精神科医療機関における行動制限最小化の普及に資する研究

文献情報

文献番号
202417006A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科医療機関における行動制限最小化の普及に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC1014
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 直也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 隆博(東海大学 医学部看護学科)
  • 三宅 美智(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 公共精神健康医療研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国の行動制限の増加傾向をふまえ、先行研究における成果を援用しつつ、実効的な行動制限最小化活動を普及させることによって本質的な行動制限最小化の実現に資することである。
研究方法
研究組織全体の方針として、当事者を含む多分野の専門家・職種で合議体制を構築してこれを有識者検討の場とし、毎月テーマを決め、全体的な議論とともに各分担研究についても協議・検討した。分担研究1(杉山)「病院間相互ピアレビュー手順および方法論の開発」では、先行研究をもとに領域エキスパートの合議によってピアレビューチェックリストを完成させ、予備的実施を行って実行可能性を検証した。分担研究2(吉川)「取り組み事例調査」では、分担研究者の所属する臨床研究審査委員会にて承認を得たうえ、「代替法」「患者参加型隔離・拘束パス」「組織風土」をテーマに対象を選定し、半構造化面接によるグループインタビューと内容の質的分析を実施した。分担研究3(三宅)「普及・啓発のための資材開発」では、9つの教育資材を完成させ、資材を集約的に提供するためのプラットフォームを構築に取り組んだ。
結果と考察
研究会議は予定通り開催された。病院間相互ピアレビューに用いるピアレビューチェックリストが確定され、2病院が参加する病院間ピアレビューを1セットとし、合計2セット(4病院)の予備的実施を行った。その結果、1セット目では、身体的拘束量の減少が確認された。また行動制限最小化を推進するにあっての課題が明確になったとする回答が有意に増加した。取り組み事例調査では、質的分析の結果、行動制限最小化のプロセスは、①慣習に挑む、②課題の多い患者に挑戦、③行動制限しないをあたり前に挑戦、この3つのステージ分類されることが分かった。普及・啓発では、9つの教育資材が完成し、それを集約的に提供するためのプロットフォームが構築された。
結論
本研究が開発したピアレビュー手順の活用、取り組み事例から得られる知見の共有、教育資材の浸透とプラットフォーム化によって、本質的な行動制限最小化活動が普及されるならば、わが国の医療現場における治療文化や風土に変革をもたらし、当事者の権利擁護に配慮すると同時に、良質で非制限的な精神科医療の促進が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-23
更新日
-

文献情報

文献番号
202417006B
報告書区分
総合
研究課題名
精神科医療機関における行動制限最小化の普及に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GC1014
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 直也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 隆博(東海大学 医学部看護学科)
  • 三宅 美智(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国の行動制限の増加傾向をふまえ、先行研究における成果を援用しつつ、実効的な行動制限最小化活動を普及させることによって本質的な行動制限最小化の実現に資することである。
研究方法
研究組織全体の方針として、当事者を含む多分野の専門家・職種で合議体制を構築してこれを有識者検討の場とし、毎月テーマを決め、全体的な議論とともに各分担研究についても協議・検討した。分担研究1(杉山)「病院間相互ピアレビュー手順および方法論の開発」では、先行研究をもとに領域エキスパートの合議によってピアレビューチェックリストを完成させ、予備的実施を行って実行可能性を検証した。分担研究2(吉川)「取り組み事例調査」では、分担研究者の所属する臨床研究審査委員会にて承認を得たうえ、「代替法」「患者参加型隔離・拘束パス」「組織風土」をテーマに対象を選定し、半構造化面接によるグループインタビューと内容の質的分析を実施した。分担研究3(三宅)「普及・啓発のための資材開発」では、9つの教育資材を完成させ、資材を集約的に提供するためのプラットフォームを構築に取り組んだ。
結果と考察
研究会議は予定通り開催された。病院間相互ピアレビューに用いるピアレビューチェックリストが確定され、2病院が参加する病院間ピアレビューを1セットとし、合計2セット(4病院)の予備的実施を行った。その結果、1セット目では、身体的拘束量の減少が確認された。また行動制限最小化を推進するにあっての課題が明確になったとする回答が有意に増加した。取り組み事例調査では、質的分析の結果、行動制限最小化のプロセスは、①慣習に挑む、②課題の多い患者に挑戦、③行動制限しないをあたり前に挑戦、この3つのステージ分類されることが分かった。普及・啓発では、9つの教育資材が完成し、それを集約的に提供するためのプロットフォームが構築された。
結論
本研究が開発したピアレビュー手順の活用、取り組み事例から得られる知見の共有、教育資材の浸透とプラットフォーム化によって、本質的な行動制限最小化活動が普及されるならば、わが国の医療現場における治療文化や風土に変革をもたらし、当事者の権利擁護に配慮すると同時に、良質で非制限的な精神科医療の促進が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-06-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202417006C

収支報告書

文献番号
202417006Z