化学物質の子どもへの健康影響に関するエピジェネティクス評価法の開発

文献情報

文献番号
200941007A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の子どもへの健康影響に関するエピジェネティクス評価法の開発
課題番号
H20-化学・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 恒久((社)有隣厚生会 東部病院)
研究分担者(所属機関)
  • 塩田 邦郎(東京大学大学院農学生命科学研究科細胞化学教室)
  • 杉野 法広(山口大学医学部大学院産婦人科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
23,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では次代の社会の担い手である子どもを取りまく環境中のどのような化学物質が健康影響を及ぼすか、どの程度の生体暴露量が健康障害に結びつくか等を新しいエピジェネテイクスの手法から解明することを目的とした。
研究方法
本研究方法の特色は、化学物質の生体暴露量測定法の開発、信頼しうる暴露量の入手、その暴露量の範囲内での健康評価方法の開発をワンセットで行うところにある。研究年度2年目にあたる平成21年度は、まず子どもの健康被害が想定しうる化学物質の絞り込みを行った。その結果、今年度は近年母乳中の汚染が懸念され樹脂の難燃剤として多用されるポリ臭素化ジフェニルエーテル、プラスチックの可塑剤であるフタル酸エステル類、家庭で使用される農薬の90%以上を占めるピレスロイド系農薬、一般農薬の過半を占める有機リン系農薬、喫煙に関するニコチンとコチニン、樹脂原料のビスフェノールA、24種の重金属類を対象物質に選択した。杉野班では試料採取にあたり、採取器具、採取方法などから人工侠雜物が混入しない方法を確立後、母体血、臍帯血、羊水、胎脂などを採取した。中澤班ではこれら試料に対する、感度、特異性に優れた質量分析方法を開発しヒト生体内の真の暴露量を測定した。
結果と考察
塩田班では中澤班の生体暴露量の情報提供を受け、マウスES細胞のヘテロクロマチン形成から有機リン系農薬代謝産物DEP,重金属のセレン、Hg,コチニン、S-421などが生体暴露量の範囲内でエピジェネテイクス変化を惹起する物質(エピミュータゲン)として特定した。これらの物質による影響を、開発したゲノムワイドメチル化解析法、D-REAM法により、遺伝子領域のメチル化プロファイルを解析した。また最終目標である、ヒトiPS細胞での検討に備えマウス、ヒト両者のiPS細胞のDNAメチル化プロファイル解析を行った。
結論
本研究でエピミュータゲンとして捉えた上記5物質は、母体・胎児環境中で検出される濃度で、DNAメチル化に影響を与えることと、これら化学物質の影響を受ける遺伝子領域を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2010-05-30
更新日
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