「診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン」の作成に関する研究

文献情報

文献番号
200940082A
報告書区分
総括
研究課題名
「診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン」の作成に関する研究
課題番号
H21-医薬・指定-035
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
久保 敦司(国際医療福祉大学 三田病院 放射線治療・核医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 油野 民雄(旭川医科大学・放射線医学講座)
  • 日下部 きよ子(東京女子医科大学・画像診断学・核医学講座)
  • 佐治 英郎(京都大学大学院薬学研究科・薬学部 病態機能分析学分野)
  • 橋川 一雄(大阪南医療センター・第二循環器科)
  • 間賀田 泰寛(浜松医科大学光量子センター・ゲノムバイオフォトニクス)
  • 中村 佳代子(日本アイソトープ協会・管理本部・医療連携室)
  • 窪田 和雄(国立国際医療研究センター・放射線科・核医学)
  • 西村 重敬(埼玉医科大学国際医療センター・心臓内科)
  • 荒野 泰(千葉大学大学院薬学研究院・薬学部・分子画像薬品学研究室)
  • 小泉 潔(東京医科大学八王子医療センター・放射線科)
  • 本田 憲業(埼玉医科大学総合医療センター・放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
画像診断薬に関する臨床評価ガイドラインは、欧米では既に作成されており、また、近年改訂作業も進められている。我が国では体内診断薬等についてのガイドラインは確立されていなかった。放射性診断薬としての特異性と近年の必要性を鑑みると、我が国独自のガイドラインの作成が急務とされた。本研究では、最近の医学的知見と診断技術の進歩を加味し、放射線被ばくを国際的標準に基づいて考慮して、本邦の核医学診断に直結できる実践的なガイドラインを作成することを目的とした。
研究方法
研究は以下の方法で進めた。
1.従来の画像診断に関する報告、及び、欧米でのガイドラインやガイダンスを調査研究した。
2.最新の核医学画像の進歩を踏まえ、日本において実行が可能となる臨床評価デザインを組み立てるよう検討した。
3.放射性医薬品を投与する事により、避けることのできない被ばくについて慎重に検討した。
4.既に臨床にて使用されている放射性医薬品をモデルとして、試験デザインをシミュレートして、検証を重ねた。
結果と考察
診断用放射性医薬品の特徴を明確にするとともに、その使用目的を現在の核医学診断の必須性から論じ、[核医学診断]の意義を明瞭にした。特に、放射性物質を投与する事での被ばくは避けられないこと、被ばく量は非常に低いことを確認した。
非臨床試験の進め方に関しては、放射性医薬品としての特徴を考慮して、必要にて最小限の試験項目と試験デザインを検討し、臨床試験への移行を速やかに行うことができるようにした。
臨床評価方法に関しては、画像から得られる情報が正確であるかも問われる点を鑑み、今後の医療機器の発展に十分適合できることを確認した。
臨床試験のデザインは、被験者への被ばくを最大限に考慮して、この点を優先的にとりこむ内容とした。
結論
『診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン(案)』を作成すると同時に、検討した内容、背景、理論的根拠を明確にするために解説を付属させた。
本ガイドライン(案)はこれに関連する[マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス]と乖離することがないように、組み立てられている。また、バイオマーカーを利用した新しい治療技術・医薬品の開発に際して、放射性薬剤を人に投与する基準の作成にも繋がるものであることを確信している。有用な診断用放射性医薬品を速やかに臨床に使用できるようになり、疾病の診断技術が向上し、薬剤の開発が促進されることは、国民の医療・福祉に直結して、医療費節減政策の一端も担うことになると期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-06-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200940082C

成果

専門的・学術的観点からの成果
診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン(案)作成に伴い、診断用放射性医薬品の特徴を明確にした。
1.効果・効能は、化合物が標的部位へ特異的に集積し、そのRIからの光子などを検出することに基づいている事
2.効果・効能は化合物の薬理作用の発現に基づくものではない事
3.投与量が極微量であり、生体に影響を及ぼす可能性が極めて低い事
4.単回投与である事
これにより、放射性医薬品を投与する事での被ばくは避けられないことを慎重に考慮するとともに、被ばく量は非常に低いことを確認した。
臨床的観点からの成果
診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン作成に伴い、現在の核医学診断の必須性を論じ、核医学診断としての意義を明瞭にした。放射性医薬品の投与後の体内動態が科学的根拠に基づいているかを確認した結果、臨床診断が;
1.一つ以上の一定の臨床状況における特定の疾患や病態を検出する事
2.複数の疾患や病態に共通してみられる生化学的・生理学的・分子生物学的な機能を評価する事
3.患者の治療方針を選択し、治療経過を追跡する事
という、有意義な情報(エビデンス)を与えるものであることを強調した。
ガイドライン等の開発
『診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン(案)』を作成すると同時に、検討した内容、背景、理論的根拠を明確にするために、解説を付属させた。
本ガイドライン(案)はこれに関連する[マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス]と乖離することがないように、組み立てられている。また、バイオマーカーを利用した新しい治療技術・医薬品の開発に際して、放射性薬剤を人に投与する基準の作成にも繋がるものであることを確信している。
その他行政的観点からの成果
診断用放射性医薬品に関する臨床評価ガイドライン(案)は、画像診断薬としては本邦初のガイドラインであり、この作成は医療技術・診断技術・薬剤の開発に関する処々の医学的研究に貢献する事にもなると考える。
有用な診断用放射性医薬品を速やかに臨床に使用できるようになり、疾病の診断技術が向上し、薬剤の開発が促進されることは、国民の医療・福祉に直結して、医療費節減政策の一端も担うことになると期待される。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-