地域健康危機管理に従事する公衆衛生行政職員の人材開発及び人員配置に関する研究

文献情報

文献番号
200942018A
報告書区分
総括
研究課題名
地域健康危機管理に従事する公衆衛生行政職員の人材開発及び人員配置に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 長史(北海道上川保健福祉事務所 保健福祉部(上川保健所))
  • 大熊 和行(三重県保健環境研究所)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院 口腔保健部)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 佐藤 加代子(駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科)
  • 豊福 肇(国立保健医療科学院 研修企画部)
  • 鈴木 晃(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 専門職を含むすべての行政職員を対象とした総合的な人材開発および人員配置のあり方を検討するために、過去に発生した具体的な健康危機事例を元に、行政に勤務する医師、保健師、事務職等の各職種及び地方衛生研究所の健康危機に際しての役割と職種間の連携のあり方を自然災害等におけるいくつかのセッティングや対象者において検討した。
研究方法
(1)健康危機管理事象における職種間の連携に関する研究
 過去に発生した主として自然災害について、保健師、歯科医師・歯科衛生士、管理栄養士、食品衛生監視員、環境衛生監視員、事務職という職種ごとに分担研究者と数名の研究協力者(実際に地方自治体に勤務する当該職種の職員)がチームを組み、震災などの自然災害における避難所、食生活、対災害弱者(母子、高齢者、障害者)、医療・巡回相談への対応をそれぞれまとめ、次に、関係職種間の連携の可能性、連携の具体的内容、連携の時期等について分析を行った。さらに、全体班会議等の機会に各チームがそれぞれの分析結果をもとに、討議を実施し、連携の詳細について、修正を行った。
(2)多職種間の連携を考慮したE-ラーニング教材の開発
 医師班が中心となり、平成20年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)への保健所の対応について、多職種の連携を加味したシナリオをもとに、発生後の状況を時系列的に提示して、行うべき対処方法を考えさせる方式のE-ラーニング教材を作成した。
結果と考察
各職種(地方衛生研究所を含む)の具体的な活動・役割と関連職種との連携のあり方が時系列的に明示された。その検討プロセスの中で、お互いの役割、連携の具体的な内容、連携時期について、認識の違いが明らかとなり、討議によってそのギャップを埋めることが可能であることが示された。
 さらに、平成20年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)への保健所の対応について、多職種間の連携を考慮した状況設定型のE-ラーニング教材を作成した。今後、実際に使用して改良していくが、このような実際の経験に基づいた現実的な教材は現場での人材育成に役立つものと推察された。
結論
健康危機への対処における各専門職種の役割と連携の認識には、職種間でお互いにギャップがあるが、具体的なセッティングをもとに具体的な役割と連携を分析することで、そのギャップを事前に埋めておくことが可能である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200942018B
報告書区分
総合
研究課題名
地域健康危機管理に従事する公衆衛生行政職員の人材開発及び人員配置に関する研究
課題番号
H20-健危・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 荒田 吉彦(旭川市保健所)
  • 山本 長史(北海道上川保健福祉事務所 保健福祉部(上川保健所))
  • 大熊 和行(三重県保健環境研究所)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院 口腔保健部)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
  • 佐藤 加代子(駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科)
  • 豊福 肇(国立保健医療科学院 研修企画部)
  • 鈴木 晃(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 橘 とも子(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 地域健康危機管理の拠点である保健所や地方衛生研究所等が健康危機への対策を強化するには、専門職を含むすべての行政職員の具体的な役割や連携のあり方、人材開発および人員配置のあり方を検討した。
研究方法
(1)過去に発生した健康危機事例について、医師、保健師、歯科医師・歯科衛生士、管理栄養士、食品衛生監視員、環境衛生監視員、事務職という職種ごとに研究分担者と自治体勤務の当該職種職員がチームを組み、報告書をもとに、時系列的に出来事を記述し、保健所の判断・対応、当該職種の判断・役割、必要な実践能力をまとめた。次に震災等における避難所、食生活、対災害弱者等への対応をまとめ、職種間の連携の可能性、その具体的内容、時期等について分析した。
(2)職種別・職位別健康危機管理コンピテンシーに関して、研究代表者・分担者・協力者らを対象として、デルファイ法により意見を集約した。
(3)全国の保健所、地方衛生研究所を対象に、19年度内の職員のための健康危機管理に関する所内研修の詳細について、郵送自記式質問紙による実態調査を行った。
(4)多職種間の連携を考慮したE-ラーニング教材として、平成20年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)への保健所の対応についてE-ラーニング教材を作成した。
結果と考察
 医師、保健師のみならず、自然災害時における、各職種(地方衛生研究所を含む)の具体的な活動・役割とその役割を果たすために必要な能力が時系列的に明示された。
 多職種による健康危機事例分析を通じて、避難所、食生活、災害弱者等に対する各職種の役割とそれぞれの場面における他職種との連携の具体的内容、時期等が明らかとなり、職種間の認識のギャップが調整され、今後の連携強化の基盤が整備された。
 職種別・職位別の健康危機管理コンピテンシーについても一定の結論を出すことができた。全国の保健所、地方衛生研究所での健康危機管理に関する所内研修が、全体として十分ではない状況も把握できた。
 職種間の連携に配慮した教材も作成できた。これをモデルとして、今回の研究成果を教材化し、今後の人材育成に役立てることができるものと考えられた。
結論
 地域において望ましい健康危機管理活動を実践していくための能力開発や対応チームの連携のあり方が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 自治体が、地域において望ましい健康危機管理活動を実践していくための職種別の能力開発や対応チームの連携のあり方が明らかになった。平成20年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)への保健所の対応についてE-ラーニング教材を作成した。
臨床的観点からの成果
地域保健の人材開発に関する研究のため、臨床的側面からの成果は、特にない。
ガイドライン等の開発
健康危機事象発生時の自治体職員の連携や人材育成に関するガイドライン等の開発につながることが期待される。
その他行政的観点からの成果
平成20年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)への保健所の対応についてE-ラーニング教材を作成し、全国の保健所、地方衛生研究所に配布し、自治体研修での利用を促した。国立保健医療科学院での研修で実際に使用した。
その他のインパクト
開発した教材を、平成22年度に国立保健医療科学院の自治体職員対象の研修で実際に使用した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
作成した研修教材の全国の保健所、地方衛生研究所、衛生主幹部局への配布

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-