文献情報
文献番号
201001010A
報告書区分
総括
研究課題名
老後保障の観点から見た企業年金の評価に関する研究
課題番号
H21-政策・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人年金シニアプラン総合研究機構(財団法人年金シニアプラン総合研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では老後保障に資する「理想的な」企業年金制度のあり方について、法規制と税制優遇を含めて検討すると伴に、老後保障に資する「理想的な」企業年金とは何かという観点から、企業年金制度に求められる要件に関しての一定の指標を構築し、その有効性を検証することを目的とする。
研究方法
計8回の研究会を実施し、前年度に提示した新たな法政策の枠組みについての妥当性検証を行うと伴に、前年度に作成した仮の評価軸が実際に定め得るかどうか、実際に18の企業年金に対してヒアリング調査を実施し、その有効性を検証した。また海外調査(ドイツ)を行い「理想的な」企業年金に対する考え方を明らかにした。さらに、企業年金がない雇用者や自営業者の老後保障については政策上無視出来ないものであり、企業年金がない人の老後保障のあり方についても、年金制度全体の枠組みの中で税制のあり方を含めて検討を行っていく必要があることを指摘し、これらの人に対する「企業年金に関する意識調査」を実施し、企業年金がある人との比較分析を行った。
結果と考察
「理想的な」企業年金制度の要件となりうる項目として次の4点を挙げた。A.終身給付の選択肢を用意するなど何らかの形で受給者の長生きリスクへの対応を図っていること。B.専門家の配置などにより資産運用の体制を整備していること(掛金建て制度の場合には、加入者が自らの老後所得保障を意識した運用判断を行えるようにするための情報提供など行われていること)。この具体的な要件は、①運用ガイドラインの策定、②資産運用委員会の設置、③専門家の配置、④運用に関する情報提供の有無などである。C.制度運営に対し実質的な意味において加入者・受給者が「参加」できる仕組みがあること。D.他の制度との間でのポータビリティの確保が図られていること。
結論
企業年金の税制優遇のあり方について、4つの「フェーズ」を用いた段階的な規制枠組みによる「新たな法政策の枠組み」のモデルを提示した。①第1フェーズは、企業年金という「約束」の「任意性」を尊重する。②第2フェーズは、「約束」の中身を明示する義務を課す。この規制は労働法的規制とする。③第3フェーズは、資産の外部積立てにより「約束」の履行確実性を高める。④第4フェーズは、より老後所得保障に資する制度であれば税制優遇を行い「約束」の中身を充実させる。また、全ての退職給付制度に対して、その約束の中身を開示する「情報開示義務」を課すことを提言する。具体的な開示項目及び「情報開示シート」モデルの作成まで行った。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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