する。医療費と介護費の合計は低下する。入院・入所期間が長いほど、医療費・介護費はそれぞれ高い。死亡月に向かうにつれて、医療費は増加し続けるが、介護費は増加の後、最後は減少する。これは、入院患者の76%と入所者の40%が最終的に病院で最期を迎える事実に影響されている。
「死亡前1年間における高齢者の医療費と介護費」では、終末期における医療と介護の連携の現状を検証する。加齢とともに、医療費は低下するが、介護費は増加する。医療費と介護費の合計は低下する。入院・入所期間が長いほど、医療費・介護費はそれぞれ高い。死亡月に向かうにつれて、医療費は増加し続けるが、介護費は増加の後、最後は減少する。これは、入院患者の76%と入所者の40%が最終的に病院で最期を迎える事実に影響されている。
結論
個人のレベルでの医療・介護費合計の分布特性は、従来から知られている医療費単独あるいは介護費用単独の分布特性と違った特徴をもつことが示された。
公開日・更新日
公開日
2011-06-07
更新日
-