終末期医療から脳死下・心停止後臓器提供に関わる医療の評価に関する研究

文献情報

文献番号
202413007A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療から脳死下・心停止後臓器提供に関わる医療の評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FF2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 西山 慶(新潟大学 医学部)
  • 林 宗博(日本赤十字社医療センター 救命救急センター/救急科)
  • 黒田 泰弘(香川大学 医学部)
  • 内藤 宏道(岡山大学病院 救命救急科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター 救急科)
  • 渥美 生弘(浜松医科大学 救急災害医学講座)
  • 平尾 朋仁(佐世保市総合医療センター 救急集中治療科)
  • 伊藤 香(熊倉 香)(帝京大学 医学部外科学講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳死下・心停止後臓器提供の地域格差、施設間格差の要因を基にした体制の整備は喫緊の課題である。終末期医療から臓器提供に関わる医療を客観的に評価する手法を確立し、臓器提供を行うに当たっての障壁や、施設間・地域間格差を生み出す因子を解析することを目的とした。
研究方法
臓器医療提供体制の評価にかかわる調査、脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査、世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査を継続し、ドナー患者、レシピエント患者双方の希望に沿った体制整備を進める。これらの研究により脳死下臓器提供が円滑に進められている施設・地域とそうでない施設・地域の、終末期医療への介入から臓器提供までの医療支援体制を評価することで、施設間・地域間の臓器提供数の格差を生む因子を抽出することができる。それら因子をもとに臓器提供医療の質を客観的に評価する手法を開発し、定期的に施設・地域の医療の評価を行うことで、患者、患者家族支援を強化するとともに、支援施設・地域間格差の是正や今後の臓器提供数増加のための施策立案の一助とすることが可能となる。また、本研究では臓器提供体制の国際的な趨勢についても調査し、我が国の終末期医療の改善を促進する。
結果と考察
本研究は大きく分けて3つの調査に分けた。3つの調査を研究代表者の横堀が総括した。

①臓器提供医療体制の評価にかかわる調査
厚生労働省が行う令和6年度の臓器提供5類型施設調査(G-MIS調査)による臓器移植の実施状況調査を用いた研究を行なった。すなわち、人員(ソフト)か・設備(ハード)にあるのか、救急・集中治療における終末期診療マニュアルの有無など、各5類型施設における施設整備状況と臓器提供体制を突合した評価を行った。

②脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査
令和5年から継続した、『脳死とされうる状態の発生数に関する全国調査』において、データ解析を継続する。特に、5類型施設が、脳死とされうる状態の数の把握や意識障害患者数の把握の際に工夫していること、もしくは困難と感じていること、脳死とされうる状態症例への対応として、貴院の院内コーディネーターが関わりをもつタイミングなどについて詳記した。

③世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査
令和5年より継続している、他国の臓器提供システムの差異について情報収集を進めた。
結論
① 臓器医療提供体制の評価にかかわる調査
臓器提供施設や地域での救急・集中治療における終末期医療、臓器提供の選択肢提示、法的脳死判定、ドナーの全身管理等のプロセスを解析し、臓器提供の障害となる因子の抽出と臓器提供医療を客観的に評価する手法を確立した。例えば救命センター充実度評価などのドナー施設側のインディケータを集約し、臓器提供数と紐づけ、その差異を評価した。また、重症患者メディエータの整備状況なども後ろ向きに収集し新規の施策との関連性を評価したうえで、終末期医療から連なるシームレスな臓器提供体制を考案した。データを班員全員でレビューし、終末期医療支援と臓器提供体制に資する方略を検討した。
② 脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査
脳死が疑われる、いわゆる終末期医療を要する急性期患者がいかほど存在するかは明確でない。これら患者数の把握はポテンシャルドナー数の把握にもつながり、今後のより良い終末期医療を考案するために有用なデータとなる。我々は厚生労働省より管轄の5類型病院を所轄する学会や学術団体にアンケート調査を依頼し、かつ、全病院に1週間の該当患者数の評価を行うアンケート調査を行った(One week study)。また、急性期の患者終末期が疑われる脳の不可逆的障害を持つ患者数から、実際に脳死判定に至った数を掌握し、脳死判定に至らなかった事由などの検討を行った。
③世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査
各施設・地域・国で評価を実施し、終末期医療から臓器提供までのプロセスを円滑に行い臓器提供数増加に寄与する戦略を開発した。臓器提供の同意取得としてオプトインを採用している米国や、オプトアウトを採用しているスペインなど、国毎の臓器移植に関する制度の違いや、臓器移植医療に繋がる終末期医療にかかわる制度、医療支援の方法も各国には差異があると思われるが、わが国と諸外国の制度を比較し、我が国の終末期医療から臓器提供につながるシームレスな医療提供体制の強化に資する情報を収集した。

公開日・更新日

公開日
2026-03-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2026-03-16
更新日
-

文献情報

文献番号
202413007B
報告書区分
総合
研究課題名
終末期医療から脳死下・心停止後臓器提供に関わる医療の評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FF2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科救急医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 西山 慶(新潟大学 医学部)
  • 林 宗博(日本赤十字社医療センター 救命救急センター/救急科)
  • 黒田 泰弘(香川大学 医学部)
  • 内藤 宏道(岡山大学病院 救命救急科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター 救急科)
  • 渥美 生弘(浜松医科大学 救急災害医学講座)
  • 平尾 朋仁(佐世保市総合医療センター 救急集中治療科)
  • 伊藤 香(熊倉 香)(帝京大学 医学部外科学講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臓器医療提供体制の評価にかかわる調査、脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査、世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査を継続し、ドナー患者、レシピエント患者双方の希望に沿った体制整備を進めることを目的とした。
研究方法
①臓器医療提供体制の評価にかかわる調査
令和5年度は、臓器提供施設や地域での救急・集中治療における終末期医療、臓器提供の選択肢提示、法的脳死判定、ドナーの全身管理等のプロセスを解析し、臓器提供の障害となる因子の抽出と臓器提供医療を客観的に評価する手法を確立した。
令和6年度は、重症患者メディエータの整備状況なども後ろ向きに収集し新規の施策との関連性を評価したうえで、終末期医療から連なるシームレスな臓器提供体制を考案した。

②脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査
令和5年度は、厚生労働省より管轄の5類型病院を所轄する学会や学術団体にアンケート調査を依頼し、全病院に1週間の該当患者数の評価を行うアンケート調査を行った(One week study)
令和6年度は、急性期の患者終末期が疑われる脳の不可逆的障害を持つ患者数から、実際に脳死判定に至った数を掌握し、脳死判定に至らなかった事由などの検討を行った。

③世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査
令和5年度は、各施設・地域・国で評価を実施し、終末期医療から臓器提供までのプロセスを円滑に行い臓器提供数増加に寄与する戦略を検討する。
令和6年度は、我が国と諸外国の制度を比較し、我が国の終末期医療から臓器提供につながるシームレスな医療提供体制の強化に資する情報を収集する。
結果と考察
①臓器医療提供体制の評価にかかわる調査
救命救急センターにおける脳死下臓器移植の有無と,救命救急センター充実段階評価における「救急での人生の最終段階における医療の整備」が有意に関連していた。また,人口10万あたり腎臓提供数が少ない地域ではそうでない地域と比して、「救急での人生の最終段階における医療の整備」を行っている割合が少なかった。
オプション提示,脳死判定を含めた移植医療はドナーにとっては終末期ケアの一環であるが,明文化された基準・手順が整備され,多職種による患者・家族などの意向を尊重した対応を行っている施設のほうがより脳死下臓器提供が行われていることが示された。

②脳死が疑われる終末期患者にかかわる実態調査
1年間の期間で、脳死とされうる状態を経て死亡、あるいは転医となったと考えられる症例は、2,509例(一施設平均4.6例)あった。そのうち、実際に脳死とされうる状態の判定を行なった症例は、787例(一施設平均1.4例)、脳死下臓器提供の選択肢提示をした例は667例(一施設平均1.2例)、法的脳死判定は118例(一施設平均0.2例)であった。また、直近1週間の脳死とされうる状態と推定される患者数は155例(一施設平均0.3例)であった。
また、令和4年度は5類型施設601施設で2978名が脳死とされうる状態を経て死亡している。不可逆的全脳機能不全を経た症例のうち、実際に不可逆的全脳機能不全(脳死とされうる状態)を診断された症例は923名(30.9%)で、そのうち家族に臓器提供に関する情報が提供されたのは761名(82.4%)(不可逆的全脳機能不全を経て死亡した症例の25.6%)であった。
1年間で、脳死とされうる状態を経て死亡した、あるいは脳死となったと考えられる症例は、2,509例あり、この症例数が全5類型施設の65%からの回答であることを考慮すると最大で3,843例程度の脳死とされうる状態を経ての死亡がある推定となる。

③世界の終末期医療支援と臓器提供システムにかかわる調査
スペインの臓器提供体制は、院内にTPM(Transplant Procurement Managemant)を学んだPrcurement teamがあることが重要でると強調された。TPMとは臓器・組織提供の質改善を目指した、システム、教育、研究事業である。臓器提供に関わるチームが院内に存在し、早期から臓器提供の可能性がある患者をピックアップ、患者管理、家族ケアに関わることによって臓器提供が増加するとのことであった。米国では病院医療スタッフへの負担を最小限にすべく、病院外組織であるOPOが臓器提供の実務を担うシステムが構築されている。患者・家族には負担が増える体制と思われるが、より質の高い家族支援が出来るように取り組んでいた。家族支援に注力しているのは双方に共通していた。
結論
人生の最終段階における医療体制整備は地域・病院間で格差があり,臓器提供件数が少ない病院や都道府県で体制の整備が遅れている傾向が⽰された。上記を支援することは臓器提供機会の適正化に寄与する可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2026-03-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2026-03-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202413007C

収支報告書

文献番号
202413007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
2,820,000円
差引額 [(1)-(2)]
180,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,003,147円
人件費・謝金 0円
旅費 345,945円
その他 780,908円
間接経費 690,000円
合計 2,820,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-03-16
更新日
-