高齢者等のセルフ・ネグレクト(自己放任)を防ぐ地域見守り組織のあり方と見守り基準に関する研究

文献情報

文献番号
201001005A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者等のセルフ・ネグレクト(自己放任)を防ぐ地域見守り組織のあり方と見守り基準に関する研究
課題番号
H20-政策・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
津村 智恵子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 臼井 キミカ(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 河野 あゆみ(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 和泉 京子(大阪府立大学 看護学部)
  • 山本 美輪(大阪信愛女学院短期大学)
  • 大井 美紀(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 川井 太加子(桃山学院大学 社会福祉学部)
  • 金谷 志子(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 桝田 聖子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 上村 聡子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 前原 なおみ(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 鍜治 葉子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)住民ボランテイア用の見守り基準(案)の作成と調査対象地区での試行と修正。
2)各対象地区内の見守り組織構成員等に研修を実施、見守り専従職員有無別での見守り組織活動の変化を調査。
3)見守りボランテイアに研修を行い、見守り組織研修プログラム(案)試行の成果をみる。
4)先進的見守り組織を視察より見守り組織構築への参考にする。
研究方法
1)住民ボランテイア用の見守り基準(案)の作成と試行、回収とSPSS,Ver.15を用い量的分析。
2)住民見守り組織活動の実際と変化をText Mining Studio3.1を用い質的分析。
3)見守り組織研修プログラム(案)を実施、見守り組織にメンバー152人分インタビューデータを回収、Text Mining Studio3.1を用い質的分析。
4)先進的見守り組織視察は、大牟田市の認知症高齢者早期発見・対処等へのまちぐるみ活動を3回訪問・視察を行い、その成果を分析。
結果と考察
1.ボランテイア用見守りチェックシート(案)の全ての項目を整理・簡略化し、使用説明に時間を掛けたことで見守りチェックリストは、使いやすさ、内容の適切さ、判断基準として改善された。
2.見守り専従ありの地域では、地域見守り組織と見守り専従者等が、「顔見知りになる」「お互いの役割がわかる」「協働できる」の3段階の地域見守りネットワーク構築を経て、見守り活動の活性化につながっていた。
3.研修を通して、住民見守りの限界に対し、見守り可能な範囲を意見交換し、活動を活性化させる内容と方法を考えることができた。また、見守り専従ありの地域では、近隣と協力した見守り活動を通して、生活面で協力のできる付き合いに深まっていた。
4.先進的見守り組織・活動実践地域の視察は、高齢者見守り組織づくりに難航している市町村等への活動促進へのヒントを得た。
結論
1.全体的に見守りチェックリストの有効性を感じている人は8割以上を占めた。見守り専従なし地域では、見守りチェックリストは役立つており、判断基準に用いていた。
2.見守り専従ありの地域では、見守り組織と見守り専従者等が、「顔見知りになる」「お互いの役割がわかる」「協働できる」の3段階の組織構築過程を経て活動は活性化していた。
3.組織育成研修参加で、セルフ・ネグレクトや見守りの必要性を感じた人が多かった。また、見守り専従なしの地域ではセルフ・ネグレクトの見守りの必要性を強く感じていた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
201001005B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者等のセルフ・ネグレクト(自己放任)を防ぐ地域見守り組織のあり方と見守り基準に関する研究
課題番号
H20-政策・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
津村 智恵子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 臼井 キミカ(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 河野 あゆみ(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 和泉 京子(大阪府立大学大学院 看護学研究科)
  • 山本 美輪(大阪信愛女学院短期大学)
  • 大井 美紀(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 川井 太加子(桃山学院大学 社会福祉学部)
  • 金谷 志子(大阪市立大学大学院 看護学研究科)
  • 桝田 聖子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 上村 聡子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 前原 なおみ(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
  • 鍜治 葉子(甲南女子大学 看護リハビリテーション学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)地域特性別及び、見守り専従者(行政等が雇用)有・無別見守り組織体制のあり方を検討
2)住民ボランテイア用の見守りチェックリスト(基準)の作成
3)見守り組織構成員であるボランテイアを育成する効果的な研修プログラムの作成
4)新たに見守り組織を構築する地域への有効な組織づくりのすすめ方を紹介
研究方法
・平成20年度:見守り組織の地域別、見守り専従者有無別の活動実態把握のため、34見守り組織に郵送調査、回答600人分を量的分析。28見守り組織にグループ及び個別インタビューを実施。逐語録の質分析と併行しセルフ・ネグレクト研修実施。
・平成21,22年度:28見守り組織に作成した見守りチェック票の使用研修を実施・配布。3ヵ月前後に334部回収・分析。同時に昨年度の研究対象者にインタビューを行い併せて、作成プログラムで2年間研修を実施。平成20年より同一対象者を3年間継続して追跡。
結果と考察
見守り専従者有・無比較では、見守り専従者なし組織は「見守りは荷が重い」約6割、専従者あり組織と比べ2割多い。見守り専従者あり組織は見守りなし組織に比べ活発であった。見守り専従者の支援・連携は住民見守りメンバーの不安感の軽減と活動活発化に繋がった。限界集落のIT見守り導入後も住民の見守り組織はIT見守りと並行して不可欠であった。
見守りチェックリストは34見守り組織で2年間試用後、「見守り判断基準とし役立った」が見守り専従有・無を合わせ8割強あり、見守り専従なし組織では約9割が有効と答えた。
見守り組織メンバー育成のため作成した研修プログラムは、初年度研修開始前及び2年半後迄3回研修し、「連携」「おせっかい」など、住民の主体的活動姿勢を引出しており、セルフ・ネグレクト研修が役立つことが判明。また、先進地域視察は、見守り組織構築への示唆となった。
結論
1)見守り専従者あり体制は、見守り組織メンバーに安心感を与え、活動の活発化に繋がっていた。過疎集落のIT導入は、並行して住民見守り組織も不可欠であった。
2) 作成した住民ボランテイア用見守りチェックリストは、見守り判断基準として有効であった。
3)ボランテイア育成研修は、住民のセルフ・ネグレクト高齢者等の訪問の必要性と併せ「連携」「おせっかい」など、住民の主体的見守り活動姿勢育成に繋がっていた。
4)見守り先進地域視察は、新たな見守り組織構築への具体的な示唆を得た。

公開日・更新日

公開日
2011-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201001005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
平成20年度に西日本を中心に都市、農村過疎地域など10市町の高齢者等のセルフ・ネグレクトを防ぐ見守り28組織について、3年間の活動の変化を追跡。あわせて、同一組織で引き続き見守り活動を継続して行っているメンバーの活動の変化を追跡。同時に研修用プログラム作成・実施の効果も同様に地域特性別及び見守り専従者の有・無別で2年間追跡。調査データは毎年量的及び質的分析を行い、見守り組織のあり方への提言、見守りチェック用紙作成、効果的な研修プログラム作成などの成果を得た。
臨床的観点からの成果
見守りボランテイア組織への1)見守り専従者の有・無別分析では、行政等が見守り専従者を配置の地域は、見守りボランテイアの見守りは活発に行われていたが、住民ボランテイアのみ活動地域では不安感と責任の重さを訴え継続活動者が少ない。2)地域特性別では、見守りボランテイアも高齢化の限界集落ではICT導入は必須であり、あわせてICT導入後の見守りボランテイアの活動も並行して必要性の高いことが判明。1)2)より、行政等の見守り専従者配置は、見守りボランテイアの安心感と役割の継続化、活動の活発化に繋がっていた。
ガイドライン等の開発
都市、農村過疎地域など10市町の高齢者等のセルフ・ネグレクトを防ぐ見守り34組織600人の見守り活動実態調査をふまえ、住民ボランテイア用の見守りチェックシートを作成。28組織で試用・修正を加えながら2年間用い、3)「見守りチェックシート」を作成・発表。また、2年間28組織を対象に、4)見守り組織及び活動ボランテイア育成のための研修プログラム及びセルフ・ネグレクト高齢者等防止のため身近な事例を用いたドラマシナリオを作成。
その他行政的観点からの成果
前述3)「見守りチェックシート」及び4)研修プログラムと身近な事例を用いたドラマシナリオは、調査対象10市町の研修会の他、行政関係者から依頼を受け、主任研究員は平成21年9月神戸市民生委員700名、平成22年1月兵庫県地域包括看護職60名、同年3月兵庫県市町村福祉職員200名、同年9月堺市地域包括職員・民生委員80名、同年10月愛知県岡崎市民生委員200名、同年12月兵庫県プライマリケア協議会医師等200名、平成23年3月尼崎市民生委員等200名に対し講演・研修を行った。
その他のインパクト
主担・分担研究者が主催する保健福祉専門職向け定例開催の参加者30名?60名の大阪高齢者虐待防止研究会において、平成20年11月「高齢者の地域見守りシステム立上げと活動」、平成22年5月「高齢者の孤立を防ぐ先進的見守り組織に学ぶ」、平成23年1月「独居高齢者へのICTシステム活用による見守り」、同年3月「認知症を地域全体で見守る取組みとは」、同年5月「地域の高齢者見守り組織を育てる研修とは」をテーマに本研究成果を公表、研究冊子等を配布。全国1,300の市町と179の看護系大学に研究冊子を配布した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
27件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
桝田聖子、金谷志子、津村智惠子
高齢者の地域見守りネットワークとソーシャル・キャピタル
高齢者虐待研究 , 6 (1) , 130-139  (2010)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
2014-06-09

収支報告書

文献番号
201001005Z