文献情報
文献番号
200942015A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテロの曝露状況の推定、被害予測・公衆衛生的対応の効果評価のための数理モデルを利用した天然痘ワクチンの備蓄及び使用計画に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 庵原 俊昭(国立病院機構三重病院 小児科)
- 一戸 貞人(千葉県市原健康福祉センター)
- 加來 浩器(防衛医科大学校 国際感染症学講座)
- 大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
曝露状況からの被害予測、公衆衛生的対応の効果を評価する。
研究方法
シミュレーション開発、曝露状況の推定アルゴリズム開発、天然痘対策としての水痘のウイルス学的検討、医療施設内での2次感染拡大防止、住民の天然痘に関する知識のアンケート調査、痘瘡抗体価調査を行った。
結果と考察
シミュレーションから交通ハブの場合には700人が暴露・発症すると推測された。屋内大規模集客施設では52226人が、空中散布では3218人が暴露・発症すると推測された最終的な患者数は、交通ハブでは接種なしで1781人、集団接種で1373人、追跡接種で1572人と推測された。屋内大規模集客施設では接種なしで109277人、集団接種で 99021人、追跡接種で109221人となった。空中散布では接種なしで 6937人、集団接種で5749人、追跡接種で6527人となった。必要なワクチン本数は集団接種では定義上常に1100万人分であるが、追跡接種では交通ハブの場合には 47342人分、屋内大規模集客施設の場合には222.387万人分、空中散布の場合には136560人分であった。血清疫学調査より年代別の痘瘡抗体の保有率は未接種世代の20歳代で0%、接種世代の30歳代で24%、40歳代で14%、50歳代で5%であった。
結論
追跡接種は集団接種よりもはるかに少ない接種本数で済むが、効果が限定的である。特に、一時的な暴露・発症者が多いとその効果は非常に限定的とならざるを得ず、集団接種の方が有利になる。天然痘バイオテロ対策における地方衛生研究所の役割では、天然痘の鑑別診断およびワクチン緊急接種の対象者の選択において免疫保有状態を評価することが重要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2010-08-06
更新日
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