療養病床退院後、療養先についての追跡調査(短期・長期追跡)による必要な社会サービスの検討

文献情報

文献番号
201001013A
報告書区分
総括
研究課題名
療養病床退院後、療養先についての追跡調査(短期・長期追跡)による必要な社会サービスの検討
課題番号
H21-政策・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松山 真(学校法人立教学院 立教大学 コミュニティ福祉学部 福祉学科)
研究分担者(所属機関)
  • 富樫 八郎(沖縄大学人文学部福祉文化学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
1,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療費の高騰特に高齢者の入院費を抑制するため、療養病床の大幅な削減が予定された。本研究は、療養病床を退院する場合の新たな療養先を検討し、必要とされるサービスを特定することを目的としている。従来は多くの研究が経営的観点からなされているが、ソーシャルワーク的観点から考察する。環境全体の中で生活スタイルに合わせたサービスの選択をする中で、どのようなサービスが選択されたかを考察する。
研究方法
既に療養病棟を廃止している病院から退院した患者について、身体状況などと、「退院直後」「1年後」「2年後」「3年後」の療養先について追跡調査を行う。退院援助を担当したソーシャルワーカーに調査を依頼し、家族状況、経済状況等についても把握する。調査結果について担当ソーシャルワーカーと話し合いを持ち、個別的把握を行う。また、地域社会資源や退院援助の現状を把握するために、当該地域の医療ソーシャルワーカーと都市部急性期病院の医療ソーシャルワーカーに、フォーカス・グループインタビューを実施する。
結果と考察
 退院直後と1年後に30%が在宅療養を選択した病院では、病棟での患者同士の関係が良く、在宅選択の連鎖が見られた。またその地域にはショートステイ専用老健が3カ所と病院もショートステイを実施し、年間で3・4ヶ月入所しながら在宅を継続していた。医療療養は、区分1であっても脳梗塞と癌、などと複数の疾患を持った人が選択していた。急性期の段階で、医療区分に合わせる形で治療が選択され、区分1の患者の療養先選択は困難になっている。老健側から投薬の中止や変更を求められるなど、診療報酬や介護報酬の設定の仕方で弊害が起きている。
結論
在宅か施設かの二者択一的な選択ではなく、年数ヶ月単位の中期ステイにより在宅が選択できる可能性が在る。しかも、農繁期、冬季、毎週、などその家族の生活スタイルに合致した介護シェアの在り方を調整する医療ソーシャルワーカーは重要である。入所型の介護施設は需要があり、急激な減少は大きな問題となる。医療療養は複数の疾患を持つ人を担当し、老健は「リハに強い」「医療に強い」など地域の現状に合わせて独自性があるといい。小規模多機能は都市では受け皿の可能性がある。医療区分の分類と医療の必要性にミスマッチがある。区分1の受け皿となっている有料ホームは質の問題が危惧される。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201001013B
報告書区分
総合
研究課題名
療養病床退院後、療養先についての追跡調査(短期・長期追跡)による必要な社会サービスの検討
課題番号
H21-政策・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松山 真(学校法人立教学院 立教大学 コミュニティ福祉学部 福祉学科)
研究分担者(所属機関)
  • 富樫 八郎(沖縄大学人文学部福祉文化学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療費の高騰特に高齢者の入院費を抑制するため、療養病床の大幅な削減が予定された。本研究は、療養病床を退院する場合の新たな療養先を検討し、必要とされるサービスを特定することを目的としている。従来は多くの研究が経営的観点からなされているが、ソーシャルワーク的観点から考察する。環境全体の中で生活スタイルに合わせたサービスの選択をする中で、どのようなサービスが選択されたかを考察する。
研究方法
 既に療養病棟を廃止している病院から退院した患者について、身体状況などと、「退院直後」「1年後」「2年後」「3年後」の療養先について追跡調査を行う。退院援助を担当したソーシャルワーカーに調査を依頼し、家族状況、経済状況等についても把握する。調査結果について担当ソーシャルワーカーと話し合いを持ち、個別的把握を行う。また、地域社会資源や退院援助の現状を把握するために、当該地域の医療ソーシャルワーカーと都市部急性期病院の医療ソーシャルワーカーに、フォーカス・グループインタビューを実施する。
結果と考察
退院直後と1年後に30%が在宅療養を選択した病院では、病棟での患者同士の関係が良く、在宅選択の連鎖が見られた。またその地域にはショートステイ専用老健が3カ所と病院もショートステイを実施し、年間で3・4ヶ月入所しながら在宅を継続していた。医療療養は、区分1であっても脳梗塞と癌、などと複数の疾患を持った人が選択していた。急性期の段階で、医療区分に合わせる形で治療が選択され、区分1の患者の療養先選択は困難になっている。老健側から投薬の中止や変更を求められるなど、診療報酬や介護報酬の設定の仕方で弊害が起きている。
結論
 在宅か施設かの二者択一的な選択ではなく、年数ヶ月単位の中期ステイにより在宅が選択できる可能性が在る。しかも、農繁期、冬季、毎週、などその家族の生活スタイルに合致した介護シェアの在り方を調整する医療ソーシャルワーカーは重要である。入所型の介護施設は需要があり、急激な減少は大きな問題となる。医療療養は複数の疾患を持つ人を担当し、老健は「リハに強い」「医療に強い」など地域の現状に合わせて独自性があるといい。小規模多機能は都市では受け皿の可能性がある。医療区分の分類と医療の必要性にミスマッチがある。区分1の受け皿となっている有料ホームは質の問題が危惧される。

公開日・更新日

公開日
2011-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201001013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 長期入院が前提と思われている療養病棟入院患者について、退院後のサービスについて考察することができた。その中で、在宅に移行可能な条件について提示できた。家族の生活スタイルに合った年数ヶ月単位の中期ステイを活用することで、可能になる群がある。さらに今後、医療療養や老健はさらにその特徴を明確にすることで存在意義が見いだされるのではないか。医療ソーシャルワーカーが信頼関係を軸に、個々人の生活スタイルに合わせて、医療・保健・福祉サービスを調整することは効果的である。
臨床的観点からの成果
 療養病床を持つ病院であっても、退院あるいは在宅を意識した援助を行う必要性を指摘できる。介護療養病床であっても常に可能性を考慮しておくべきである。医療区分・ADL区分、在院日数など制度的制約があり、医療・保健・福祉のさまざまなサービスが分断されていくきらいがある。担当するソーシャルワーカーは、制度的改変も訴えながら、実質的に全体を柔軟に活用し、統合した形での療養の在り方を個別的に目指していくことが求められる。
ガイドライン等の開発
特にありません。
その他行政的観点からの成果
療養病床に長期入院している者であっても、地域の社会資源を各個人の生活スタイルに合わせて活用することで、在宅療養に移行することが可能であることを示した。政策課題として療養病床の廃止が検討される場合には、経済的観点からのみの検討ではなく、入院患者とその家族の立場に立った在宅移行の条件設定をまず進めることが必要であることを指摘した。
その他のインパクト
特にありません。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第32回日本医療社会事業学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
2015-05-21

収支報告書

文献番号
201001013Z