文献情報
文献番号
202408030A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模コホートとリアルワールドデータを用いた口腔と全身疾患の関連についての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1022
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 健(東北大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 相田 潤(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野)
- 葭原 明弘(新潟大学 大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野)
- 岩崎 正則(北海道大学 歯学部)
- 財津 崇(東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野)
- 大野 幸子(東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座)
- 福田 治久(九州大学 大学院医学研究院)
- 二宮 利治(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)
- 古田 美智子(九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野)
- 寳澤 篤(国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- 竹内 研時(東北大学 大学院歯学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
6,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、高齢者の口腔健康が全身の健康と幸福に与える影響を多角的に解明することを目的とした。
研究方法
複数のコホート研究やリアルワールドデータを用いた横断研究および縦断研究で構成された。口腔健康とウェルビーイングの関連研究: 英国老化縦断研究の4ウェーブ調査データ、口腔の健康と身体認知機能の関連における異質性の検証研究: 日本老年学的評価研究(JAGES)の65歳以上の高齢者のデータ、食事由来n-6およびn-3多価不飽和脂肪酸と歯の喪失研究: 「湯沢コホート研究」のデータ、地域在住高齢者における歯・口腔の健康と全身の健康研究: 東京都健康長寿医療センター研究所のTokyo Longitudinal Study on Aging(Tokyo-LSA)参加者のデータ、口臭と認知症との関連の前向きコホート研究: 国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC Study)データ、大規模コホートとリアルワールドデータを用いた口腔と全身疾患の関連についての研究: JMDCデータベース、地域住民の成人歯科健診における歯周病と全身性疾患の関連性評価研究: LIFE Studyのデータベース、歯周組織状態と認知症発症の関連性研究: 福岡県久山町の65歳以上の住民で、2007年の健診受診者を対象にし、オミックスデータを用いた口腔状態とメタボロームとの関連研究: 東北メディカル・メガバンク地域住民コホート調査データを解析した。
結果と考察
本研究群では、高齢者の口腔健康と全身の健康、幸福との関連について多様な知見が得られた。SOHとSWBは密接に関連していた。歯の喪失は6年後の身体認知機能得点の低下と有意に関連し、特に手段的自立と知的活動で関連が大きかった。 n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取量が最も高い群では歯の喪失リスクが有意に低下し、n-6:n-3比が4.0以下の群も同様にリスクが低かった。一方、n-6系脂肪酸の摂取量が最も高い群では歯の喪失リスクが有意に高まった。地域在住高齢者における歯・口腔の健康と全身の健康: 歯周ポケット炎症面積(PISA)が大きいことは、炎症性サイトカインであるCRPやIL-6の高さと関連していた。 重度の口臭のある参加者では、認知症を発症するリスクが3.8倍高かった。歯周治療を受けた2型糖尿病患者は血糖コントロールが改善する傾向が見られ、特にHbA1c値7.0-7.9%の群で有意な改善があった。 歯周病あり群では、糖尿病のハザード比が1.70と比較的高い傾向が見られ、心血管疾患や脳血管疾患でもリスクの上昇を示唆する傾向が観察された。平均歯周ポケット深さ(PD)が深い者や臨床アタッチメントレベル(CAL)が深い者では認知症を発症する傾向が認められた。歯の本数については、2-ケトイソカプロン酸が少ないこと、グルタミン酸が多いことが、歯が少ないことと関連していた。歯肉出血については、リジン、グルタミン酸、オルニチン、アラニン、カルニチン、コハク酸、乳酸、ギ酸が少ないこと、2-ケトイソカプロン酸、グルタミン、3-メチル-2-オキソ酪酸、アセトン、酢酸、グリセロール、グルコースが多いことが歯肉出血を有することと関連していた。
結論
本研究群は、口腔の健康が単に局所的な問題にとどまらず、高齢者の全身の健康、幸福感、認知機能、そして慢性疾患の発症・進行に多大な影響を与えることを明らかにした。これらの知見は、高齢者の健康寿命延伸に向けた口腔ケアの重要性を強調し、医科歯科連携の推進、個別化された予防戦略の策定、そして国民への包括的な口腔健康教育の必要性を示唆している。
公開日・更新日
公開日
2025-07-24
更新日
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