文献情報
文献番号
202411006A
報告書区分
総括
研究課題名
腎疾患対策検討会報告書に基づく対策の進捗管理および新たな対策の提言に資するエビデンス構築
研究課題名(英字)
-
課題番号
22FD2001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部)
- 中川 直樹(旭川医科大学 医学部)
- 和田 淳(国立大学法人岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 内田 治仁(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学講座)
- 向山 政志(熊本大学 大学院生命科学研究部)
- 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系臨床医学域腎臓内科学)
- 古波蔵 健太郎(琉球大学病院 血液浄化療法部)
- 森下 義幸(自治医科大学 総合医学第1講座(腎臓内科))
- 上條 祐司(信州大学 医学部附属病院)
- 今澤 俊之(独立行政法人国立病院機構千葉東病院)
- 服部 元史(東京女子医科大学腎臓小児科)
- 石倉 健司(北里大学 医学部 小児科学)
- 横尾 隆(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 福井 亮(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科)
- 旭 浩一(岩手医科大学 医学部)
- 田村 功一(横浜市立大学 医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学)
- 今田 恒夫(山形大学 医学部)
- 酒井 謙(東邦大学 医学部)
- 祖父江 理(香川大学 医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科)
- 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 和田 健彦(虎の門病院)
- 後藤 眞(新潟大学 腎研究センター 腎・膠原病内科学分野)
- 南学 正臣(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
- 深水 圭(久留米大学 腎臓内科部門)
- 猪阪 善隆(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 福間 真悟(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
- 西山 成(香川大学 医学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
18,182,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成30年7月に発出された「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して~」の5課題実現・社会実装の為の具体的な計画・方法の立案、評価・進捗管理の方法開発を行う。全国各地の腎疾患対策を評価・分析し、課題抽出、新たな対策立案のPDCAサイクルを回し、継続的に腎疾患対策が実現する体制を構築することを目的とする。
研究方法
普及啓発、診療連携体制の構築、診療水準の向上、人材育成、研究開発を5本の柱とし、公募研究班(代表:岡田浩一)とNPO法人日本腎臓病協会のCKD対策部会(J-CKDI)と連携し、全国各地へ展開していく。本研究班では、上記活動の進捗管理や研究に加え、アルブミン尿の診療報酬の収載へ向けた研究、全国のCKDの有病率を調査する。これらの研究成果を、新たに立ち上げたHPに公開し有効に活用する基盤を構築する。具体的に以下研究結果に示す分科会・WGを構築して実施する。
結果と考察
①普及、啓発(1)普及啓発資材の開発:尿異常の検査結果の見方、蛋白尿の重要性を説明する資材を開発し、HPでダウンロード可能とした。(2)地域における普及啓発活動の評価:アンケート調査により、啓発活動の実施数、認知度について経年的な変化を評価した。2023年度末調査よりアンケートをWeb化したことにより、回収率が過去最高となった。②診療連携体制構築(1)実態調査:前述のアンケートで連携体制構築についても調査した。多くの都道府県単位・市区町村単位の会議体において、国から求められている連携体制構築に関する検討が行われ、体制が充実しつつあることが示唆された。(2)好事例共有・横展開:各都道府県での行政関係者および医療従事者の研修会や、一般住民対象の普及啓発イベントや市民公開講座などで研究班HPの紹介および情報共有を図った。(3)検診結果に基づく保健指導、受診勧奨の推進:生活習慣スコアの経年観察は保健指導の効果の評価、有効な保健指導法の検討や推進に資すると考えられた。③診療水準向上(1)移行期医療:本WGの調査により、施設調査の移行プログラムや移行コーディネーターを有する施設は小児・成人いずれも依然として少ないことが分かった。 (2)高齢CKD患者、透析・移植後患者のQOL維持向上:移植患者の患者実態調査について調査を行い、日本透析医会調査と同様に、就労状況についても言及し就労支援に繋ぐ資料作成を目指した。学会等を通じてCKMガイドの普及も継続して図った。(3)難治性腎疾患の診療レベルの向上・均霑化: J-CKD-DBを利用し、CKD診療ガイドラインを遵守した治療とCKD患者の予後について検討し、日常臨床においてCKDガイドラインを遵守することが腎アウトカムの改善と有意に関連していることを明らかにした。(4)尿中アルブミンの測定診療報酬化:解析により、UACR検査と推定糸球体濾過量(eGFR)検査を併用することの健康経済的価値を世界で初めて明らかにした。④人材育成:第8回認定試験で新たに387名の腎臓病療養指導士を認定した。2025年6月より新たな診療報酬「慢性腎臓病透析予防指導管理料」が算定開始となることが決定した。⑤研究の推進 (1) AMED,厚労省等の公的研究:腎臓学会員へ向けたアンケートで、2008年~2022年に獲得した公的資金獲得状況を調査、解析を行った。(2)国際動向:日本とアジア・オセアニアとの診療実態の差が明らかであることが判明した。この障壁がどのようにCKD患者の予後に関与するかについては今後の分析が待たれる。(3)疫学調査:過去の健診受診状況等で重み付けを行い、CKD患者数を推定した。わが国のCKD患者数は2000万人以上存在する可能性があることが示唆された。⑥情報発信、広報:昨年立ち上げた研究班のHPを活用し、今後も研究成果を広く周知・公開していく予定である。 (https://ckd-research.jp/)。
結論
腎疾患検討会報告書では、今後のCKD対策の全体目標が設定されている。1)CKDを早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより、CKD重症化予防を徹底する。2)同時に、CKD患者のQOLの維持向上を図る。2028 年までに、年間新規導入患者数を 35,000 人以下に減少させる(2016 年度、約39000人)。これまでの6年間の活動で、各分科会研究で一定の成果をあげてきた。CKDの早期発見・重症化予防、そして新規透析導入患者数の減少といった本研究の目標を達成することがこの研究班の使命である。R7年度からの課題においても、これまでの成果をより鮮明に可視化、発信していけるよう腎臓学会、腎臓病協会等と連携して、継続的にオールジャパン体制で取り組む必要がある。
公開日・更新日
公開日
2025-11-20
更新日
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