改正国際保健規則への対応体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200942016A
報告書区分
総括
研究課題名
改正国際保健規則への対応体制構築に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 山本 久美(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 森兼 啓太(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 押谷 仁(北大学医学系研究科 微生物学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際保健規則(International Health Regulation; IHR)で定められているCore Capacity requirementを考慮して、日本において本規則を運用するに当たり、世界各国の状況を調査し、日本における状況を評価し、日本としてどのようにIHRを運用するかの検討を行うこと。
研究方法
今年度はWHO本部のIHR担当者に面談を行い、今般のパンデミック(H1N1)2009におけるIHRの運用状況を調査した。また、国際会議を利用して、各国のFETPの状況についても調査を行った。これらとともに、これまでの検討結果をまとめて、日本における今後の方針を議論すると共に、普及啓発の目的において、IHRのホームページを作成した。
結果と考察
現状のIHRの運用状況は、1)同年に発生したパンデミックインフルエンザ(H1N1 2009)に対しては、IHRに基づく検疫についての実効性は高くなかった、2)発生早期の接触者調査実施に当たってのNFR同士のコミュニケーションが比較的良好であった、2)疾患(SARSなど重症度が高く、潜伏期間が長い場合など)によっては、国境検疫は引き続き有効であろう、3)IHRに基づき検出・対応を早期に実施することの重要がH1N1 2009によって再認識された、4)グローバルな影響を最小限にするためにも、各国内の協力関係を強化することが重要である、5)今後のIHRの方向性としてIHRを中心とした大都市間の交流の方法も検討している。
 また、各国のFETPに関する調査を行ったところ、各国とも、FETPについてIHRに対応する人材育成ツールとしての位置づけを考慮して、国レベルでの対応が行われており、今後我が国においても、FETPの運用方法については検討していかなければならない。
 日本において、IHRの認識と知名度が低いことを鑑み、IHRの普及啓発を目的としてホームページを作成した。
結論
2012年までにIHR2005の条文において規定されている要件を満たすためには、まずIHRの施行のための委員会のような枠組みを設置し、計画を策定すると共に、法的な対応を整備しなければならない。また、これを進めて行くに当たり、大都市をどのように包含していくか、そして、それらを実施するに当たっての人材育成の面で、FETPをどのように活用していくかを同時に考えて行かなくてはならない。

公開日・更新日

公開日
2010-06-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200942016B
報告書区分
総合
研究課題名
改正国際保健規則への対応体制構築に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 山本 久美(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 森兼 啓太(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 押谷 仁(東北大学医学系研究科 微生物学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国際保健規則(International Health Regulation; IHR)とは、世界のどこかで、重要な感染症やテロなど健康上の緊急事態が発生した際にきちんと国際的な報告を行い、それぞれの国が国民を守り、世界における被害を最小限にすることを目的とした国際的な健康危機管理の法的枠組みである。本規則では、Core Capacity requirementとして、各国が最低限準備すべき要件が定められており、2012年までにこの要件にある体制を整備することになっている。この研究では、世界各国の状況を調査し、日本における状況を評価し、日本としてどのように整備するかの検討を行った。
研究方法
IHR2005のCore capacity requirementsを検討し、各国における調査項目をまとめたのち、WHO、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアについて、種々の機会を利用して、直接担当者との面談により調査を行った。二年目は追加調査と共に、WHO・WPRO(Western Pacific Regional Office)から出されているChecklistを参考にして、日本の現行のシステムの評価を行った。最終年度は、WHO本部で世界各国の進捗状況や今後の運営方針についても情報収集を行い、班全体の議論により、今後本邦において準備すべきことを検討して提言とした。
結果と考察
 米国、英国、ドイツ、カナダ、フランス、オーストラリアなどの先進工業国は国家全体体制で、IHR2005の遂行に関して、必要な条件をほぼ満たしていた。また、途上国においても、WHOのアドバイスを受け体制の整備を図っており、少なくとも半数は、国レベルのIHR対応体制の準備が進んでいた。
一方、日本では、これまでもいろいろな体制が存在しているが、新しいIHRは感染症のみならず、化学物質、核、放射線、テロなど多岐にわたって規定されているので、厚生労働省だけでなく、他の省庁も含めた国家全体体制が必要で、この点において、十分な体制が整っていないと考えられた。
 国内で国際保健規則というものがほとんど知られていないことから、国際保健規則の普及啓発のためにホームページを立ち上げた。
結論
本邦においては、WHOのガイドラインに従って、国全体としての実施計画と進行を管理する機能をもつ国家IHR委員会等の組織を設置し、系統的な計画をたて、法的な整備を行っていくことが必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国際保健規則における健康危機管理のメカニズムと世界各国における国際保健規則における対応状況の調査により、我が国における体制構築に有用な資料を作成することができた。
臨床的観点からの成果
該当しない
ガイドライン等の開発
WHOにおけるガイドラインとチェックリストの作成に貢献した。(Checklist and Indicators for Monitoring Progress in the Development of IHR Core capacities in States Parties)
その他行政的観点からの成果
厚生労働省新型インフルエンザ総括会議において、研究班結果から意見を具申し、報告書に国際保健規則に関する対応が記載された。
その他のインパクト
国際保健規則に関するホームページを作成して公開した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
新型インフルエンザ総括会議における報告書
その他成果(普及・啓発活動)
1件
ホームページ作成

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-08-03
更新日
-