文献情報
文献番号
202408025A
報告書区分
総括
研究課題名
成人先天性心疾患に罹患した成人の社会参加に係る支援体制の充実に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23FA1017
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
小板橋 俊美(北里大学 医学部循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 阿古 潤哉(北里大学 医学部循環器内科学)
- 岡田 明子(北里大学 看護学部)
- 平田 陽一郎(北里大学 医学部 小児科学)
- 神谷 健太郎(北里大学 医療衛生学部)
- 早坂 由美子(法 由美子)(北里大学病院 トータルサポートセンター)
- 江口 尚(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 武藤 剛(北里大学 医学部衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,846,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天性心疾患は、100人に1人の割合で生じる疾患であり、医療の進歩に伴い、適切な治療を受けることで長期生存が可能となってきた。その結果、患者の多くが成人し、移行期医療や患者の社会参加に伴う問題が出現しており、令和2年10月に閣議決定された第1期循環器病対策推進基本計画において、小児期・若年期からの配慮が必要な循環器病への対策に取り組むことについて記載されている。先天性心疾患を有する患者が社会的に自立することを目指すに当たっての困難は多く、社会参加に伴う経済的・精神的苦痛が患者のQOLを大きく低下させており、本研究では、先天性心疾患患者が社会的に自立することを目指すに当たっての問題点の整理と患者への支援の質の改善のための方策を検討することを目標とする。
研究方法
各科の専門医および多職種の研究分担者・協力者からなる本研究班で、先天性心疾患患者と患者をとりまく社会的環境要因に多角的視点でアプローチし、先天性心疾患患者が社会参加するための課題の整理と、そのために必要な患者自身と患者を支援する者のそれぞれに対して提供すべき情報や支援の整理、効果的な介入手法の検討及び介入に必要なツールの作成を行った。
初年度の取り組みの結果、課題の整理および解決策のキーワードとして「小児科医の影響力」「小児期の経験」「病気の開示」「運動制限」「心臓病であることの気づき~病みの軌跡を知る」「将来設計」「try and error」「就労制限」「能力の明確化」「職場(社会)の理解」「制度利用」「メンタルサポート」が浮上した。今年度はこれらを軸に下記7つの課題に取り組んだ。
初年度の取り組みの結果、課題の整理および解決策のキーワードとして「小児科医の影響力」「小児期の経験」「病気の開示」「運動制限」「心臓病であることの気づき~病みの軌跡を知る」「将来設計」「try and error」「就労制限」「能力の明確化」「職場(社会)の理解」「制度利用」「メンタルサポート」が浮上した。今年度はこれらを軸に下記7つの課題に取り組んだ。
結果と考察
1. 成人先天性心疾患患者を対象に、看護師、心理職の2つの視点でデプスインタビュー調査を行った。得られた知見から「満足のいく就労」を実現するために患者が知るべき情報を報告書にまとめた(小板橋・阿古・岡田研究分担者、吉田・高橋研究協力者の分担報告書および資料1参照)。
2.小児期の経験と小児科医の言動は、成人期の社会参加の在り方に影響することが予想された。小児科医の意識調査として、現在の小児循環器診療に携わる医療者を対象として、就労支援への姿勢および患者の運動管理に関するwebアンケート調査を行った(平田研究分担者の分担報告書参照)。
3.就労を含めた過度な活動は心負荷となり心病態を悪化させる。過負荷を回避する働き方を模索するため、成人先天性心疾患患者の身体活動状況を同年代の一般住民と比較し、身体機能・臨床背景・就労状況との関連を明らかにすることを目的とし、成人先天性心疾患患者を対象に質問紙・身体機能測定・アプリによる身体活動評価を行った(神谷研究分担者の分担報告書参照)。
4.職場で合理的配慮を受けるには、産業医と主治医、職場(企業)と主治医の連携が重要であり、産業医と循環器内科医、ソーシャルワーカーの対話による課題抽出とツールの作成を試みた。
5.理想的な就労を叶えるためには、患者の自己理解(将来設計)が重要である。小児期から備えができるように「先天性心疾患を持つ中高生に対する就労支援ワークブック」を作成した(江口研究分担者の分担報告書および資料6参照)。
6.社会保障制度の有益性は明白ながら臨床現場での活用は不十分であった。必要な患者での適切な利用を促進するため医師の支援策として、制度利用のシンプルリーフレットを作成し、ACHD診療施設と医師の意識調査・施設実態調査を行ってニーズの高さと汎用性を確認した。ACHD診療の臨床現場での使用後評価を受けてブラッシュアップをした完成版「社会保障制度早見ツール」を作成した(小板橋・阿古・早坂研究分担者の分担報告書および資料5参照)。
7.「成人先天性心疾患患者が生きやすい世の中」にするため「心不全」や「ACHD」に関する社会への啓発を目指す上で、一般市民モニター回答者(n=3,000(男性1,500))に対して意識調査を行い、ACHDを持ちながら働くことに対する市民意識や社会支援状況を検討した(武藤研究分担者の分担報告書参照)。
2.小児期の経験と小児科医の言動は、成人期の社会参加の在り方に影響することが予想された。小児科医の意識調査として、現在の小児循環器診療に携わる医療者を対象として、就労支援への姿勢および患者の運動管理に関するwebアンケート調査を行った(平田研究分担者の分担報告書参照)。
3.就労を含めた過度な活動は心負荷となり心病態を悪化させる。過負荷を回避する働き方を模索するため、成人先天性心疾患患者の身体活動状況を同年代の一般住民と比較し、身体機能・臨床背景・就労状況との関連を明らかにすることを目的とし、成人先天性心疾患患者を対象に質問紙・身体機能測定・アプリによる身体活動評価を行った(神谷研究分担者の分担報告書参照)。
4.職場で合理的配慮を受けるには、産業医と主治医、職場(企業)と主治医の連携が重要であり、産業医と循環器内科医、ソーシャルワーカーの対話による課題抽出とツールの作成を試みた。
5.理想的な就労を叶えるためには、患者の自己理解(将来設計)が重要である。小児期から備えができるように「先天性心疾患を持つ中高生に対する就労支援ワークブック」を作成した(江口研究分担者の分担報告書および資料6参照)。
6.社会保障制度の有益性は明白ながら臨床現場での活用は不十分であった。必要な患者での適切な利用を促進するため医師の支援策として、制度利用のシンプルリーフレットを作成し、ACHD診療施設と医師の意識調査・施設実態調査を行ってニーズの高さと汎用性を確認した。ACHD診療の臨床現場での使用後評価を受けてブラッシュアップをした完成版「社会保障制度早見ツール」を作成した(小板橋・阿古・早坂研究分担者の分担報告書および資料5参照)。
7.「成人先天性心疾患患者が生きやすい世の中」にするため「心不全」や「ACHD」に関する社会への啓発を目指す上で、一般市民モニター回答者(n=3,000(男性1,500))に対して意識調査を行い、ACHDを持ちながら働くことに対する市民意識や社会支援状況を検討した(武藤研究分担者の分担報告書参照)。
結論
先天性心疾患患者が満足のいく社会参加を実現するための鍵は、患者本人が必要な情報を「知る」ことであり、自分自身で「気づくこと」であった。この「知識」と「気づき」が患者の意識と考えを変え、行動を変える。医療者の役割は、患者が満足のいく社会参加を実現するために必要な情報を適切に提供し、行動をサポートすること、また患者が職場での理解と協力を得られやすくするために「先天性心疾患」や「心不全」を世間に適切に啓発することである。患者が知るべき、また医療者がそれぞれの立場で提供すべき情報をまとめ、サポートに役立つツールを作成した。
公開日・更新日
公開日
2025-08-13
更新日
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