違法ドラッグの危害影響予測手法と分析に関する研究

文献情報

文献番号
200940076A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの危害影響予測手法と分析に関する研究
課題番号
H21-医薬・一般-030
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
花尻(木倉) 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
  • 高山 廣光(千葉大学大学院 薬学研究院)
  • 栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
  • 飯田   修(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 種子島研究部)
  • 豊岡 利正(静岡県立大学 薬学部)
  • 裏出 良博(財団法人大阪バイオサイエンス研究所 分子行動生物学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定薬物制度に対応し,具体的な化合物や植物を指定薬物として規制する際に考えられる問題点を検討し,規制化に必要な評価手法及び科学的データを監視指導・麻薬行政に提供することを目的とする.
研究方法
新規流通化合物の構造決定,迅速分析法の開発を行うと共に,分析用標品の整備を行った.活性未知の違法ドラッグ及び植物成分について,コンピュータモデリングによる活性予測,薬物投与動物の脳波変化による活性評価,組換え細胞及び動物脳膜画分を用いた活性評価を行った.植物製品の遺伝子解析による基原種調査を行うと共に,問題となる植物のアルカロイド成分を単離・同定し,薬理活性を評価した.また,標準となりうる植物資源の確保を行った.
結果と考察
代表的な指定薬物についてUPLC-ESI-TOF-MS法による一斉分析法を開発した.4-メチルメトカチノン分析用標品の品質試験を行い,ラット脳膜画分モノアミントランスポーターを標的とした中枢活性評価を行った.新規流通違法ドラッグとして5化合物を単離・同定すると共に,3化合物についてインシリコ評価法を検討した.大麻様作用を標榜して販売されていた植物混合製品から,合成カンナビノイド8成分(新規流通3成分を含む)を検出した.これら化合物についてラット脳波変化による薬理評価研究を行った.植物混合製品について遺伝子分析による基原植物の特定を行った結果,多くの製品で包装記載植物と異なる植物を含有しており,大麻やサボテン由来幻覚成分が検出された製品も存在した.市場流通シニクイチについて成分検索を行い,新規アルカロイド8成分を含む17化合物を単離した.西アフリカ原産植物の根皮から,強いカンナビノイド受容体阻害活性を有する新規化合物を同定した.カンナビノイド受容体阻害剤はうつ症状発現等が指摘されており,本植物の乱用により精神疾患を誘発する危険性が憂慮された.また,新たに47種70系統の違法性植物種子及び幻覚性サボテン類を導入し標準植物資源を確保した.
結論
本研究成果の一部は,平成21年8月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会の審議資料として用いられ,本審議結果をうけて新たに6化合物が指定薬物として規制された.今後も,問題となる薬物・植物を随時指定薬物として指定し規制していくことになるが,本研究結果はこれらの規制化に有用な情報を提供し,国の監視指導行政に直接貢献するものである.

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-