文献情報
文献番号
202415008A
報告書区分
総括
研究課題名
PDCAサイクルに沿った介護予防の取組を推進するための通いの場等の中長期的な効果検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GA2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
島田 裕之(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 研究所老年学・社会科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 土井 剛彦(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室)
- 冨田 浩輝(国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター, 予防老年学研究部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
8,548,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、PDCAサイクルに沿った介護予防の取組を推進するための、通いの場等の中長期的な効果検証を実施するための基盤を構築することである。本研究では、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査、介護認定情報、大規模コホート研究(National Center for Geriatric and Gerontology-Study of Geriatric Syndromes:NCGG-SGS)「オンライン通いの場」アプリから取得可能なデータを利活用し、介護予防に資する中長期的な効果検証のための評価方法を提案する。また、各自治体で管理している介護認定情報と「オンライン通いの場」アプリで取得可能なライフログデータ(歩数、通いの場出席情報など)を突合・集計するシステムを開発し、これらのデータの活用を促進する。これらの調査結果から得られた知見に基づき、介護保険事業(支援)計画策定に有効な調査項目を検証する。
研究方法
【課題1】介護予防・日常生活圏域ニーズ調査項目への提案
① 日常生活動作(IADL/ADL)の制限因子や、新規要介護発生の関連要因
先行研究における文献レビューを実施した。文献レビューは、先行研究に基づいて作成した検索式を使用し、PubMedにて検索された論文から最終的に36件を対象とした。また、抽出された関連要因と既存の第9期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の調査項目を照合し、今後の調査に必要と考えられる新規項目の検討を実施した。
② 第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査における要支援の関連項目の検討
協力自治体である知多北部広域連合から、第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査のデータを受領し、一般高齢者(11,782名)と要支援者(834名)の比較を行い、要支援と関連する質問項目について検討した。
【課題2】システム開発・改修
オンライン通いの場アプリから収集したデータと介護認定情報のデータ整理を行い、データベース構築作業を進めた。上記データベースの作成においては、「オンライン通いの場」アプリから取得可能なデータと介護認定情報のデータを突合し、簡便にデータベース化できるプログラムを作成した。
① 日常生活動作(IADL/ADL)の制限因子や、新規要介護発生の関連要因
先行研究における文献レビューを実施した。文献レビューは、先行研究に基づいて作成した検索式を使用し、PubMedにて検索された論文から最終的に36件を対象とした。また、抽出された関連要因と既存の第9期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の調査項目を照合し、今後の調査に必要と考えられる新規項目の検討を実施した。
② 第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査における要支援の関連項目の検討
協力自治体である知多北部広域連合から、第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査のデータを受領し、一般高齢者(11,782名)と要支援者(834名)の比較を行い、要支援と関連する質問項目について検討した。
【課題2】システム開発・改修
オンライン通いの場アプリから収集したデータと介護認定情報のデータ整理を行い、データベース構築作業を進めた。上記データベースの作成においては、「オンライン通いの場」アプリから取得可能なデータと介護認定情報のデータを突合し、簡便にデータベース化できるプログラムを作成した。
結果と考察
【課題1】介護予防・日常生活圏域ニーズ調査項目への提案
① 日常生活動作(IADL/ADL)の制限因子や、新規要介護発生の関連要因
文献レビューの結果、年齢、性別、疾患、身体機能、認知機能、精神状態(抑うつ症状など)、生活習慣、栄養状態、社会的孤立・孤独など、多岐にわたる関連要因が新規要介護発生、IADL/ADL制限と統計学的に有意に関連することが示された。また、上述の関連要因と第9期ニーズ調査票との比較では、ニーズ調査に追加が推奨される項目として、孤独、QOL指標、睡眠、ICTの使用が考えられた。
② 第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査における要支援の関連項目の検討
要支援と直接的な関連が強い項目として、運動機能低下、ADL制限等の項目が抽出された。一方、要支援状態と直接的な関連が弱い質問項目や回答者の1%未満しか回答していない選択肢があるなど、質問項目や選択肢の再検討の必要性も明らかになった。
【課題2】システム開発・改修
開発したシステムを用いて自治体のアプリデータと介護保険データの統合データベースを作成した。通いの場アプリユーザのアプリ利用開始後の要支援・要介護認定や、認定更新に関する情報を突合することが可能になった。
① 日常生活動作(IADL/ADL)の制限因子や、新規要介護発生の関連要因
文献レビューの結果、年齢、性別、疾患、身体機能、認知機能、精神状態(抑うつ症状など)、生活習慣、栄養状態、社会的孤立・孤独など、多岐にわたる関連要因が新規要介護発生、IADL/ADL制限と統計学的に有意に関連することが示された。また、上述の関連要因と第9期ニーズ調査票との比較では、ニーズ調査に追加が推奨される項目として、孤独、QOL指標、睡眠、ICTの使用が考えられた。
② 第8期介護予防・日常生活圏域ニーズ調査における要支援の関連項目の検討
要支援と直接的な関連が強い項目として、運動機能低下、ADL制限等の項目が抽出された。一方、要支援状態と直接的な関連が弱い質問項目や回答者の1%未満しか回答していない選択肢があるなど、質問項目や選択肢の再検討の必要性も明らかになった。
【課題2】システム開発・改修
開発したシステムを用いて自治体のアプリデータと介護保険データの統合データベースを作成した。通いの場アプリユーザのアプリ利用開始後の要支援・要介護認定や、認定更新に関する情報を突合することが可能になった。
結論
今年度は、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査項目への検討、提案では、ADLの制限因子や、要介護発生の関連要因について文献レビューを実施し、現在のニーズ調査項目を精査するとともに、知多北部広域連合から受領した第8期ニーズ調査のデータから、要支援に関連する項目を検討した。また、「オンライン通いの場」アプリから取得可能なデータの集計システム、協力自治体より受領した介護認定情報の集計システムを開発し、これらのデータベース構築を進めた。今後は、現在使用されている調査項目の取捨選択を含めて、第8期ニーズ調査のデータを活用し、実際の要介護認定情報との関連性を分析する。また、アプリデータおよび介護認定情報の突合システムを用いて、取得したアプリデータの活用範囲の拡充とデータ解析を実施するための方法について検討を進めていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2025-05-29
更新日
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