文献情報
文献番号
202409003A
報告書区分
総括
研究課題名
健康寿命延伸に備えた女性の心身の健康支援のための普及啓発に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FB1002
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
野村 恭子(秋田大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 羽渕 友則(秋田大学 大学院医学系研究科)
- 谷原 真一(帝京大学大学院公衆衛生学研究科)
- 宮腰 尚久(秋田大学 大学院医学系研究科)
- 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 寺内 公一(国立大学法人東京科学大学 大学院医歯学総合研究科)
- 小宮 ひろみ(福島県立医科大学附属病院 性差医療センター)
- 竹内 武昭(東邦大学 医学部)
- 長島 健悟(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、更年期・老年期における女性の健康問題を整理、包括的支援に資する根拠を調査・分析することにある。
2年目は次にあげる研究を行った。
・ロコモティブシンドロームと尿失禁についてインターネットリサーチパネルより更年期から老年期の女性集団における有訴率、医薬品状況ならびに関連する社会因子の同定を行う。
・JMDCデータベースを用いてホルモン製剤と乳がんのリスク、骨脆弱性骨折に及ぼすリスク因子の同定について検討する。
・全国協会けんぽ2000万人データベースを用いて更年期障害の医療機関受診率、治療内容について検討する。
・大迫研究より生殖因子と脳容積の関連について検討する。
2年目は次にあげる研究を行った。
・ロコモティブシンドロームと尿失禁についてインターネットリサーチパネルより更年期から老年期の女性集団における有訴率、医薬品状況ならびに関連する社会因子の同定を行う。
・JMDCデータベースを用いてホルモン製剤と乳がんのリスク、骨脆弱性骨折に及ぼすリスク因子の同定について検討する。
・全国協会けんぽ2000万人データベースを用いて更年期障害の医療機関受診率、治療内容について検討する。
・大迫研究より生殖因子と脳容積の関連について検討する。
研究方法
・女性の健康課題として尿失禁とロコモティブシンドロームについてレビューを実施、問題を抽出・整理した。
・インターネットリサーチ会社のモニターよりロコモティブシンドロームならびに尿失禁の有訴率、鎮痛剤、サプリ、湿布などOTCを含めた医薬品の使用状況について調査を実施した。また関連する因子について統計学的に検討した。関連して約3000名の更年期世代の女性における更年期障害に関連する労働と社会的因子の検討を文部科研研究費で実施した研究を二次利用して実施した。
・JMDCデータベースを用いて、ホルモン補充療法と乳がん発生の関連ならびにロコモティブシンドロームのproxy markerとして脆弱性骨折の予測モデルの検討を行った。関連して全国協会けんぽ約2000万人のデータベースより月経関連疾患の受療率、合併症、使用薬剤について分析を行った。
・大迫追跡データからMRI画像処理を行い、生殖因子別に脳容積を算出した。
・インターネットリサーチ会社のモニターよりロコモティブシンドロームならびに尿失禁の有訴率、鎮痛剤、サプリ、湿布などOTCを含めた医薬品の使用状況について調査を実施した。また関連する因子について統計学的に検討した。関連して約3000名の更年期世代の女性における更年期障害に関連する労働と社会的因子の検討を文部科研研究費で実施した研究を二次利用して実施した。
・JMDCデータベースを用いて、ホルモン補充療法と乳がん発生の関連ならびにロコモティブシンドロームのproxy markerとして脆弱性骨折の予測モデルの検討を行った。関連して全国協会けんぽ約2000万人のデータベースより月経関連疾患の受療率、合併症、使用薬剤について分析を行った。
・大迫追跡データからMRI画像処理を行い、生殖因子別に脳容積を算出した。
結果と考察
ロコモティブシンドロームは29.1%と高頻度で確認されており、肥満、介護経験、低収入、既往歴、うつ症状、過活動膀胱など複数の身体的・心理的要因と有意に関連していた。これに対し、身体活動や社会的支援の存在が保護的に作用していた点は注目に値する。高齢化と女性の就労継続が進む中で、可動性を維持しQOLを高めるには、単に運動習慣の推奨にとどまらず、社会とのつながりを保つ施策の併用が重要である。
尿失禁も42.7%と高頻度であり、肥満、出産回数、介護、既往歴、メンタルヘルスといった因子に加え、低体重がリスクとなることも示された。これらの因子はロコモと重複する側面があり、加齢に伴う身体的脆弱性と精神的脆弱性が密接に関係していることを物語っている。また、尿失禁が「加齢による当然の変化」として黙殺されがちである一方で、QOLへの影響は大きく、より積極的な啓発と早期対応が求められる。
更年期障害については、SMIによるスクリーニングおよび大規模データベースの解析を通じて、肥満、婦人科疾患の既往、深夜勤務、重量物作業などが有訴リスクを高める要因であることが明らかとなった。特に就労環境の影響が大きく、社会的条件と密接に結びついている点が示唆された。また、受療率は着実に上昇しており、PMSや更年期障害に対する医療ニーズの増加が浮き彫りとなった。処方薬を見ると、HRTの利用も一定程度進んでいるが、依然として全体の約30%にとどまっており、情報提供と選択支援の必要性が残されている。
HRTと乳がんリスクの関連では、HRT使用者において乳がん発生リスクが有意に上昇することが確認された。特に、3年以上の使用でORが2.5を超える点は臨床的にも重要である。更年期症状の緩和を目的としたHRTの利点は大きいが、慎重な導入が必要である。また、臨床現場においても、乳がんリスクに対する患者の理解を深める教育が求められる。
骨粗しょう症性骨折の予測モデルについては、研究計画段階ながら、特定健診データを活用した医療ビッグデータ解析により、骨折リスクの予測精度を高める可能性が期待される。これは、健康保険制度下での予防医療の推進や、介護予防施策の個別化に貢献しうる。
最後に、生殖因子と脳容積との関連に関しては、初潮年齢や閉経年齢、出産歴などと一部脳領域の容積に関連が認められたが、明確な線形やU字の関連は得られなかった。これは、生殖因子が脳の構造に影響を与えるという仮説の一端を示すものであるが、交絡因子が多く、縦断的な研究の必要性が示唆される。
尿失禁も42.7%と高頻度であり、肥満、出産回数、介護、既往歴、メンタルヘルスといった因子に加え、低体重がリスクとなることも示された。これらの因子はロコモと重複する側面があり、加齢に伴う身体的脆弱性と精神的脆弱性が密接に関係していることを物語っている。また、尿失禁が「加齢による当然の変化」として黙殺されがちである一方で、QOLへの影響は大きく、より積極的な啓発と早期対応が求められる。
更年期障害については、SMIによるスクリーニングおよび大規模データベースの解析を通じて、肥満、婦人科疾患の既往、深夜勤務、重量物作業などが有訴リスクを高める要因であることが明らかとなった。特に就労環境の影響が大きく、社会的条件と密接に結びついている点が示唆された。また、受療率は着実に上昇しており、PMSや更年期障害に対する医療ニーズの増加が浮き彫りとなった。処方薬を見ると、HRTの利用も一定程度進んでいるが、依然として全体の約30%にとどまっており、情報提供と選択支援の必要性が残されている。
HRTと乳がんリスクの関連では、HRT使用者において乳がん発生リスクが有意に上昇することが確認された。特に、3年以上の使用でORが2.5を超える点は臨床的にも重要である。更年期症状の緩和を目的としたHRTの利点は大きいが、慎重な導入が必要である。また、臨床現場においても、乳がんリスクに対する患者の理解を深める教育が求められる。
骨粗しょう症性骨折の予測モデルについては、研究計画段階ながら、特定健診データを活用した医療ビッグデータ解析により、骨折リスクの予測精度を高める可能性が期待される。これは、健康保険制度下での予防医療の推進や、介護予防施策の個別化に貢献しうる。
最後に、生殖因子と脳容積との関連に関しては、初潮年齢や閉経年齢、出産歴などと一部脳領域の容積に関連が認められたが、明確な線形やU字の関連は得られなかった。これは、生殖因子が脳の構造に影響を与えるという仮説の一端を示すものであるが、交絡因子が多く、縦断的な研究の必要性が示唆される。
結論
中高年女性の健康は、身体的・精神的・社会的要因が複雑に絡み合う領域であり、単一のアプローチでは対応困難であることが明らかである。特に、就労や介護といった生活背景、肥満・低体重といった身体的状態、精神的ストレス、社会的孤立といった多元的因子が相互に影響しあっている。
最終年度ではさらに、JMDCのビッグデータの活用により、個別化された予測・介入モデルを構築すること、脳容積の検討を縦断的な視点より解析を進展させ、より具体的な予防・支援が実現できるエビデンス構築を目指す。
最終年度ではさらに、JMDCのビッグデータの活用により、個別化された予測・介入モデルを構築すること、脳容積の検討を縦断的な視点より解析を進展させ、より具体的な予防・支援が実現できるエビデンス構築を目指す。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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