各都道府県におけるアレルギー疾患医療連携体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
202412009A
報告書区分
総括
研究課題名
各都道府県におけるアレルギー疾患医療連携体制構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FE2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 靖典(地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院 小児アレルギーセンター)
  • 櫻井 大樹(千葉大学 大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)
  • 永田 真(埼玉医科大学 医学部 呼吸器内科)
  • 福家 辰樹(国立研究開発法人国立成育医療研究センター アレルギーセンター 総合アレルギー科)
  • 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 宮﨑 大(鳥取大学 医学部眼科)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(藤田医科大学 医学部総合アレルギー科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成29年に策定されたアレルギー疾患対策に関する基本的な指針(基本指針)の下、全国に都道府県拠点病院が設置された。本研究班では各都道府県におけるアレルギー疾患の医療提供体制の現状調査を起点とし、都道府県拠点病院を中心とした医療提供体制の整備・構築を行い、全国でのアレルギー疾患医療の均てん化を目指す。
研究方法
研究課題1では、日本アレルギー学会専門医教育研修施設、都道府県拠点病院、日本小児科学会施設957施設1360診療科を対象として、2024年9月~10月に小児・成人への食物経口負荷試験(以下、OFC)実施状況について調査を行った。
研究課題2では、成人食物アレルギー患者が受診先を検索できる情報の一元化を目指し、日本アレルギー学会の専門医・指導医4,825名を対象として医療機関情報の調査を開始した。
結果と考察
研究課題1では、630診療科から回答を得た結果(回収率46.3%)、小児に対してOFCを実施可能な施設は全体の67%であったのに対し、成人期発症患者に対して実施可能な施設は全体の13%にとどまった。成人患者に対するOFCが実施できる施設は、非拠点病院では1~3割に対し、拠点病院では2~4割と、拠点病院におけるOFC実施可能率が高かった。しかし、他施設に通院中の成人年齢に達した小児期発症患者や成人期発症患者に対して実施できる施設は2~3割弱と限られ、特に、内科は約1割と非常に少なく、拠点病院の内科における医療提供体制の強化が必要と考えられた。自施設小児科等に通院している成人年齢に達した小児期発症患者ついては、小児科は約6割であり、非拠点病院(約3割)より高い実施可能率であった。成人年齢に達した小児期に発症した患者数は増えることが予想されるため、拠点病院の小児科でも成人年齢の患者の受け入れを積極医的に行う等、新たな体制の整備について検討すべきである。
研究課題2では、この調査結果を食物アレルギー研究会のHPおよびアレルギーポータルへのリンクでの公開を予定しており、2025年度以降も継続的に更新する予定である。
結論
本研究により、アレルギー疾患医療提供体制には診療科・年齢層による格差が存在することが明らかになった。特に成人の食物アレルギー診療においては、拠点病院においても十分な体制が整っていない現状が判明した。成人の食物アレルギーの医療提供体制の構築、均てん化には、総合アレルギー専門医の育成、OFCが実施できる体制の整備および、小児科が成人年齢の患者の受け皿になる体制の整備などが必要と考えられる。また、患者が適切な医療機関を見つけられるよう、全国のアレルギー疾患医療情報の一元化・発信体制の整備が重要であり、「成人食物アレルギー患者診療可能 医師・医療機関リスト」の作成・公開による課題解決への一歩が期待される。

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

文献情報

文献番号
202412009B
報告書区分
総合
研究課題名
各都道府県におけるアレルギー疾患医療連携体制構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FE2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 伊藤 靖典(地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院 小児アレルギーセンター)
  • 櫻井 大樹(千葉大学 大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)
  • 永田 真(埼玉医科大学 医学部 呼吸器内科)
  • 大矢 幸弘(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター・アレルギーセンター)
  • 福家 辰樹(国立研究開発法人国立成育医療研究センター アレルギーセンター 総合アレルギー科)
  • 福冨 友馬(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 宮﨑 大(鳥取大学 医学部眼科)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(藤田医科大学 医学部総合アレルギー科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成29年に策定されたアレルギー疾患対策基本指針に基づき、全国でのアレルギー疾患医療の均てん化を目指すことを目的とした3年間の研究である。都道府県アレルギー疾患医療拠点病院と一般病院・かかりつけ医との連携が不十分である現状を受け、中心拠点病院・都道府県拠点病院・各診療科の医師が参画する研究班を構築し、医療提供体制の整備・構築を行った。
研究方法
研究は2つの主要課題で構成された。第一に、各都道府県の医療機関に対するアンケート調査を実施し、令和4年度には総合病院366施設を対象とした1次調査と40施設を対象とした2次調査を行った。令和5年度には全国の都道府県拠点病院78施設を調査し、令和6年度には成人の食物アレルギー医療提供体制に焦点を当てた調査を実施した。第二に、各都道府県のアレルギー診療医療情報の一元化・発信体制の構築を行った。
結果と考察
調査結果から、小児の食物アレルギーに対する食物経口負荷試験は全国的に十分提供されているが、成人の食物アレルギーや移行期医療、薬剤アレルギー等への対応は地域格差が大きいことが明らかになった。特に成人に対する食物経口負荷試験を実施可能な施設は全体の13%にとどまり、拠点病院でも十分ではない状況が判明した。また、行政との連携や院内他科・他職種連携、災害時対応についても改善の余地があることが示された。
結論
本研究により、アレルギー疾患医療均てん化を目指すためには、地域のニーズに合わせた人材育成および地域における医療連携の体制の構築が必要と考えられた。そのためには行政との連携は必要不可欠であり、「アレルギー疾患医療連絡協議会」を中心とした連携の強化が求められる。さらにアレルギー疾患医療均てん化には、都道府県拠点病院が求められる役割を果たす必要があるが、拠点病院の機能を適切、かつ効率的に評価する指標は確立できておらず、引き続き検討を要する。

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202412009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国の都道府県拠点病院・日本アレルギー学会教育研修施設などを対象としたアンケート調査およびweb面談により、アレルギー疾患への医療提供の現状を明らかにした。小児の食物アレルギーに対する経口免疫療法、成人の食物アレルギー診療、アナフィラキシーの原因検索、薬剤アレルギー等への対応は地域格差を伴い不十分である。成人の食物経口負荷試験実施可能施設は約1割と少なく、拠点病院でも十分ではない状況が判明した。研究成果は医療政策立案や拠点病院機能評価指標の開発、地域医療連携体制構築に寄与することが期待される。
臨床的観点からの成果
全国規模の医療機関調査により、疾患や診療内容により医療提供体制に地域格差があり、特に小児の食物アレルギーに対する経口免疫療法の実施と移行期および成人の食物アレルギー、薬剤アレルギー、好酸球性消化管障害、重症な眼アレルギーへの医療提供が十分できていない地域が多いことが明らかになった。これらの成果は、重点的に取り組む必要のある疾患、地域における具体的な解決策の提案を検討する上で貴重なデータとなり、拠点病院の機能強化や地域の医療連携の体制の構築に寄与することが期待される。
ガイドライン等の開発
食物アレルギー診療の手引き2026に資するデータである。
その他行政的観点からの成果
本研究により、アレルギー疾患の医療提供体制不十分な地域があり、背景には専門性を持つ医師の偏在が影響している。多くの施設で事業予算が要望されていたが、一部の施設では事業予算を確保するための情報が十分ではないことが明らかになった。アレルギー疾患医療均てん化には、都道府県拠点病院が求められる役割を果たす必要があるが、拠点病院の機能を適切、かつ効率的に評価する指標は確立できておらず、引き続き検討を要すことが判明した。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
202412009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,400,000円
(2)補助金確定額
6,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 177,739円
人件費・謝金 4,347,600円
旅費 58,656円
その他 340,005円
間接経費 1,476,000円
合計 6,400,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-11-20
更新日
-