クリーニング所における洗濯物の消毒方法に関する研究

文献情報

文献番号
200942035A
報告書区分
総括
研究課題名
クリーニング所における洗濯物の消毒方法に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 憲(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 寛伊(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科(学長))
  • 尾家 重治(山口大学医学部附属病院 医療薬剤学)
  • 神谷 茂(杏林大学医学部感染症学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
クリーニング業界における衛生状況を把握して、洗濯物の受け取りから運搬、分別、洗濯工程、その後の濯ぎ液等について、殺菌処理が必要な場合に、その必要性に応じて洗濯物を有効に殺菌できる方法等についてまとめる。あわせて、従事者の安全性についても検証すぅる。
研究方法
アンケート調査と、クリーニング店への実地調査をおこなった。
各種のドライクリーニング法における洗濯物の汚染状況について細菌学的に明らかにし、使用されている石油系溶剤およびテトラクロロエチレンの各種微生物に対する殺菌効果、さらに、現在行われている消毒法の安全性に関する検討も含め、クリーニング所で扱われているすべての洗濯物の受け入れから返却までの全工程の問題点を抽出する。
結果と考察
大部分の施設では石油系溶剤を使用していた。テトラクロロエチレンは個人経営の施設では5.1%、会社経営の施設では16.1%であった。
市販の衣類を一般(ホーム)クリーニングへ出して、細菌学的調査をおこなった検討では、ランドリー後のバスタオル(n=4)およびシーツ(n=4)からは、10cm2あたり1?1.9×104 colony-forming units(CFU)のBacillus cereusなどの細菌が検出された。また、ドライクリーニング後のズボン(n=4)からは10 cm2あたり1?60 CFUのB. cereusなどが検出された。
ドライクリーニングに使用される石油系溶剤の2時間処理を行っても、大腸菌、セレウス菌(芽胞型細菌)およびディフィシル菌(芽胞型細菌)いずれに対しても、著しい殺菌作用は認められなかった。テトラクロロエチレンの1分間処理は、大腸菌を死滅させたが、セレウス菌芽胞に対する強い殺菌作用は認められなかった。また、ディフィシル菌芽胞は、テトラクロロエチレンによる1分間の処理により、対照と比較して5?7倍多い数のコロニーを形成した。
結論
ドライクリーニングに使用される石油系溶剤およびテトラクロロエチレンの病原細菌に及ぼす効果の一部が今回の研究により、明らかにされたことは、ドライクリーニングと感染症予防についての関連を理解する上で、有意義なことである。

公開日・更新日

公開日
2010-08-29
更新日
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