文献情報
文献番号
202409004A
報告書区分
総括
研究課題名
女性の健康課題、特にやせ、飲酒等の課題の解決に向けた方策及び、新たな女性の健康課題の指標・目標の策定を推進するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FB1003
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
甲賀 かをり(千葉大学 大学院医学研究院・産婦人科学)
研究分担者(所属機関)
- 小川 真里子(福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター)
- 石川 博士(千葉大学 大学院医学研究院産婦人科学)
- 谷口 文紀(鳥取大学医学部 産科婦人科学分野)
- 瀧本 秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
- 池原 賢代(国立大学法人 琉球大学 医学部)
- 中里 道子(学校法人国際医療福祉大学 医学部精神医学)
- 大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
- 平池 修(和田 修)(東京大学 医学部附属病院)
- 浦田 陽子(国立成育医療研究センター 不妊診療科)
- 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
- 石塚 一枝(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
- 小林 しのぶ(国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,395,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省の「21世紀における国民健康づくり運動」の、令和6年開始予定の次期国民健康づくり運動プラン(次期プラン)では、女性特有の問題として「やせ」、また男性と比べ増加傾向にある「飲酒」について項目立てされた。しかし、それらがもたらす女性の身体への負の影響、それらが起きている背景についてはエビデンスが少なく、課題解決に向けた具体的提言をすることができていない。また月経関連疾患については、疫学的・公衆衛生学的エビデンスがなく、次期プランにも項目立てがない。本研究では、女性のやせおよび飲酒、月経関連疾患についてそれぞれエビデンスを構築すること目的としている。
研究方法
女性のやせについては、若年女性がやせのリスクを認知しているか、ウェブを介した記述的横断的研究を行い、妊娠前の体重が周産期の転帰に及ぼす影響については、システマティックレビュー・メタ解析の手法を用いて検討した。飲酒については、飲酒量やアルコール依存傾向、および社会的因子を把握している男女約2万名のコホートデータを分析した。月経困難症については、受診行動を促す支援の在り方を明らかにすることを目的に、月経に関するWebアンケート調査を行った。
結果と考察
多くの女性はやせによる妊娠合併症に関する知識が乏しいが、骨粗鬆症リスクについての知識はあった。やせのリスクの認識が、必ずしもやせるための行動をやめることに繋がらないことが考えられた。また、やせ女性において、摂食障害傾向のある者と体質性やせの間には、ボディイメージや生活習慣に違いがみられた。摂食障害傾向のある女性はより低いBMIを理想的かつ健康的な体重だと考えていた。通常の健康診断で、やせ女性について摂食障害の可能性をスクリーニングし、保健指導を行えることがのぞましい。
体格と月経のデータの解析からやせが無月経リスクを増加させることが明らかになった。さらに妊娠前の低体重が低出生体重児、早産、SGAのリスク増加と有意に関連していることが明らかになった。飲酒については、女性のみにおいてHigh Risk Drinking群は精神的ストレスの割合が高い。また、Binge Drinking群は喫煙率、夜勤あり労働者の割合が高く、子供同居率・婚姻率・運動習慣率・学歴が低く、年齢とBMIが高い。
中等度の月経困難症と受診行動は、その症状について現在通院していない女性の多くが、金銭的および時間的負担を理由に受診をひかえている。世帯年収が少ないほど、時間負担および金銭負担を理由に挙げている女性が多かった。オンライン診療は一定の効果が見込まれるが、半数以上の人は受診しない。また、支援内容に関わらず受診しないと考えられる層が存在している。
体格と月経のデータの解析からやせが無月経リスクを増加させることが明らかになった。さらに妊娠前の低体重が低出生体重児、早産、SGAのリスク増加と有意に関連していることが明らかになった。飲酒については、女性のみにおいてHigh Risk Drinking群は精神的ストレスの割合が高い。また、Binge Drinking群は喫煙率、夜勤あり労働者の割合が高く、子供同居率・婚姻率・運動習慣率・学歴が低く、年齢とBMIが高い。
中等度の月経困難症と受診行動は、その症状について現在通院していない女性の多くが、金銭的および時間的負担を理由に受診をひかえている。世帯年収が少ないほど、時間負担および金銭負担を理由に挙げている女性が多かった。オンライン診療は一定の効果が見込まれるが、半数以上の人は受診しない。また、支援内容に関わらず受診しないと考えられる層が存在している。
結論
やせ女性がそのリスクについて認識が低いという事実はないものの、やせ女性がやせるための行動をやめることにつながる要因(やせのリスク要因)を特定するには、さらに調査が必要である。今回の調査を進める中で、貧血の既往がある女性が摂食障害傾向をもつ可能性が高いことがはじめて明らかになった。これを指標に摂食障害傾向のある女性と体質性やせを区別し、それぞれにあったアプローチを検討する必要がある。
BMIが低いと無月経や稀発月経のリスクが上がることが示唆された。妊娠前の母体低体重は周産期合併症のリスク増加と有意に関連していることが明らかとなった。また、女性では飲酒は精神的ストレスと関連している可能性がある。また飲酒により月経周期に影響をおよぼすことが示唆された。これらの知見から、妊娠前からの適切な栄養・体重管理の重要性が示唆された。周産期転帰の改善に向け、女性の健康課題への取組に資する知見を提供するとともに、女性の健康増進を視野に入れた包括的な公衆衛生対策につながることが期待される。 現在健やかな妊娠出産を迎えるために、プレコンセプションケアの導入が盛んになっている。プレコンセプションケアの講義を高校生などの早期から行い、やせと妊娠出産リスクについて啓発を行う必要がある。
中等度月経困難症がありながら通院していない患者に対しては、受診に対する金銭的および時間的負担を軽減することで、通院していない女性の50%以上が受診する可能性があるため、今後は通院を促す具体的な支援策の検討が必要である。
BMIが低いと無月経や稀発月経のリスクが上がることが示唆された。妊娠前の母体低体重は周産期合併症のリスク増加と有意に関連していることが明らかとなった。また、女性では飲酒は精神的ストレスと関連している可能性がある。また飲酒により月経周期に影響をおよぼすことが示唆された。これらの知見から、妊娠前からの適切な栄養・体重管理の重要性が示唆された。周産期転帰の改善に向け、女性の健康課題への取組に資する知見を提供するとともに、女性の健康増進を視野に入れた包括的な公衆衛生対策につながることが期待される。 現在健やかな妊娠出産を迎えるために、プレコンセプションケアの導入が盛んになっている。プレコンセプションケアの講義を高校生などの早期から行い、やせと妊娠出産リスクについて啓発を行う必要がある。
中等度月経困難症がありながら通院していない患者に対しては、受診に対する金銭的および時間的負担を軽減することで、通院していない女性の50%以上が受診する可能性があるため、今後は通院を促す具体的な支援策の検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2026-02-12
更新日
-