化学物質リスク評価における(定量的)構造活性相関((Q)SAR)およびカテゴリーアプローチの実用化に関する研究

文献情報

文献番号
200941018A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質リスク評価における(定量的)構造活性相関((Q)SAR)およびカテゴリーアプローチの実用化に関する研究
課題番号
H21-化学・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 真((財)食品農医薬品安全性評価センター)
  • 江馬 眞((独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
  • 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
  • 吉田 緑(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
35,060,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の化学物質審査規制法では、年間の製造輸入量が10トン以下の新規物質(低生産量物質)については、ヒト健康影響に対するスクリーニング毒性試験の実施が求められていない。また、数十万種にもおよぶ既存化学物質の多くについてもヒト健康影響について十分な評価がなされておらず、早急な対応が求められているが、全ての化学物質について動物試験を行うには、莫大な費用や時間がかかる。本研究では、化学物質の安全性を既存の毒性情報を活用することにより、効率的かつ動物を使用せずに把握できる手法として期待されるカテゴリーアプローチや(定量的)構造活性相関((Q)SAR)の安全性評価における実用化を目的としている。
研究方法
In vitro染色体異常誘発性予測の改良を行った。肝障害予測のためにMultiCaseとADMEWORKSを用いた。反復投与毒性試験報告書における病理組織学的所見を抜粋した。アミノフェノール類を対象として構造類似化合物の物理化学的性状及び環境有害性について既存情報を集収した。
結果と考察
In vitro染色体異常誘発性に関しては、これまでに構築した知識ベースエキスパートシステムについて、7化合物クラスの解析により、新たに2つのアラートと5つのRapid Prototypeアラートの構築に成功した。また、組織代謝シミュレータとの組み合わせによる予測精度の向上について検討を行った。肝障害予測については、MultiCaseを用いて新たに予測モデル構築を行うとともに、ADMEWORKSを用いた肝毒性予測モデルについて、学習データおよびモデル化パラメータ見直しによる精度向上の検討を実施した。ADMEWORKSについては、既存のAmes試験と染色体異常試験予測モデルについても精度向上に向けた再構築を実施した。また、病理組織学的所見をターゲットとした予測モデル構築やカテゴリーアプローチにおける毒性類似性の評価のため、臓器ごとのシソーラスを構築した。カテゴリーアプローチの有用性について検証するため、アミノフェノール類を対象として構造類似化合物の物理化学的性状及び環境有害性について既存情報を集収してカテゴリー評価にむけた精査を行った。
結論
(Q)SAR評価モデルとカテゴリーアプローチの適用により、化審法で求められているスクリーニング毒性評価を効率化し、化学物質全般の安全性評価へ貢献することができる。また、OECD評価文章作成にも適用し国際的な化学物質評価にも貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-