生活習慣の行動変容を促す効果的な保健指導のエビデンス創出に資する研究

文献情報

文献番号
202408043A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣の行動変容を促す効果的な保健指導のエビデンス創出に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1013
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
月野木 ルミ(東京科学大学(公衆衛生看護学))
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 安齋 達彦(東京科学大学 M&Dデータ科学センター)
  • 渡井 いずみ(浜松医科大学 医学部看護学科)
  • 坂口 景子(淑徳大学 看護栄養学部栄養学科)
  • 小暮 真奈(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 2024年度の第4期特定健康診査(特定健診)・特定保健指導では、内臓脂肪型肥満に着目した生活習慣病予防を目的とした、腹囲-2cm、体重-2㎏を主要達成項目とするアウトカム評価が導入され、医療費減少や保健指導者の実施負担軽減が期待される。一方で、アウトカム評価を達成できる保健指導手法が不明確、腹囲-2cm、体重-2kgを達成できた指導対象者(以下、達成者)特性が不明確で、達成率の予測が立てにくい等の課題がある。また、特定保健指導の現状は、国民健康保険(国保)、職域等により、指導対象者特性、保健指導実施率、実施体制(直営、外注等)が多様である。そのため、保険者によっては従来のプロセス評価重視の保健指導を継続する恐れもあり、保健指導の格差是正のために早急な対策が必要である。以上から、本研究は、現場で実施しやすく腹囲-2cm、体重-2kgを達成できる新たな特定保健指導法の端緒となることを目指す。
研究方法
 本研究では、アウトカム評価に効果的な新たな保健指導と改善目標の可能性の提案の3つの研究グループに分かれて、各研究者が結果を共有、連携しつつ研究を進めた。
1)アウトカム評価を達成しやすい対象者特性と効果的な改善目標の同定
 岡村は、某健康保険組合の健診データおよび特定保健指導データ、安齋は、就労者の大規模データベースをそれぞれ活用し、多次元ビックデータに基づく腹囲-2㎝、体重-2㎏を達成する特定保健指導対象者の特性と達成できる生活習慣改善目標の網羅的同定解析を行った。
2) 保健師・管理栄養士におけるアウトカム評価達成に効果的な保健指導法の検討
 月野木、渡井、坂口は、保健指導実施者(保健師・管理栄養士)を対象に、アウトカム評価達成に効果的な保健指導法を検討するために、フォーカス・グループ・インタビューを用いた質的記述的研究を行った。対象者は、保健指導実施者(保健師・管理栄養士)各12名、合計24名をインタビュー協力者とした。
3)アウトカム評価に効果的な新たな保健指導と改善目標の可能性の提案
 小暮は、今後尿ナトリウム・カリウム比(尿ナトカリ比)測定が健診項目に活用された場合、有用と考えられる問診項目のエビデンスや分析結果を整理した。
1)~3)の研究成果を用いて下記のワークショップの開催を行った。
4)生活習慣の行動変容を促す効果的な保健指導のあり方
 「-2kg、-2cmが達成できる特定保健指導について語りあおう!:アウトカム評価の導入1年目の振り返りと今後に向けて」を、第13回日本公衆衛生看護学会(名古屋市)令和7年1月5日に実施した。
結果と考察
 第4期で導入されたアウトカム評価(腹囲-2cm、体重-2kg)達成に効果的な特定保健指導のエビデンスを創出することを目的に、3つの研究において以下の結果を得た。
1)アウトカム評価達成に効果的な特定保健指導の対象者特性は、初回積極的支援該当者、40歳代、BMIが高い等を明らかにした。効果的な生活習慣改善目標は、運動習慣、間食等の食生活が効果的であることも示した。但し、業態別の集団アプローチを行う場合は、食生活改善による影響は小さく、運動習慣の改善が効率的である可能性が示唆された。
2)アウトカム評価達成に効果的な特定保健指導の方法は、対面指導とオンライン指導の併用、健診当日の対面による保健指導、保健指導アプリの活用、保健指導数カ月後に検査による中間評価の実施が明らかとなった。効果的な保健指導内容は、データ異常値と身体メカニズム、将来リスクとの関連の十分な説明、新アウトカム指標に沿った目標設定、具体的かつ数値目標の設定、アウトカム指標にこだわらない達成可能な目標の設定、体重等のセルフモニタリングであった。紙媒体を用いた保健指導が依然多く、今後はICTツールの利点を生かした活用普及が必要である。
3)特定健康診査・特定保健指導での活用が検討される可能性のある尿ナトカリ比測定に有用な問診項目は、妥当性があり且つ簡便な設問項目に関しての論文および報告書は少ない現状を示した。
4)アウトカム評価達成に効果的な保健指導のあり方として、①40歳代(特に初めて積極的支援対象者)に対し、確実に実施し達成できる体制構築、②初回面談を確実に実施できる体制整備、③対象者の生活に応じた具体的かつ短期で達成できる改善目標設定の推進、④モニタリングを基本とした生活習慣改善、⑤対象者にあったICTを積極的活用、⑥地域・職域における保健活動との連動の推進と整理した。
結論
 本研究班では、アウトカム評価達成に効果的な特定保健指導に有用なエビデンスを創出した。今後の本研究班の成果還元の方策について、まず、本研究成果に基づく特定保健指導技術を整理・開発したいと考える。その上で、特定保健指導技術と体制の質の均一化に役立つエビデンスとなることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2025-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-09-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202408043C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究成果は、生活習慣の行動変容を促す効果的な保健指導のあり方をテーマに第13回日本公衆衛生看護学会においてワークショップを開催し、現場の実践家とのディスカッション実施を通して社会還元を行った。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
本研究班では、厚生労働省の関連部局とともに、班会議において研究成果を確認・整理し、エビデンスに基づく効果的な特定保健指導のあり方について示した。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tsukinoki R, Murakami Y, Hayakawa T, et al.
Comprehensive assessment of the impact of blood pressure, body mass index, smoking, and diabetes on healthy life expectancy in Japan: NIPPON DATA90.
J Epidemiol  (2025)
10.2188/jea.JE20240298

公開日・更新日

公開日
2025-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,400,000円
(2)補助金確定額
9,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,520,966円
人件費・謝金 1,749,911円
旅費 1,976,716円
その他 983,407円
間接経費 2,169,000円
合計 9,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-09-01
更新日
-