若年期から老年期に至るまでの切れ目のない女性の健康支援のための評価手法・健診項目の開発に向けた研究

文献情報

文献番号
202409002A
報告書区分
総括
研究課題名
若年期から老年期に至るまでの切れ目のない女性の健康支援のための評価手法・健診項目の開発に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FB1001
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 赤澤 純代(久藤 純代)(金沢医科大学 医学部 総合内科学 女性総合医療センター)
  • 飯高 世子(東京大学 22世紀医療センターロコモ予防学講座)
  • 五十嵐 中(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 甲賀 かをり(千葉大学 大学院医学研究院・産婦人科学)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 経営管理研究科)
  • 杉森 裕樹(大東文化大学 スポーツ・健康科学部看護学科/大学院スポーツ・健康科学研究科予防医学)
  • 田中 佐智子(滋賀医科大学社会医学講座医療統計部門)
  • 田中 裕之(東京大学 小児科)
  • 樋口 毅(弘前大学大学院 保健学研究科 看護学領域)
  • 平池 修(和田 修)(東京大学 医学部附属病院)
  • 前田 恵理(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 松崎 政代(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻)
  • 吉原 愛(伊藤病院)
  • 荒川 一郎(東京大学 大学院医学系研究科・医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
7,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
女性の社会進出は、男女雇用機会均等法の施行以降目覚ましく発展している一方、その健康状態に配慮がなされることは、メタボ健診などと比較するとあまりにも機会が少なかった。女性の健康の維持は、日本の社会における月経に関連した事項のヘルスリテラシーの普及が不十分であることも関係し、企業などの社会構成体においてライフステージを考慮した配慮が十分なされているとは言い難い。女性の社会進出が進む一方で女性の健康に対する十分な配慮が不足していることは経済損失に直結することから、この研究では月経関連疾患に焦点を当てている。本研究では、有月経女性および周閉経期女性の健康診断に必要な問診および健診項目を選定し、それを実践的な健康支援体制の一環として確立することを目指している。
研究方法
1)女性特有の疾患に有効な問診および健診項目の選定
月経関連疾患に関する有月経女性および周閉経期女性の健康診断のエビデンス総体を整理する目的で論文レビューをおこなう。また、日本人間ドック・予防医療学会と連携することで、日本各地の大規模健康診断施設から、当該年齢女性に対する問診票を収集し、各項目の抽出するときには、内科的視点があるのかどうかも検討することにし、同年代の女性を標的とした健診項目として必要かつ十分な項目を取捨選択することで、最適な問診項目を調べ上げる。
2)「女性の問診票」利用における費用対効果の分析
1)の調査に基づいて、実際にこれら女性に適用な可能な世代ごとの「女性の問診票」を作成し、実際にそれを問診に盛り込んだ場合の費用対効果を分析することをおこなう。加えて、本研究では先行研究(Arakawa I, et al. Cost Eff Resour Alloc 2018)を参考にしてシミュレーションモデルを構築していくことで子宮内膜症の予防並びに治療に関して医療経済に与える影響についても検討する。
3)「女性特有の疾患についての問診票」のフィールド調査と資料集作成
作成された「女性の問診票」のフィールド調査を健診の場に落とし込み実践すること、そしてその効果の妥当性と効果を測定した資料集を作成する
結果と考察
本研究を通じて、日本における女性のための健康診断の現状と課題が詳細に明らかになった。特に重要なのは、月経随伴症状を定量的に評価するための標準化された問診項目が不足しているという点である。多くの施設では、月経痛や月経量に関する質問が含まれているものの、それらの記載方法や評価基準が統一されておらず、主観的な回答に頼らざるを得ない状況が見受けられた。
また、海外における健康診断の実態調査の結果、日本の健康診断システムがいかに独自のものであるかが浮き彫りになった。多くの国では、総合的な健康診断の概念が存在せず、特定の疾患や検査方法に焦点を当てた個別のアプローチが主流である。さらに、政府や公共機関による標準化された健康診断の実施はほとんど見られず、民間機関が主導する形が一般的であることが分かった。このことから、日本の健康診断がいかに体系的かつ包括的であるかを再認識すると同時に、他国の実践例を取り入れることでさらなる改善の余地があることも示された。
本研究の結果を踏まえ、今後の展望として以下の点が重要であると考える。
1. 標準化された問診項目の開発と導入
2. 女性のライフステージに応じた健康診断項目の整備と普及
3. 国際比較研究の推進
4. データ収集と解析の強化
結論
女性の健康に関して月経随伴症状を標的とした研究を展開した。費用対効果の観点からも、シンプルな問診項目を活用したスクリーニングは実現可能性が高く、政策への反映に向けた実装が現実的な段階にあると考えられる。今後、さらなる実地調査と解析を進めることで、エビデンスの精度を高め、標準化された問診ツールやガイドラインの策定につなげていくべきである。費用対効果を分析することで、容易に遂行可能であることが証明された場合、国内への浸透も容易であると推測する。
本研究の過程で得られた知見を活用し、標準化された問診項目の開発や健康診断プログラムの改善、国際比較研究の推進など、具体的な取り組みを進めることで、女性の健康維持に大きく貢献することができよう。最後に、研究の成果を基に政策提言を行い、社会全体への影響を高めることが重要である。女性の健康診断に関する標準化されたガイドラインを策定し、政府や自治体、医療機関に対して具体的な提案を行うことが求められる。これにより、女性の健康診断の質を向上させ、より多くの女性が適切な健康管理を受けられる環境を整えることができ、女性が健康で充実した生活を送るための社会的基盤を強化することができる。最終的には、女性の健康を支える施策の社会的実装が、持続可能な社会の実現に貢献するものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-02-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-02-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
202409002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,500,000円
(2)補助金確定額
9,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,193,825円
人件費・謝金 0円
旅費 1,454,200円
その他 2,751,975円
間接経費 2,100,000円
合計 9,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-02-12
更新日
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