健康危機管理従事者のリスク/クライシス・コミュニケーションスキル向上のための研修プログラムの開発と評価

文献情報

文献番号
200942028A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理従事者のリスク/クライシス・コミュニケーションスキル向上のための研修プログラムの開発と評価
課題番号
H21-健危・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 肇子(慶應義塾大学 商学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦 淳吉(愛知教育大学 教育学部)
  • 加藤 文俊(慶應義塾大学 環境情報学部)
  • 中村 美枝子(流通経済大学 社会学部)
  • 長岡 健(産業能率大学 情報マネジメント学部)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウィルス第1部第3室)
  • 堀口 逸子(順天堂大学 医学部)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機管理時従事者のリスク・コミュニケーションおよびクライシス・コミュニケーションスキルの向上のための研修(訓練)プログラムの開発を行い、実施した上で研修成果の評価を行う。
研究方法
本年度は、既存の研修プログラムについて、収集・検討を行うと共に、試験的に研修プログラムを実施し、来年度以降の本格実施の資料を得た。
利用可能なプログラムを中心とした試験的な研修を実施し、その評価を行った。具体的には、1泊2日の連続研修地方自治体の保健所および防災担当部局の研修、厚生労働省省内での6回の連続研修を実施した。
結果と考察
 試験的なプログラムのいくつかは、本課題に適したものであると判断された。今後課題内容を「健康危機」により近いものとすることで、本研究班独自のプログラムとして運営していくことが可能であると考えられる。
 ただ、研修プログラムの中に具体的な健康危機管理の事例紹介がなかった2回の地方自治体研修と厚生労働省内研修においては、研修参加者が、研修の体験と現実とを結びつけるのに困難を感じている場合があることが課題となった。本年度の研修は、全体として参加者の気づき(awareness)を高めることに焦点があり、事例を講演によって紹介した1泊2日研修以外では、健康危機の事例との関連を積極的に示唆しなかったが、この点を不満とする参加者が見られたことも事実である。他方、研修実施者が、そのことを解説しすぎると、通常の座学(講義)中心の研修と変わらなくなってしまい、参加者自ら学習するという姿勢を損ねることになる。補助教材の活用を検討するなどして、来年度以降この問題については検討を続けていきたいと考えている。
 研修の評価(効果測定)については、本年度いくつかの手法を試みたところだが、量的な評価だけでは研修参加者の学びを十分に測定できないと思われる。コミュニケーション過程の記録については、新しい手法が提案されているところでもあり年度以降、これらについても本格的に検討していく。
結論
 本年度の研究は、計画通りに実施することができた。
 ただし、リスク/クライシス・コミュニケーションスキルに関する「即興的な対応」を実践する能力を高めるには、より実践的な学習経験が必要であると考えられる。本年度は受講者の過去の教育体験に配慮することを意識したが、今後は「即興的な対応力」の習得により高いウェートを置いたプログラム構成の必要性が考えられる。特に、「協調学習」や「ワークショップ」のメソッドを本格的に導入したプログラムの構築に取り組んでくことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
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