身体機能低下の評価及び身体機能低下のリスク要因とその予防法の確立に資する研究

文献情報

文献番号
202408036A
報告書区分
総括
研究課題名
身体機能低下の評価及び身体機能低下のリスク要因とその予防法の確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24FA1006
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 典子(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 英明(医療法人社団愛友会伊奈病院 整形外科 副院長/整形外科科長)
  • 田中 栄(東京大学医学部附属病院  整形外科)
  • 小川 純人(東京大学医学部附属病院 老年病科)
  • 上西 一弘(女子栄養大学 栄養学部 栄養生理学研究室)
  • 新井 智之(埼玉医科大学 保健医療学部理学療法学科)
  • 飯高 世子(東京大学 22世紀医療センターロコモ予防学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
直近の厚労省国民生活基礎調査(2022 年)から介護が必要になった理由をみてみると、要介護・要支援の原因の約 4 割を運動器の疾患が占めており、ロコモティブシンドローム(ロコモ)・フレイル・サルコペニアなどの運動器疾患や身体機能低下の早期発見及び予防についての取り組みの強化は喫緊の課題である。これら運動器疾患はいずれも症状に乏しく無自覚に推移することから、コホート追跡の手法が重要となる。本研究では、地域住民長期追跡コホート(吉村、田中、飯高)、地域在住高齢者ロコモコホート(石橋)、高齢フレイル患者コホート(小川)、就労者を中心とした人間ドックのロコモスクリーニングコホート(新井)に加えて、若年女性を対象とした身体計測と栄養調査(上西)など、異なる年代の対象者と背景要因を持つコホートに追跡調査を実施し、結果をとりまとめて、ライフコース(若年、中年期、壮年期、前期高齢者、後期高齢者)ごとにロコモ・フレイルの疫学指標(有病率、発生率)や予後(要介護、死亡)を推定すること、ロコモ・フレイルの発生リスク要因(性差、体格、年齢、生活習慣(運動・栄養)、併存症等)を解明することを目的とする。
研究方法
本研究では、ライフコース全体を網羅する以下の4つのコホートに加えて若年女性調査を加えた5つの研究集団において、各年代・属性における運動器疾患の発症リスクと背景要因を調査した。
1. 地域住民コホート(ROADスタディ)
2005年に都市部・山村・漁村において開始された大規模調査で、ベースラインには3,040人が参加。17年間にわたり、ロコモ・フレイル・サルコペニア等を対象にした追跡調査が行われており、延べ17,000人以上のデータが蓄積されている。令和6年度は、来年(20年目)の調査に向けた準備と過去のデータのリンケージを実施した。
2. 地域在住高齢者ロコモ検診コホート
伊奈町に在住する65~85歳の高齢者を対象に、無作為抽出による郵送調査を実施。生活習慣、食事、運動、主観的健康観などを含む詳細な質問票により、身体機能と心理社会的要素を包括的に把握した。
3. 高齢フレイル患者コホート
東京大学医学部老年病科に入院予定の高齢患者を対象に、身体的・精神的機能評価、血液検査を組み合わせた調査を実施した。
4. 人間ドック受診者コホート
埼玉県内の健診機関で実施される人間ドックのデータを用いて、年間約38,000人の中年・壮年層を対象に、BMI・筋肉量・内臓脂肪・生活習慣・運動習慣との関係を縦断的に解析した。
5. 若年女性運動・栄養調査
健康な女子大学生246名を対象に、身体計測(BMI、体脂肪率、SMI)、食事調査、骨密度測定を実施。若年層における将来的なロコモ・フレイルのリスク因子の早期特定を目指している。
これらの調査は令和6〜7年度に実施し、令和8年度に統合的な解析を予定している。
結果と考察
1. 地域住民コホート(ROAD)
過去の追跡調査結果を統合し、サルコペニアの有病率は全体で8.1%、男女別では男性8.8%、女性7.7%と推定。発生率は15.6/1000人年で、年齢上昇と低BMIが主なリスク因子とされた。これは高齢者における筋量低下の進行を示しており、定期的な運動介入の必要性が示唆される。
2. 地域在住高齢者ロコモ検診コホート
対象者803人に対して調査票を送付し、614人(85.1%)から有効回答を得た。生活満足度や幸福感、運動習慣と身体機能の関連については次年度の解析予定である。
3. 高齢フレイル患者コホート
対象者の主な入院目的は、認知機能低下(認知症または軽度認知障害)の精査、他の身体症状(体重減少、ふらつき、胸部症状など)、疾患(糖尿病など)のコントロール等であり、緊急入院や急性期疾患等が除外した。フレイル・サルコペニアの両方の有無を評価できた対象者において、フレイルとサルコペニアの関連性が男女共に示唆される結果が得られた。
4. 人間ドック受診者コホート
中年において、肥満度が高い場合は,ロコモを重複している割合が高くなり,ロコモの発生に影響を与える生活習慣は,メタボと類似していることが明らかとなった.
5. 若年女性運動・栄養調査
BMIが適正であっても筋肉量(SMI)が低い学生が多く、骨量と筋量に正の相関が認められた。若年期の運動・栄養習慣が将来のロコモ・フレイル予防に影響を及ぼす可能性が高く、若年層に対する早期教育と介入の重要性が明らかになった。
結論
本研究では、ライフコース全体を通じた複数コホートの調査により、運動器疾患の実態とリスク因子を多角的に明らかにした。特に、本年は人間ドックの研究結果の解析から、中年期ではメタボだけでなくロコモの対策も重要であり,メタボとロコモのそれぞれの状態を考慮した対策を構築する必要があること、若年女性への骨量維持教育の重要性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2025-12-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-12-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
202408036Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,648,853円
人件費・謝金 1,528,790円
旅費 253,576円
その他 2,722,781円
間接経費 1,846,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-09-30
更新日
-