健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200942013A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
  • 明石 真言(独立行政法人放射 線医学総合研究所 緊急被ばく医療研 究センター )
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センタ ー )
  • 吉岡 敏治(財団法人日本中毒 情報センター )
  • 郡山 一明(財団法人救急振興 財団救命救急九州 研修所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民保護法に関する厚生労働省国民保護計画の中では、NBCテロ・災害への対応体制を確立することが重要課題となっている。しかし現状では原因物質毎に異なる医療体制がとられており、実際のNBCテロ発生時に、真っ先に矢面に立って対応しなければならない救急医療機関において、初動時の対応困難、混乱が懸念される。
研究方法
本研究班では、原因物質に因らない一貫した対応の標準化を試み、具体的手順及び整備するべき資器材を明確にし、「救急医療機関におけるNBCテロ対応標準的初動マニュアル」を策定・完成させた。また主要な災害拠点病院に対してマニュアルに準拠した研修会「NBCテロ対策セミナー」を開発実施している。
またNBCテロ対応において、予てから関係諸機関から要望が高かった「NBCテロ現場出動医療チームのあり方」について本格的検討を開始した。
結果と考察
これら救急医療機関における準備強化により、テロに対する急性期医療に関して地域の実効性ある体制整備に寄与することが期待される。またテロ以外の健康危機管理体制改善への波及効果も期待される。
消防/警察などの機関の傷病者対応要領を検証したところ、現場においてゾーンニング・除染を実施した場合、病院への搬送開始は、早くてもテロ発生後1時間以上となることが判明した。
わが国の医療機関の大多数を占める「除染体制の整備がない」医療施設におけるNBCテロ・災害対応計画に関しては、消防からの早期通報システムの整備等々、医療側だけでは解決できない課題が残った。今後は消防、行政等との連携・調整が必要であり、重要な検討課題である。
結論
重症傷病者の救命のためには現場から高度な医療を開始する必要があり、そのためには現場への医師の出動が求められる。一方、現状ではテロ現場に出動する体制を整えたDMATは存在せず、2次被害等の危険が高いこともあり、性急な出動判断は控えるべきと考える。今後、危険なテロ現場へDMATが出動するための要件として、研修・装備・補償等の整備があり、これらについて検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200942013B
報告書区分
総合
研究課題名
健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
  • 明石 真言(独立行政法人放射線医学総合研究所)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 吉岡 敏治(大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救命救急九州研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民保護法に関する厚生労働省国民保護計画の中では、NBCテロ・災害への対応体制を確立することが重要課題となっている。しかし現状では原因物質毎に異なる医療体制がとられており、実際のNBCテロ発生時に、真っ先に矢面に立って対応しなければならない救急医療機関において、初動時の対応困難、混乱が懸念される。
研究方法
本研究班では、原因物質に因らない一貫した対応の標準化を試み、具体的手順及び整備するべき資器材を明確にし、「救急医療機関におけるNBCテロ対応標準的初動マニュアル」を策定・完成させた。また主要な災害拠点病院に対してマニュアルに準拠した研修会「NBCテロ対策セミナー」を開発実施している。
またNBCテロ対応において、予てから関係諸機関から要望が高かった「NBCテロ現場出動医療チームのあり方」について本格的検討を開始した。
結果と考察
これら救急医療機関における準備強化により、テロに対する急性期医療に関して地域の実効性ある体制整備に寄与することが期待される。またテロ以外の健康危機管理体制改善への波及効果も期待される。
消防/警察などの機関の傷病者対応要領を検証したところ、現場においてゾーンニング・除染を実施した場合、病院への搬送開始は、早くてもテロ発生後1時間以上となることが判明した。
わが国の医療機関の大多数を占める「除染体制の整備がない」医療施設におけるNBCテロ・災害対応計画に関しては、消防からの早期通報システムの整備等々、医療側だけでは解決できない課題が残った。今後は消防、行政等との連携・調整が必要であり、重要な検討課題である。
結論
重症傷病者の救命のためには現場から高度な医療を開始する必要があり、そのためには現場への医師の出動が求められる。一方、現状ではテロ現場に出動する体制を整えたDMATは存在せず、2次被害等の危険が高いこともあり、性急な出動判断は控えるべきと考える。今後、危険なテロ現場へDMATが出動するための要件として、研修・装備・補償等の整備があり、これらについて検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200942013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
NBCテロ/災害に対して、医療機関および現場派遣医療チームのNBC共通の標準的な医療対応方法(マニュアル)の開発、研修カリキュラムの開発・発展およびサーベイランス方法の開発により、テロに対する急性期医療に関して実効性ある体制整備に寄与した。また化学テロ災害時に科学的な根拠に基づいた治療が施されるような医療機関での検査体制を構築した。
臨床的観点からの成果
本研究の結果、CBRNE災害、テロに対する初動を担うべき医療機関において整備すべき人材、資機材の量、質、コスト明らかになり、研究班の推奨リストとして全国の救急医療機関に周知した。これを参考として、現在、厚労省医政局により整備が進められている「NBC災害・テロ対策設備整備事業」に基づいた資器材整備が進むことが期待される。また「NBCテロ対策セミナー」を実施充実させ、救急医療機関への普及を推進している。
ガイドライン等の開発
本研究班では、あるべき方向性として、N・B・Cと原因物質毎に異なる対応を行うことを廃止し、救急医療機関において全ての原因物質に対して適切な初期対処が可能となるような体制整備を求めた。その結果、救急医療機関において、NBCテロ被害患者に対して、その原因物質にかかわらず適切な対応が可能となるよう、具体的手順、人員配置及び整備するべき資器材を明確にし、「救急医療機関におけるNBCテロ標準的初動マニュアル」を完成させ、出版物として公開した。
その他行政的観点からの成果
NBCテロ対応において、予てから関係諸機関から要望が高かった「NBCテロ現場出動医療チームのあり方」について本格的検討を開始した。重症傷病者の救命のためには現場から高度な医療を開始する必要があり、そのためには現場への医師の出動が求められる。今後、危険なテロ現場へDMATが出動するための要件として、研修・装備・補償等の整備があり、これらについて今後、引き続き検討する。
その他のインパクト
日中韓災害医療シンポジウム(厚生労働省大臣官房厚生科学課、医政局指導課、日本公衆衛生協会主催)開催、平成21年3月26日27日、東京

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
12件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-25
更新日
-