健康危機管理事態において用いる医学的対処の研究開発環境に関する研究

文献情報

文献番号
200942037A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理事態において用いる医学的対処の研究開発環境に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-013
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(慶應義塾大学 医学部熱帯医学寄生虫学)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 智也(慶應義塾大学 医学部熱帯医学寄生虫学 )
  • 明石 真言(放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター )
  • 黒木 由美子((財)日本中毒情報センター )
  • 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構 災害医療センター )
  • 見理 剛(国立感染症研究所 細菌第二部 )
  • 諸熊 一則(化学及血清療法研究所 第I製造部 )
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルスI部 )
  • 川上 浩司(京都大学 大学院 医学研究科 医学部 薬剤疫学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学剤、生物剤、・核爆弾/放射性物質によるテロ事態発生時の被害軽減を目指した医学的対処の事前準備のあり方を検討する。「テロ対抗医薬品」は,研究・開発・生産・供給・使用の各過程において,一般医薬品とは異なる困難を抱えている。このような特殊性を有する医薬品の研究開発と供給に関するスキームの構築は各国の懸案事項であり、各国が協調して取り組むべき課題として認識されている。準備を検討すべき医薬品を検討し、これらの質・量・供給を確保するシステムの検討を行い,健康危機管理行政の向上に資する提言を行うことを目的とする。
研究方法
米国CDC等によりテロ使用の可能性が示唆されているハザード(化学物質,病原体,放射線物質等)の網羅的リストアップを行い,化学,生物,核/放射線の各々について,ハザードのリストアップを行い、米国における代表的対抗医薬品,国家備蓄の有無,それらの日本における承認状況を調査し、米国を比較対象としたギャップ分析を行い、優先して検討すべき対象として挙げられたハザード及び医薬品を中心に詳細な検討を行った。また、関連する国際会議に出席し、諸外国における有用な取組事例の情報収集と国際的な協調における論点抽出を行った。
結果と考察
化学剤は45種のハザードに対し、米国の承認品は20薬剤、うち日本の承認品は11薬剤、ほか4薬剤については院内調製で準備されていた。生物剤は6種のハザードに対し、米国では13種類の承認医薬品・ワクチンがあり、うち国内では5種類が承認(適応外含む)されていた。核/放射線は、19種のハザードに対し、米国では12種類の承認品が存在し、うち国内では6種類が承認はされているが全て適応外であった。
結論
CBRNテロに使われるおそれのあるハザード70種類に対し、米国で使用されている対抗医薬品の半数は国内未承認であった。個別ハザードに対する医薬品を詳細に検討する過程で、各医薬品は前開発、臨床開発、承認、配送・使用の各段階別に異なる問題点を抱えていた。喫緊に対応すべき課題としては、承認申請の推進方策、緊急時の未承認薬の妥当な使用方策、および国家備蓄システムの検討であり、次年度はこれらの課題に取り組む予定である。また、医薬品の開発状況のみならず、脅威と考えるべきハザードリストは今後適宜見直しとアップデートを行い、準備や開発を検討すべき医薬品を継続して検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-15
更新日
-