文献情報
文献番号
202416004A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の遠隔医療及びケア提供を促進するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23GB1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 認知症未来社会創造センター)
研究分担者(所属機関)
- 井藤 佳恵(東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
- 川勝 忍(公立大学法人福島県立医科大学 会津医療センター)
- 小野 賢二郎(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
- 新堂 晃大(三重大学 大学院医学系研究科 神経病態内科学)
- 鄭 勳九(ジョン フング)(広島大学 医系科学研究科 共生社会医学講座)
- 滝口 優子(社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター 研修部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は,医療資源や交通手段の確保が困難なため認知症医療ケアの提供に課題が生じている地域において、シームレスな医療介護提供体制を構築・維持するための方法を示し、自治体で活用可能な資料を作成することにある.
研究方法
上記の目的を達成するために、2024年度は7つの分担研究課題を設定し、前年度の研究を踏まえて,全国の離島中山間地域において,認知症医療・ケア提供のモデルづくり,可視化,有用性評価を行った。
結果と考察
1)全国の離島・中山間地域における認知症支援体制の実態把握に関する研究では、認知症疾患医療センターが未整備の二次医療圏が18圏域存在することを示し,そのすべてが過疎地・特定農山村にあることを示した(研究1).また,離島で認知症支援を実践している医療・介護・地域支援の専門職同士の情報共有の場として,離島認知症支援ネットワーク(仮称)の立ち上げ準備を開始した(研究2).2)東京都及び全国の離島における認知症支援体制の実態調査と支援モデルの開発では、認知症等高齢者支援体制の課題として、量の不足、インフォーマルサポートの脆弱化とそれを補う資源が創出できないこと、住民のヘルスリテラシーとスティグマ、という課題が抽出され、これに対して、自治体内外の多機関多職種との連携、専門職教育の機会を得ること、住民教育の機会の創出という対応がなされていたことを示した。3)福島県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、IoTの普及にはデジタル格差の影響が無視できないこと,IBM遠隔診療支援アプリを用いたD to Dは充分に利用可能であること,介護支援ソフト「ケアエール」を利用した介護事業所と利用者家族との通信網利用は介護者に好評であることを示した.4)石川県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、能登地域にあるへき地医療拠点病院、認知症疾患医療センターともに、能登半島地震による被災や地域コミュニティ及び家族支援体制崩壊の影響で、入院の長期化や認知症患者の症状悪化といった問題が生じていることを示した.5)三重県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、医師不足地域における認知症のITスクリーニング,地域住民に対する認知症の勉強会を実施し,その有用性を示した.6)広島県の僻地における認知症支援体制構築に関する研究では、民生委員を対象とするアンケート調査と介護支援専門員を対象とするオンライン研修から、認知症地域支援体制における民生委員の重要性と介護支援専門員に対するオンライン研修の有用性を示した。7)オンラインを用いた介護専門職の人材育成に関する研究では、異なる離島間を結ぶオンライン研修を実施し,①離島の介護専門職が容易に集まり、研修会を実施することができること,②離島という共通の環境にある介護専門職同士が互いの実情を知り、共感や新たな気付きを得る貴重な機会となること,③参加者の意欲は高く、地域を超えた学び合いの可能性と発展性があることが確認された。
結論
本年度の調査研究によって,離島・中山間地域の認知症医療・ケア・人材育成を促進するための多様なモデルの構築,可視化,有用性評価が実施された.昨年度及び本年度の結果を踏まえて,次年度は,地域の特性に応じた多様な認知症医療・介護・地域支援モデルの類型化とガイドブックの作成を行う予定である.
公開日・更新日
公開日
2025-05-29
更新日
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