免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の進捗評価と課題抽出、体制強化に関する研究

文献情報

文献番号
202412012A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の進捗評価と課題抽出、体制強化に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FE2002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
森田 英明(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉利 真由美(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 足立 剛也(慶應義塾大学医学部)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部 皮膚科学教室)
  • 藤枝 重治(福井大学 学術研究院医学系部門)
  • 松本 健治(国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 貝沼 圭吾(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 中島 沙恵子(京都大学 大学院医学研究科)
  • 神尾 敬子(東京女子医科大学内科学呼吸器内科分野)
  • 倉島 洋介(千葉大学 国際高等研究基幹)
  • 二村 昌樹(国立病院機構 名古屋医療センター 小児科)
  • 猪俣 武範(順天堂大学 医学部)
  • 坂下 雅文(福井大学 医学部 耳鼻咽喉科)
  • 正木 克宜(慶應義塾大学 医学部 内科学(呼吸器))
  • 福田 憲(高知大学 医学部)
  • 佐藤 さくら(国立病院機構相模原病院臨床研究センター 病態総合研究部)
  • 緒方 大聡(九州大学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
1,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が令和元年に示された。令和3-5年度 厚労研究班「免疫アレルギー疾患対策に関する研究基盤及び評価基盤の構築」(代表:森田英明)で構築した10か年戦略を推進する仕組みその進捗を評価する評価基盤の構築を行なった。令和6年に、10か年戦略の中間評価が予定されているため、本研究班では、1.上記評価基盤に基づく10か年戦略の中間評価報告書案の作成、2. 上記調査計画等に基づく10か年戦略後半に向けた課題の抽出と研究推進体制の構築、3. 上記連携に基づく、10か年戦略のさらなる推進に資する体制強化と人材育成の仕組み作り、の3点の具体的な達成目標を通じて、免疫アレルギー疾患に対して安心して生活できる社会の構築の実現に寄与することを目的とした。
研究方法
① 10か年戦略の中間評価報告書案の作成
研究責任者および研究分担者で、10か年戦略中間評価報告書の原案を作成し、その後、関連学会7学会と患者団体9団体を含む、有識者に意見聴取を行った。それらの調査結果に基づき改訂を行い、「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間評価報告書(案)を作成した。
② 10か年戦略後半に向けた課題の抽出と研究推進体制の構築
今後進めていくべき研究と提起された研究を推進、実装していくための具体的な方策に関するアンケート調査を行い、それらの結果を元に、2025年1月25日に開催された令和6年度班会議で議論を行った。また、研究チームの多様性と成果の関連調査を行った。
③ 10か年戦略のさらなる推進に資する体制強化と人材育成の仕組み作り
10か年戦略の推進体制の更なる強化を目的として、関連学会7学会から新たなメンバーの推薦を要請した。
結果と考察
① 10か年戦略の中間評価報告書案の作成
本研究班で作成した「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間評価報告書(案)を元に、2024年8月21日に開催された第18回アレルギー疾患対策推進協議会の中で、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価が検討され、2024年11月に厚生労働省から「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間報告書が発出された。中間報告書では、戦略毎の今後推進すべき研究と共に、戦略横断的な推進につながる項目として、1. 個々の患者における病態をより詳細に理解するために、最新の科学的手法を最大限に活用して免疫アレルギー研究を行うこと、2. レジストリーやバイオバンク、国内外のネットワークを活用し持続可能な研究基盤体制を充実させていくこと、3. 患者数が急増するアレルギー疾患やアレルギー類縁疾患の病態解明及び適切な情報提供に向けて他疾患領域との連携をしていくこと、4. 研究成果の社会実装に向けた研究開発インフラと積極的に連携していくこと、が挙げられた。

② 10か年戦略後半に向けた課題の抽出と研究推進体制の構築
研究において患者市民参画を推進していく上での具体的な方策として、事例集の作成、研修、コーディネーターの育成などを学会として連携して推進し、研究者と患者市民の両方で知識を深めていくことが挙げられた。オールジャパンの研究診療体制の構築については、拠点病院ネットワークの活用を推進すべく、移行期医療や成人食物アレルギー診療の確立をはじめとした、拠点病院の診療ニーズに資するような研究を推進し、診療と研究を両輪で進めていくことが挙げられた。研究予算の確保に関しては、文科省事業の橋渡し研究やプログラム等との連携を含む、他事業との連携を模索することが挙げられた。また、生物学的製剤を始めとした分子標的薬による全身療法が行われている症例で、診療科横断的な研究を推進し、臓器横断的な解析で、特定の分子の臓器毎の役割を明らかにすることなどが挙げられた。研究チームの多様性と成果の関連に関する調査では、日米英のチーム間で多様性指標に大きな差は見られなかったが、研究チーム構成の多様性と研究成果との関連性には違いが見られた。

③ 10か年戦略のさらなる推進に資する体制強化と人材育成の仕組み作り
関連学会7学会から新たなメンバーの推薦をいただき、第二期ENGAGE-TFの構成を行い、10か年戦略後半5年間において、継続的に推進・評価を行う基盤を構築した。
結論
本研究班で作成した「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間評価報告書(案)を元に、2024年8月21日に開催された第18回アレルギー疾患対策推進協議会の中で、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価が検討され、2024年11月に厚生労働省から「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間報告書が発出された。10か年戦略の後半5年間における戦略の更なる推進に活用されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202412012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究チームの多様性と研究成果の関連性の分析においては、日米英のチーム間で多様性指標に大きな差は見られなかったが、研究チーム構成の多様性と研究成果との関連性には違いが見られた。NIHやMRCでは、異なる分野の研究者をチームに迎えることが成果向上に寄与する一方、JSPSでは各分野で深い専門性を持つメンバーが重要な役割を果たしていることが示唆された。
臨床的観点からの成果
データベースを使用して、COVID-19が花粉症の診療にどのように影響を与えたかを明らかにした(Allergy. 2024, Clin Exp Allergy. 2024)。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
本研究班が作成した「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間評価報告書(案)を元に、第18回アレルギー疾患対策推進協議会の中で、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略の中間評価が検討され、2024年11月に厚生労働省から「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」の推進に関する中間報告書が発出された。
その他のインパクト
研究チームの多様性と研究成果の関連性の国際比較結果は、我が国のみならず海外でも注目を浴びている

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
16件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
35件
学会発表(国際学会等)
23件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
アレルギー疾患対策推進協議会で議論された
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202412012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,500,000円
(2)補助金確定額
1,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 375,939円
人件費・謝金 375,231円
旅費 150,231円
その他 258,599円
間接経費 340,000円
合計 1,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-