成人の食物アレルギー診療の確立に資する研究体制構築を目指す研究

文献情報

文献番号
202412011A
報告書区分
総括
研究課題名
成人の食物アレルギー診療の確立に資する研究体制構築を目指す研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FE2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 朝子 幹也(関西医科大学総合医療センター 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 伊藤 浩明(あいち小児保健医療総合センター 総合診療科部)
  • 猪又 直子(昭和医科大学 医学部皮膚科学講座)
  • 今井 孝成(昭和大学)
  • 近藤 康人(藤田医科大学 医学部小児科)
  • 鈴木 慎太郎(昭和大学 医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門)
  • 千貫 祐子(島根大学 医学部 皮膚科)
  • 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(藤田医科大学 医学部総合アレルギー科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人食物アレルギーにおける医療提供体制を整備するために解決すべき課題を明らかにした上で、診療研究体制を構築し、成人食物アレルギー診療の均てん化を目指す。
研究方法
課題①:2011年に実施したインターネット調査と同様の手法で、2024年に20-54歳を対象とした有症率調査を行い、6851名から回答を得た。
課題②:全国の医療機関を対象に小児・成人への食物経口負荷試験(OFC)の実施状況を調査した。
課題③:日本アレルギー学会の専門医・指導医を対象に調査を実施し、成人食物アレルギー患者の診療が可能な医療機関リストの作成を進めた。
結果と考察
課題①:その結果、食物アレルギーの有病率は15.5%で、2011年の12.0%から有意に増加していた。性別では男性でのみ有意な増加がみられ、特に若年層や中高年層での上昇が顕著だった。原因食品としては甲殻類、鶏卵、魚が多く、メロンによる口腔症状の訴えも目立った。さらに、食物アレルギーを有すると回答した人の44%が相談可能な医療機関がないと答え、医療アクセスの課題が明らかとなった。
課題②:回答のあった630診療科のうち、成人へのOFCが可能な施設は13%にとどまり、特に内科や耳鼻咽喉科では実施率が著しく低かった。OFCが行われない主な理由としては、経験ある医師の不足、マンパワー不足、時間的制約などが挙げられた。OFC実施可能な施設の多い小児科でも成人期に移行した患者への対応は不十分であり、診療科間の連携体制の整備が求められる。
課題③:本リストは食物アレルギー研究会のHPおよびアレルギーポータルへのリンクでの公開を予定しており、2025年度以降も継続的に更新する予定である。
結論
本研究により、小児期発症の成人以降例を中心として成人の食物アレルギー有病率が増加していることや、食物経口負荷試験をはじめとした診療体制の不備が明らかとなった。今後、総合アレルギー専門医の育成と医療体制整備による診療の均てん化が求められる。全国的な診療体制の整備には時間を要するのでリモート診療の活用や専門医療機関への集約ということも考慮する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202412011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究により、インターネット調査により成人食物アレルギー有病率が13年間で小児期からの持ち上がり症例の増加を中心に12.0%から15.5%へ増加したこと、全国の医療機関の調査により成人の食物経口負荷試験を実施可能な施設が日本アレルギー学会の教育研修施設を中心とした調査機関の13%に留まることが明らかになった。成人食物アレルギーの疫学動向を経時的に解析した国内初の研究として学術的価値が高く、移行期の問題をあぶり出した。食物経口負荷試験の実施状況の把握は、施策を検討するための重要なデータとなる。
臨床的観点からの成果
成人期の食物アレルギー患者の増加、特に男性、若年層、中高年層での増加が顕著であることを明らかにした。成人期の食物アレルギーの疫学データは国際的にも非常に限られており、国際的なインパクトも大きい。さらに、日本アレルギー学会教育研修施設での移行期・成人期の食物アレルギーの診療体制の脆弱性は臨床現場における診療体制の見直しや治療戦略を検討する上で重要な根拠を提供する。
ガイドライン等の開発
食物アレルギー診療の手引き2026に反映させるデータが整った。
その他行政的観点からの成果
全国の医療機関の調査により、成人の食物経口負荷試験が実施可能な施設が非常に限られており、経験のある医師不足、マンパワー不足等が課題であることを明らかにした。また、成人食物アレルギー診療可能医療機関リストの公開に向けて準備も進めている。これらの成果は、診療体制の整備と患者の医療アクセス向上が急務であることを示しており、医療提供体制の政策立案における重要な基礎資料となる。
その他のインパクト
日本アレルギー学会専門医を対象とした成人食物アレルギー診療可能医療機関リスト(診療レベルを明示して)を2025年夏に公開予定であり、患者の医療機関へのアクセス改善に直接貢献する。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202412011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 214,185円
人件費・謝金 1,227,000円
旅費 44,236円
その他 2,364,579円
間接経費 1,150,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
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