感染症危機管理シミュレーション訓練の研究

文献情報

文献番号
200942041A
報告書区分
総括
研究課題名
感染症危機管理シミュレーション訓練の研究
課題番号
H21-健危・若手-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 健一(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療機関における効果的な感染症危機対策の実施を目標に、医療関係者向けの感染症危機管理シミュレーション訓練の開発を目指した。現在国内では医療関係者の卒前卒後教育に適した感染症対策教育プログラムに関して標準化された教育パッケージは確立されておらず、それを開発することが本研究の目的である。当初は医学生教育ツールとして確立させ、その後に職員向けの訓練プログラムとして発展させることで、医学生や医療関係者に対して感染症危機管理をはじめとする医療安全文化を醸成することが可能になると思われる。
研究方法
新興・再興感染症、バイオテロ等に関しての関連文献や研究発表のレビューを実施し、感染症危機管理訓練に関する比較事例研究を実施した。この際、特にシミュレーション演習型の教育パッケージに関する調査を重点的に行い、理想的な教育プログラムを選んだ後、実際に米国の先進事例に対し現地調査を行った。その後関係者と共に本研究の成果物としての感染症危機管理シミュレーション訓練プログラムの開発を行い、研究者が所属する日本医科大学において卒前の医学教育ツールとして、その効果を検証するためのプログラムを実施した。
結果と考察
理想的な教育プログラムとして米国ピッツバーグ大学におけるパンデミックプログラムを検討し現地調査を行った。それを基にシミュレーション型の教育プログラムの開発に取り組んだ。プログラムは、1.パンデミックと院内感染防御に関する講義、2.感染防御技術指導の演習、3.シミュレーション型パンデミックドリル、の3部構成とし、96名の日本医科大学医学部3年次学生に対して実施した。本ドリルでは、参加者が特に以下の項目を体験できるように工夫した。1.パンデミックがもたらす医療現場へのインパクト、2.対応すべき患者の優先順位付けの重要性、3.他職種とのチームワークの重要性、4.医療資源が有限である事の認識、5.良いコミュニケーションの価値について、6.リーダーシップの重要性について。アンケート結果および参加者の感想意見等より、感染症危機管理の重要性を理解させるにあたり、3部構成の本プログラムは効果的な教育手法である事が考えられた。
結論
本プログラムを医療関係者の教育ツールとして用いることで、感染症対策に限らず従来の医療安全、健康危機管理に対する安全文化を醸成する事が可能になると思われる。今後は本プログラムの普及に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-